見出し画像

金曜日の随筆:「寄付文化がない」に抗った人の話

また運命を動かしていく金曜日が巡って来ました。2022年のWK9、如月の肆です。私は、一週間の中で金曜日を重視しています。日曜日や月曜日スタートではなく、”週末”の始まりである金曜日に頭を切り替えて、新しい企画を考えて、活動していくことを心掛けています。本日は、横浜のホームコースを歩きながら、聴いていたVoicyに感銘を受けたので、記録に残します。

今週の格言・名言《2022/2/21-27》

"Letting go now" is what can make you happy.
「今を手放すこと」で幸せになれる
The greatest failure in life is the persistent fear of failure.
― Elbert Hubbard thinker/USA
人生における最大の失敗は、失敗を恐れ続けることである
ー エルバート・ハバート 思想家/アメリカ

ホームコースを歩く

昨夜遅く、約2ヵ月ぶりに横浜の自宅へ戻ってきました。息子を学校へ送り出した後、Walkingをしました。普段歩いている冬の松本とは比べものにならない温暖な気候の中、歩き慣れたホームコースを、昨秋に購入しておいたニューシューズで歩くのは快適な気分です。氷点下が普通で極寒の松本では、5~6㎞歩いたくらいでは汗をかくことも稀ですが、本日は7㎞ほど歩いている間にしっかりと汗ばみ、歩き終えた後は気持ちよくシャワーを浴びました。まだ靴が馴染んでいないので、靴擦れができてしまいました。

佐藤大吾氏

Walking時のお供は、いつものようにVoicy「荒木博行のbook cafe」です。本日は、NPO法人ドット・ジェイピー理事長、佐藤大吾氏との対談二回目でした。昨日の一回目も、高速バスのバス停に向かって歩いている間に聴いていて、とても面白かったのですが、本日の内容は更に強く感銘を受けました。

1973年生まれの佐藤氏は、大阪大学在学中に起業し、インターンシップや寄付文化を日本社会に根付かせた立役者と言われる人です。私は、これまで存じ上げなかったのですが、そのパイオニア精神、社会の常識を突き崩すための柔軟な考え方、何より行動力が素晴らしいなあ、と感じました。「キャップのあかない醤油がまわってきたので、自分が開けてやろうと……」という喩え話が秀逸でした。

「日本に寄付文化がない」は嘘

佐藤氏が最初に興した事業は、学生の企業へのインターンシップ事業です。これは御本人自身の経験を踏まえたもので、学生が企業社会の仕組みをろくに学ぶことなく、就職活動が解禁された後、いきなり職業選択の場に晒されることに疑問を抱いた結果です。「個人が悪いのではなく、社会の仕組みがおかしい」という信念で、一つ一つ謎のルールを切り崩し、扉をこじ開けていった着想力とバイタリティに感服しました。

NPO法人が登場する黎明期から活躍している人ならではの苦労も経験しているせいなのか、思考がとにかく柔軟です。

その後に取り組んだ寄付事業についても、当初は「日本には寄付文化がないから無理」と言われたそうです。しかし、佐藤氏は直感的にそれはおかしいと感じたようです。「文化ってなんだ? 日本人が牛肉を食べるようになったのは、たかだがここ150年くらいの話で、今では世界有数の”牛肉文化”を持つ国です。そういうことではないんです。」というたとえ話は面白かったです。寄付行為を阻んでいる社会風習や制度が原因ではないか、という仮説のもと、進んでいく話は素晴らしいものがありました。

「文化がないのではなく、ツールがないだけ」

そこで、寄付先進国と言われるイギリスやアメリカと、日本とを比較して星取表を作って考え、「日本にはチャリティの精神や寄付文化がないのではなく、そういうツールがないだけ」という結論に達します。

実際、日本人に慈悲の心がないどころか、情け深い人は大勢います。でも、気軽に寄付行為に参加できる土台や基盤が身近になければ、その場限りで流れていってしまうことも少なくありません。佐藤氏が、仲間たちと粘り強く制度やルールを切り崩していった活動は大いに参考になります。行政や社会を批判するだけではなく、説得し、協力してよりより姿を描いて、あの手この手のアプローチを繰り返したところが非凡なところです。

いっぱしの批判や不満だけは口にし、実際には行動しないで放置し、いずれ忘れてしまう自分のような人間とは大違いだなあ、と感服しました。色々なたとえ話を交えながら、明るいトーンで話を続けるので、聴いていて爽やかな気持ちになり、全く悲愴感がありません。こういうリーダーになら、周囲の人は魅せられて、ついていくのだろうなあ、と納得しました。


いいなと思ったら応援しよう!

Markover 50〜人生後半戦を愉しむ
サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。