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わたしにとって創香とは。

香りが好きです。
自然が発する香りも、誰かが創った香りも、自分が創った香りも。
20代のとき香水の老舗・ゲランで働いていたので、香水にどっぷりはまりました。少し背伸びしたいとき、香水は必需品だったんだよね。
紆余曲折を経て自分も創香をするようになり、世に出ている香水のすばらしさを改めてつくづく感じています。
と同時に自分の創香の目的もはっきりしてきました。

オーガニック(有機的)な香りを届けたい。


創香に登場する植物たち

人工香料を否定するつもりは全くありません。
だって今でも既製の香水は好きですから。
濃度が高ければ「香害」といわれてしまうけど、ほんのり自分が楽しむ分には、背伸びしていたころの初々しい自分を思い出すこともできるし、あのボトルといい、パッケージといい、どこか非日常で旅行したような感覚を楽しむことができます。ホテルの香りを想像させてくれるものも多い。だからなんとなくリッチな気分になれたりもします。

一方私が創る香りはもっと庶民的です。日常的です。旅行気分やホテルを思い出す香りではないと思います。
でもシュッと手首に放って、アルコールが揮発するのを5秒ほどまってから鼻を近づけて息を吸い込むと、もっともっと吸い込みたくなるような香りです。
ローズやジャスミン、ネロリの精油もふんだんにつかっていますが、背景にはたんぽぽやドクダミなどなんてことない花の香りや、カキドオシ、サンショウ、柚子の葉、クロモジなどを使うことも多々あります。
一見芳香とは無縁と思われるヨモギや菊、トマトの葉などを隠し香で使うこともあります。
精油はカナダから取り寄せているオーガニックのものですが、グランドベースで使用する植物は、比良山系の水を吸い上げて自生している比良の草花です。これを私はあふみベースまたは比良フローラと名付けています。

主役のオーガニック精油。100種類くらいあります。

化学肥料や除草剤は一切使用していないので、土の中には微生物やバクテリアがたくさんいるでしょう。
そんな草花がのんびりマイペースに放っている香りをしっかりとベースにきかせたフレグランス。表舞台に立つ主役の精油たちを引き立ててくれます。
たった10mlのボトルの中は、小さな芳香分子がたくさん入り混じっていると思います。
人工香料はとてもシンプルでクリア、かつ力強い香りを放つのに対して、私の作る香りはとても複雑で奥深く、日によってキャッチする芳香成分は変わると感じます。
またつける人の体温によっても香り立ちは変わってきます。
そんな不安定でころころ変わる要素も、フレグランスが生きている証かな、と思うのです。そして自分が生きていることも感じられる。
そういう意味で「オーガニックな香り」
これを届けたいなと思っています。
一見「え??くさい??」と感じるときもあるかもしれない。
昨日とは香り立ちが少し違う??と不安定な香りかもしれない。
だけど嗅げば嗅ぐほど、たくさんの植物の存在が感じられ、どことなく日常とリンクする香りです。

一度に製造できる量も限られています

香りを日常的に。背伸びするより緩めたいときに。

私は若いころ、香水はお出かけするとき、デートのとき、パーティに出るときなど、ちょっと背伸びしたいときにつけました。
仕事がお休みでオフの時、一日家でだらだらするときに香水の出番はほとんどありませんでした。

今私が創っている香りはオフの時に身に纏ってほしいと思っています。
一日ルームウェアで過ごすようなリラックスした日、糸がプチンと切れて、だらだら過ごしたい日なんかにも。
寝る前もおすすめかな。ピロースプレーのように、寝る前に手首にシュッと。
香りを腕枕するように。香りを抱っこするように。
眠りについてほしいな。
私は農作業の合間にもシュッとしてます。ホント日常の香りです。

背伸びする必要もなく
気取る必要もなく
自分が自分らしくいられるように
自己肯定感を高め、自分に自信が持てるように
無数の草花が応援してくれている香り
小さなたくさんの命が循環している草花の香り
そんなオーガニック(有機的)な香りを、私は届けたい。

それが私が創香を続ける理由。
そしてそんな創香は、私の思い描くオーガニックビレッジへの道のりの一つでもあるのです。


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