本質への手がかりをつかむ
占星術をやっていたら、この世界のひとつひとつの事象のノードという側面に着目するようになっていた。
わたしは絵を描くのが好きなのだけど、リンゴって実の形はどれも緩やかな五角形になっていて、それは花びらの数と同じになっている。つまり、ひとつの現象のなかには時間が経過しても本質が変わらないことを示す点があって、点と点の繋がり方には法則性がある。位相幾何学とかグラフ理論は知らないけど、表層の現象から本質の流れをたどるために使える概念のひとつが、ノードなのだ。
「現代占星学」(植田訓央著)で月ノードという記述があって、何だろうと思ったら、インド占星術でいうラーフ_ケートゥ軸のことだった。ラーフは日食点でケートゥは月食点、つまり点と点。点と点の繋がり方に着目した概念だからノードという言い方になる。
出生図、つまりホロスコープを作る上で何より重要なのが出生地と出生時刻だけど、それは地球の特定の或る1点を決めるってこと。その1点に関する情報だけでも起きうる事象を読み解くことができる。それはその人物の生来的な性質ということになる。
じっさい、地上の1点に対して(実際には気の遠くなるほど昔から)、数かぎりない天体という点、点、点・・・・ポイントが、この地球の上にエネルギーを降り注いでいる。天体はそれぞれの距離感とちがった速度で移動して(地球もまた他の天体にエネルギーを注ぎながら・・・)相互に作用している。それがトランジット。
トランジットで事象予測をするのは、とてもスリリングで面白いジャンルなのだけど、やっぱり変動要素が多くて難しい。先の「現代占星学」にも、トランジット技法の章で次のような記述がある。
__ここで星占いによる予知法について読者に申し上げておきたい大切なアドバイスがある。(中略)十分すぎるくらい慎重に、読者自身もテストの末、他の人にもアドバイスとして使っていただきたい。さらに、重要なことは、質問のテーマも絞らず漠然と「占ってくれ」式の質問には敬遠してもらいたい。相手のバック・グラウンドなり、具体的な質問内容なりを提出してもらって、それによって星の予知法を駆使して未来推測に成功していただきたいのである。__
うんうん、確かに!!具体的な質問という”ノード”を定めないで鑑定しようなんて、動いてるジェットコースターで宙返りみたいになっちゃう!かなり困るんだ・・・とはいえ、実際にはね、日本でインド占星術なんて何だかわかんないって人が殆どなんですから。漠然とした「占ってくれ」式の質問にだって、応じなければ始まらないでしょう。
んだもんで、そういう場合にわたしはプラシュナを使ってます。わたしのなかでのプラシュナの位置づけはカードリーティングのような感じです。 何か迷うことがあったとき、迷った「その時」のホロスコープを作るのですが、作ったそのホロスコープから正解を読み取ろうっていう定番技法のこと(西洋ではホラリー)。
プラシュナで「なぜこの人が今、インド占星術に関わることになったのか」を定めてから始めると、なんだか知らないけど落ち着くとこに落ち着くんです。「今」というノード、つまりトランジットを使うプラシュナ。これがかなり的中する。この事実はわたしの理解を超えています。でも、有効なものは使っちゃう。
たぶん・・・事象はノードで理解していくしか、深まっていかない気がする。
インド占星術からすると、すべての事象は、本質と上澄みの現象、その中間層というように3つに分類することができる。そしてどれにフォーカスをするのか、によってホロスコープの解釈が変わる。ホロスコープの示す"事象"は変えられないにも関わらず、ホロスコープの本人が事象にたいして、どのように意識をフォーカスするかによって、まったく違う意味を持つ可能性がある。それはきっとインド占星術家ならみなさん知っているとおもう。
地球には、個々の人間のカルマと、生命の法則と自然法則という法則があって、さらにその上にダルマ(宇宙の法・真理)があるという。次元や時空が変わって位相していっても変わらないのがダルマだから。神様だって逆らえないんだからヒトとして生きている期間の現象もそれを超える事はない。
・・・・でもふつうに人間として生きない道もあって。その道はひとりひとり異った現れになっていて。世に流布した言葉や概念ではなく、占星術用語で読み解いていくと、人って、自分からその道に気がづいていく能力がある。その手助けをするのが、たぶんインド占星術なんだ。
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