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読書日記*ミステリーまとめて5冊。幻想と現実

ミステリーがなぜ好きかって?
ゲームのように、原因と結果と過程と仮定が、交差する世界。
「真実はひとつ」と思える展開がたまらない。
答えなんかない、と思う毎日だからこそ、「真実はひとつ」と思いたいのかも。

『間宮宙のスランプ ホーソンの精霊』池田クロエ(著)

6巻目であるこの作品は相変わらず、間宮宙の推理が「気持ちいい」
まみちゅうの痛快な推理のあとでも場面転換して、これでもかと伏線を回収し、からまった糸がすーっとほどけるように、謎がとけていく。
ホーソンの精霊はどこ?
伝統的なものと伝説と現代の、「現実」という事実が、まみれてひとつになって、とけていくのが快感でさえある。
登場人物の顔が浮かぶのはもう慣れたけど、今回は風景とか温度とか香りとか五感をフル活用して、わたし自身も謎解きに参加した。
読み終わってからこの感想を書くまでにずいぶん時間が経ってしまった。早く続編が読みたいけれど、待つことを楽しむ時間も、またうれしい。

『13階段』高野 和明 (著)

この作品は「社会に対して何らかの負債を持つ人間が、それを背負いつつ社会の(または他人の)ために生きることはできるか」が大きなテーマのひとつだと、解説で宮部みゆきさんが言われている。
死刑執行官と殺人を犯してしまった青年が、ある死刑囚を救うために動く。
途中で苦しくて、読むのをやめたいと思った。
人が犯す罪とは?それを償うのは?社会の受け入れ体制は?
そんなことを考えながら、事件の伏線は見事に回収される。

最後の1文が物語る事件の結末が、しびれる。

それは、傷害致死の前科を持つ三上純一と、生涯で三人の犯罪者の命を奪った元刑務官、南郷正二の、二人がやったことだった。

江戸川乱歩賞受賞作。

『星降り山荘の殺人』倉知 淳 (著)

王道推理小説。
赤川次郎作品を連想させるようなコミカルさで、本格推理もの。
怪しい人はじつは犯人じゃない?これも王道なのかな。
見事に釣られました。

『幻想古書店で珈琲を』蒼月 海里 (著)

ファンタジー。
続編も読みたいファンタジー!だけど謎解きはおとぎ話みたい。
こんな古書店行ってみたい。
たとえ中身がなくても、その本を読んでみたい。

『豆の上で眠る』湊 かなえ (著)

「お姉ちゃん、あなたは本物なの?」
姉妹と母を考えると、胸をえぐられる気分になった。
読後、落ち込むなんて、わたしらしくないなんて思いつつ、ずっと姉妹のことを考えてしまう不思議な作品。

母に関する記載の個人的メモ

そういう場合の子どもとは、純粋で、疑うことを知らず、大人の言うことは何でも信じるという、大人にとって都合のいい思考回路を持つ単純な生き物でしかない。
母も例外ではなかった。むしろ母のように、育ちがよく、世間体を気にする人は、子どもの頃に嘘をついていたり、いたずらをしていたり、それを誤魔化す方法を考えていたり、親の嘘を見抜いて指摘する言葉を容易に思いついていたりしたことを、すっかりなかったことにして、自分は純粋な子どもだった、と記憶を書き換えている部分が多いはずだ。

P217




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