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高齢者のリハビリ日記 退院3日目

90歳の男性Aさん。腹痛が原因で2週間ほど入院されました。こんな時期なので入院中は面会もできず、ご家族は男性の痴呆が大きく進んでしまうのではないかと心配されていました。幸いお身体の不調も徐々に回復されて、同時に院内を歩くリハビリも行えていたようで、退院後は痴呆は大きく進むことはなかったようです。

ベッドに一日中寝ている毎日から日常に戻って来られたので、足腰を強くするリハビリをしたいということで、ご自宅でお話しをしながら、簡単にできる体操をお伝えしてきました。


座位でのリハビリ体操

ゆっくりではありますが、ご自身で歩くことができますし、時々はものに捕まることもされますが、平らな室内でしたら捕まらなくても歩くことができる状態でしたので、それが維持できるようにまずは足の体操から。

両手で太ももから膝、ふくらはぎとさすって行きます。
腰を屈めるのが辛い場合は膝まででもOK。

まずは体幹から近い「脚」を触りながら認識して、次に「足」へと移ります。

椅子に座って片足ずつ、つま先を上げたり下げたりします。
次に両足でつま先の上げ下げを。
今度はかかとの上げ下げを左右交互に行います。


目から一番遠いのが「足」です。そのため意識が届きづらいのですが、何と言っても「足」が歩くときの身体を支えていますので、まずは足への意識を向けるところから始めるのが大事です。この方のケースよりもお身体が動かない場合は、「足をさすって差し上げる」とか軽くポンポンと刺激するのもいいかもしれません。

椅子に座ったまま、小さく足踏みをします。可能なら足裏が床から全部はなれるまで足を動かします。

実は椅子に座ったままで片足を浮かせるのは結構キツいのです。足のことだけを考えたら立って足踏みをする方が楽ですね。ただ今回は姿勢を安定させることを優先させて座ったままで行っていただきました。
股関節に不具合のある方の場合でしたら、座位での足踏みはお辛いと思いますので様子を伺いながら進めます。

足元への意識を促すことができましたので、ここから上半身の動きに入ります。

右の手先を肩に乗せ、そこから腕を上方に伸ばして行きます。下ろすときも一度指先を肩に乗せてから降ろします。
次に左でも行います。

腕を上げる時、腕が身体から遠くを通るようにして上げる(腕を伸ばしたまま上げる)と肩への負担が大きくなります。肩に問題がなく強い負荷をかけたい場合はこのやり方もありです。さらに手のひらを下に向けて手を伸ばしたまま上げようとすると負荷が一番強くなります。腕が伸びていても手のひらが上を向くような形で行うと、負荷が軽くなります。

手のひらの向き1つでも身体への影響が変わるのです。

腕はまっすぐ上がらない方が多いです。それは単に肩関節の問題だけでなく、背骨や肩甲骨そして筋肉など様々な要因が絡んでいるからです。
無理に真上に上げなくても構いません。腕を上げるという行為が大切です。腕を上げると皮膚や内臓が上方に引っ張られます。これが身体への刺激となるのです。


立位でのリハビリ体操

立位からの運動では壁やてすりなどの安定したものに捕まって行います。

しっかり捕まりながら、小さく足踏み。
足踏みをしながら、右手を先ほどのように肩先につけてから上げて降ろす。これを左でも行う。

この後、一緒にお家の中をゆっくり一周してきました。

お家には、階段一段分程度の高さの段差が2ヶ所あり、日常的にそこを通っていらっしゃいます。
足が動かせる方にとっては、日常生活に段差があることは素晴らしい運動施設があるようなものですね。

まだまだ元気でいていただきたいです。


このリハビリ日記は、Aさんのことをよく知っているmarippoがその日のお顔の色や会話の端々から体調を読み取って行わせていただいています。どなたにも適応できるものではないことはご了解ください。



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