オープンレディース
令和元年夏。
大学時代の友人と、ミャンマー&ラオス旅。
出発は成田空港から。8日間の旅である。大きなスーツケースを抱え、国際線ターミナルへと向かう。チェックインカウンターで荷物を預けると、リュックひとつとなり、身も心も軽く、いつでも飛び立てるぞという気持ちになる。しかし、この時点で飛行機が2時間遅れ。ベンチで友人が持ってきたリンゴをかじりながらダラダラ過ごす。
いい頃合いの時間になったので、保安検査場へ。一番込み合うお盆の1週間前だったので、割とスムーズに進んでいく。そして出国審査。更新を忘れていて慌てて作った出来たてパスポートを手に、友人と列に並ぶ。すると後ろの外国人男性が何やら話し掛けてくる。
「...open...bag...」
どうやら、私のリュックが開いていたようで、それを指摘してくれたのだ。私はリュックを閉めながら、サンキューと共にちょっと洒落の効いたことでも言おうと、
「I'm free」
と言って見た。”私は自由な女なの”なんてジョークを言ってみたが、無視された。なぜなら彼は友人に話し掛けていたからだ。彼女のバッグも開いていたようで、それを指摘していた。「ふたりとも開いてるなんて仲良しだね、ハハハ」みたいな和やかな雰囲気が漂ったので、もう一発洒落を効かせてみようと、
「We are Open Ladies」
つまり”私たちは(心が)オープンなの”的ニュアンスで言ってみたが、再びスルーされて、会話は終わった。そして後になって思った。
・・・オープンレディースってゴルフかよ。
確かに、直訳すると”開いた女性”となるが、多分この文章では伝わらないし、何となくだけど変な意味にも捉えられかねない気がする。だから彼はスルーしたのかもしれない。付け加えると「I'm free」も自由という意味もあるが、”暇です”という訳の方が自然のようなので、見ず知らずの男性に「わたし暇なのよ~」っていきなり言ったとしたら、変な奴だと思われても仕方ない。
オープンレディースが自分の中で恥じらいと共にじわじわ来て、ひとりでニヤニヤしていたから、審査官に不審がられたかもしれない。とはいえ、無事に出国し、ミャンマーへ飛び立てた。
やっぱり、英語って難しい。
写真:エサに群がる鳩(ミャンマー・ヤンゴン)