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【2021/6/29】愛おしさの出現
30歳の半ばを過ぎてからというもの、道行く犬や猫、そしてベイビー、もう何なら小学生くらいまでの子どもたちすべてが愛おしい。
自分が飼っているペットでもないのに、気が付けば塀の上にどっしりと座っている猫を撮っている。こっちを向いてほしくて、5分くらいカメラを構えて待っている時さえある。「シャー!!」とか言われてもカワイイ。そのシャーすら撮りたい。自分の猫でもないのに。
近所の人たちが散歩している犬たちにも目がない。特にフレンチブルドッグ。もう好き。名前の字面ですらもカワイイとさえ思える。いつも2匹連れて散歩しているオシャレな夫婦(たぶん)がいる。さすがにご夫婦に話しかける勇気はないが、マスクの下でいつもブルたちに「カワイイねぇ」と声をかけている。
そして子ども。
電車で目が合ったら、買い物中にこっちを見上げていたら、優しい笑顔で返す。今はマスクをしているからこちらの表情はあんまり分からないだろうが、それでもマスクの下でかなりニコッとして、心の中でカワイイねぇと呟いている。マスクがない時代は変顔したりいないいないばあっ!的なことをしたりしていた。
誰に聞いたか忘れたが、あれって親は気付いているらしい。親は抱っこしているので子どもの顔は見えなくとも、見知らぬ大人が我が子に愛嬌を振りまいていることは感じ取っているらしい。それを聞いてからはちょっとだけ自粛している。親が気付いていないのをいいことに人様の子どもに変顔を見せているなんて、客観的に見たら恥ずかしい。やるならば、可愛いですねぇとか言いながらちゃんと了承を得た上でやるべきだ。だからわたしは笑顔はすれど、笑わそうとかあやそうとかは思わない。カワイイねーと心の中で微笑むだけに留めている。
小さくて丸みを帯びたものに、人は愛情を抱くらしい。そういう遺伝子が組み込まれていて、だから子どもはまるまるとしているし、犬猫の目はウルウルでクリクリだ。そりゃ可愛いに決まっている。
だが最近。
成人を過ぎた年下の後輩たちにも愛おしさを感じる。言ったことが出来なくても、知識が浅くても、とにかく勢いしかなくても、楽しそうにじゃれている姿も、悩んでいるような様子にも、なんだか愛おしさを感じ始めている。
それって、母性?
しかも、そこそこ成熟した、母性なのでは?
いつからこんなに大きな子どもを持った母親と同じ感覚を身に着けたのだ?
子どもを産まなくても、母性って育つのね。
もう今や何もかもが愛おしい。
降りしきる雨も、テレビの上の埃も、誰かにもらったぬいぐるみも、くたびれたパジャマも、壁を渡り歩く蜘蛛も、何もかもが。
これが博愛か。
自分すらも、愛おしい。
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