[70MD]ダークダックス
男声コーラスグループの先駆け
ダークダックスは、戦後間もない昭和27年から活動していた男声コーラスグループです。もともとは慶応大学の学生合唱団「ワグネル・ソサエティ」のクリスマス会を契機に結成。その後、実に四十数年間にわたって歌い続けました。『オリジナルメンバーのまま活動した期間が日本で最も長いコーラスグループ』として、ギネスブックにも載ったそうです。
メンバー全員は他界しても
残念ながら、メンバーはもう全員他界していますが、そのコーラスの重厚な味わいは、他に代え難い。その観点では「銀色の道」や「アンジェリータ」という歌が特に象徴的です。
慶応大学の彼らに対抗して出てきた早稲田のボニージャックス、また出自はわからないが同様に有名になったデュークエイセスと共に、三大コーラスグループとして活躍しました。
幅広いジャンル
初めは、在日米軍キャンプでジャズや黒人霊歌を歌っていたそうです。(太平洋戦争で負けた日本は、しばらくアメリカの占領下に置かれ、米軍が駐留していました。)
グループ名も「暗いイメージにしたくて、ダークと付けた」そうです。
でも、ダークダックスは、とにかく歌を見つけ出すのがうまかった。😊
当時は、喫茶店でお客さんが歌詞本を見ながらみんなで歌う『歌声喫茶』というのがあって、そこから歌を拾ってきたり。
それで、まだシベリア抑留から帰ってきた人たちも多くいて、その人たちがシベリアで覚えて帰ったロシア民謡も彼らのレパートリーになります。「ともしび」「カチューシャ」「カリンカ」「ヴォルガの舟唄」「ウラルのぐみの木」など多数。
なお、「すずらん」と「モスクワ郊外の夕べ」もロシアの歌ですが、これらはダークダックスが公演先のモスクワから持ち帰ってヒットさせた歌になります。
東西冷戦下にあって、当時のソビエト連邦でも、日本人としてコンサートを開催して成功させます。
かくいう私も、彼らのアルバム「ロシア民謡集」の歌詞カードで初めてロシア文字を知って、「これ、読みたい!歌いたい!」と思って、ロシア語を学んだという経緯を持つひとりです。✨
動詞になったダークダックス!
今では消えてしまったと思いますが、かつては立ち飲み屋さんでお客さんが混んでくると、「はい、ダークして!ダーク!」という言葉が使われていたそうです。
つまり『お客さんがみんなで斜めに並んで、少しでも多くお店の中に収まるようにする』こと。それを「ダークする」と呼んだのです。
それくらいダークダックスは、人々にとって身近な存在だったんですね。
昔は、今と違って、複数人でもマイクは1本だけしかない時もあり、そういう時にダークダックスは体を斜めにして1つのマイクを取り囲むようにして歌っていたのです。その様子が動詞にまでなってしまったわけ。
美しい日本の歌『抒情歌』
また、日本語の美しい歌を残そうという活動にも熱心で、彼らはそうした歌を『抒情歌』と名付けました。童謡や民謡、古き良きフォークソングも歌っています。
今はかつての姿を録画で見るか、アルバムで聴くかしかなくなりましたが、私は今でも彼らのファンです。😊💕