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📖#16 冷笑ず筆で戊う明治のボンビヌガヌル『暋口䞀葉日蚘』

マリナデシコさいたたの倧和なでしこ

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【前回たでのあらすじ】

真面目ないい子だった䞀葉女史は、貧乏のせいで心がすり枛り、したたかで冷たい女性に倉わっおしたったかのように芋えた。そんな䞀葉女史を3歳䞊の銬堎孀蝶ばばこちょうが「私のお姉様」ず慕い、同玚生の平田犿朚ひらたずくがくず䞀緒に、暋口家におみやげもなしに通い぀めるのだった。


◆1895幎明治28䞀葉23æ­³

5月7日
倕暮れに、銬堎孀蝶氏、平田犿朚ずくがく氏が、䞊田敏びん氏を぀れお蚪れた。
鮚すしをずっお、語り合った。

孀蝶「私は䞀葉女史の小説『ゆく雲』を読んで玠晎らしいず思ったのです。決しお、䞀葉女史に媚こびたのではありたせん」

平田氏が恥ずかしそうにしおいお面癜い。
孀蝶氏が恋愛論を話し始めるず「もうやめおください」ず苊しそうにするのもおかしかった。

孀蝶「先日、平田はあなた䞀葉にたずいこずを蚀っお逃げ垰ったけれど、垰る途䞭で私に『䞀葉さん、本気で怒ったかな。どうしよう』ず䜕床も蚀うのです。今日、私のずころに来お『これから䞀葉さんを蚪ねるけど、䞀人では行けないので、君も䞀緒に行っお謝っおくれ』ず䜕床も頌むのでおかしかった」
平田「それはり゜だ。私はそんなこず蚀っおない」
孀蝶「私は䞀葉さんのわがたた息子だから、この家では遠慮しないず決めおいるんだ」

倧隒ぎしお、みんなが垰ったのが倜の10時近くだった。

平田23歳も䞀葉女史に惚れおるんかヌい

2人ずも䞀葉女史のこずが奜きなら、貧乏な暋口家にお寿叞をずらせるなよ
倕飯買っお来い　ちゃっかり倕飯をご銳走になるな
そもそも倕暮れにやっおきお、倜の10時たで居座いすわるのは迷惑だっおば

自分のこずを「䞀葉さんのわがたた息子」ず蚀っちゃう孀蝶26歳は気持ち悪いなヌ。

このあずも、平田ず孀蝶は、しょっちゅう䞀葉女史の家にやっおきお、だらだらず倜10時すぎたで過ごしたようです。垰れ
䞀葉女史は2人の䌚話を聞くのが楜しかったようで、こんなにお邪魔されおも远い返そうずはしたせん。

䞀葉女史も、どうかしおるぜ

5月14日
今日の倕食を終えるず、䞀粒の米もなくなっおしたう。
母䞊ず邊子は愚痎ぐちを蚀う。
「私がなんずかするから心配しないで」ず蚀っお、朝食が終わっおから歌子先生のずころに行った。

私が「お金を借しおほしい」ず蚀いづらくしおいるず、先生は毎月の助教の絊料2円玄7,600円をもっおきおくださった。ずおもうれしい。

垰宅するず、お客様が来たので、お昌ご飯をお出しした。
午埌に、䌊東倏子さんが来蚪。

倜になっお、邊子が寄垭よせに行きたいず蚀うので出かけた。
今朝は明日からの米がないず悩んでいたのに、倜は寄垭に遊びに行くなんお、この䞖は倢のようだ。

ずうずうお米が底を぀きたす。
食費も足りなくなっおしたい、暋口家は絶䜓絶呜
母ず効は䞀葉女史を責せめたす。

いくら䞀葉女史が暋口家のトップずはいえ、人で責めるのはどうなの
明治時代に女性が働ける職業は限られおる䞭、それでも䞀葉女史は自分の才胜を掻かしお、小説を曞いたり、萩の舎の先生アルバむトで、どうにかしおお金を皌いでくれおいるのに。
母ず効は、感謝すべきじゃないのヌ

自分たちは内職のわずかな皌ぎしかないのに、䞀葉女史を責める母ず効には、あきれおしたいたすけど、歌子先生もなかなかひどいですね。
自分の塟の代理レッスンをしおくれおいる䞀葉女史に、月絊2円玄7,600円は少なすぎ

なんずか2円をにぎりしめお垰宅した䞀葉女史を、埅っおいたのはお昌時のお客様来蚪。
ここ最近、心がすさんでいる䞀葉女史ですが、客をおもおなしする瀌儀はただ残っおいるので、お昌ご飯を出しおおもおなししちゃいたす。
着るものにも食べるものにも困っおいる貧乏な暋口家を、お昌の時間垯、それも手ぶらでやっおくるなんお、どんな招かれざる客だったんでしょうねヌ。日蚘には名前が曞いおないので分かりたせんが。

午埌に来た芪友のむ倏な぀ちゃん䌊東倏子は、さすがにご飯は芁求しなかったはず  。
ご飯よりも、貞したお金を早く返しお欲しいず思っおたでしょうけど

倜になっお、邊子が「寄垭に行きたい」ずか、ぬかしおきやがりたした。
おたえ、朝ご飯のずきにお金がないこずで䞀葉女史を責めたの忘れたのか
䞀葉女史は2円が手に入ったから気がゆるんだのか、正気ずは思えない効のおねだりを受け入れお寄垭に出かけおしたいたした。

その　寄垭に行くお金を　生掻費に　たわせ

暋口家が貧乏な原因は、父の事業倱敗ずクズ兄が぀くった借金ず、文句ばかりの母ず効のせいだず思っおたしたが、䞀葉女史にも原因があるのかも

5月26日
午埌3時頃、銬堎孀蝶ばばこちょう氏、平田犿朚ひらたずくがく氏が川䞊眉山かわかみびざん氏を぀れおきた。

眉山氏ずは初めお䌚う。27歳らしい。
背が高くお色癜で矎しい。
有名な䜜家ずは思えないほど、芪しみやすい人だ。
孀蝶氏の矎しさは秋の月で、眉山氏の矎しさは春の花だず思う。

みなさんのためにりナギを取り寄せた。
午埌9時頃に垰られた。

倕飯おごられ屋　平田ず孀蝶が、人気䜜家の川䞊眉山かわかみびざん26歳を連れお暋口家にやっおきたした。
眉山びざんは、䞀葉女史が「色癜で矎しい春の花」ずたずえおいるように、スヌパヌむケメンでした。
圌ず芪しい友人も「薄化粧をしおいるように芋えた。男から芋おもうっずりするくらい矎しかった」ず耒めるほど矎男だったようです。

そんな眉山びざんの写真は、こちら。

はい　むケメンヌ
目錻立ちがすっずしおいお䞊品な明治むケメンヌ

しかも、売れおいる人気䜜家
この時点では独身　元歊士の長男
䞀葉女史、この人にしたしょう
この人ず結婚したしょうよ

春の花の眉山びざんに察しお、䞀葉女史を姉ママだず慕う秋の月の孀蝶はずいうず  

銬堎孀蝶

うヌん  たあ、春か秋かずいえば、秋かな
眉山ずは違うタむプのむケメン。

ここで、䞀葉女史が恋しおいる半井桃氎の写真を芋盎しおみたしょう。

半井桃氎

桃氎、人に負けおない
眉山ず孀蝶を芋たあずだず、桃氎がむケメンだず思えないなヌ。

12日前には「明日のお米がない」ず困っおいた暋口家ですが、孀蝶たちのために、りナギをお取り寄せしちゃいたしたよ
しかも、こい぀ら、21時たで居座りたしたよ
15時から来たから、6時間も

垰れ　箞をずるな　りナギを䞀口も口に入れおはならん
もしくは、りナギ代をこれたでの迷惑料を足しお倚めに払え

5月28日
倜に孀蝶氏が蚪れた。
『文孊界』のこずで怒っおいお「退瀟したい」らしい。

孀蝶「こんなこず、秋骚しゅうこ぀にも藀村ずうそんにも蚀えたせん。私はあなたをお姉様のように思っおいるのでお話したした」
䞀葉「あなたは朔癜けっぱくすぎるから、人ず衝突しょうずうするのです。人のこずは気にしないようにしなさい」

ず蚀うず、孀蝶氏は涙を流しお、䜕床も県鏡を拭いおいた。
午埌11時ごろに垰っおいった。

3日ずあけずに暋口家にやっおきた孀蝶は、䞀葉女史に「もう䌚瀟やめたい」ず泣き぀きたした。
女性しかいない家に23時たで䞊がり蟌むなんお非垞識すぎ。

䞀応、確認しおおきたしょう。
孀蝶は䞀葉女史の匟でもなければ、息子でもないし、婚玄者でもありたせん。
3歳䞊のただの文孊仲間です。

孀蝶、䞀葉女史に甘えすぎでは
たさか、本気でママだず思っおる

孀蝶のいう「秋骚」ず「藀村」は、英文孊者の戞川秋骚ずがわしゅうこ぀ず、『倜明け前』で有名な小説家の島厎藀村したざきずうそんです。



【奇跡の14ヶ月・継続䞭】
5月　小説『ゆく雲』　　掲茉「倪陜」
★小説『たけくらべ』　連茉䞭　掲茉「文孊界」



6月2日
眉山氏が蚪れた。
圌に私のこれたでの人生に぀いお話すず、

眉山「あなたは本圓に優しくお玠盎な人ですね。心が匷いから、぀らいこずが起きおも耐たえられるのでしょう。自䌝を曞くべきです。あなたにずっおは苊しいこずばかりだったず思いたすが、すばらしい人生です。これからの日本文孊に光を䞎えるでしょう。文孊で䞖の䞭に出なさい」
䞀葉「そんなに、おだおないでください」

眉山氏は長幎の知人のようだ。

眉山氏が垰っおから、倜に邊子ず買い物に出かけた。
私が留守の間に、孀蝶氏ず犿朚氏、秋骚氏が蚪れたけど垰ったらしい。

䞀葉女史を蚪ねお来る、孀蝶26、犿朚22、秋骚24、眉山26の人のうち、䞀葉女史23がもっずも奜感をもっおいるのは、眉山のようですね。

私も眉山がいいず思いたす。
䞀葉女史のこずを思っお「文孊で䞖に出なさい」ず背䞭をおしおくれおるし。

䞀番やばそうなのは、孀蝶ですねヌ。
「䌚瀟やめたい」ず泣き぀いおきおから、5日も経っおいないのにやっおくるなんお、いい加枛にしろよ。

6月3日
半井桃氎先生を蚪ねた。
昔の矎しさはなくなっおいお、先生の癜い肌は黒くなり、すっかり痩せおしたった。
高かった錻は、さらに高くなっおいるが、埮笑む姿は若い時ず倉わらずに矎しい。本圓の兄のようだ。

桃氎「あなたは初めお䌚った5幎前ず倉わっおいたせんね」

私は桃氎先生のせいで苊しい思いをしお䜕床も涙を流したのに、先生はご存知ないようだ。私のこずを普通のお友達だず思っおいるのか。
今の私は、欲望をすべお捚おおいるので、この人ず結婚しお普通の生き方をしようずは思っおいないけど。

桃氎「たた来おください。私も雷の心配がないずきにお宅を蚪ねたすね。䞀緒に寄垭に行きたしょう」

6月5日
午埌に孀蝶氏が蚪れた。

孀蝶「2日の倜に秋骚ず犿朚ず䞀緒にお蚪ねしたのに、あなたは留守でしたね。私たちの前に眉山がお蚪ねしたそうですが」

ず蚀っお、䞍満そうだった。

久々に䌚った桃氎は、病気のせいで、容姿が衰おずろえおいたした。

色々あっお匷くなった䞀葉女史は、桃氎ぞの実らぬ恋を捚おおしたいたしたが、それでも、桃氎が以前ず倉わらず「お友達」ずしお接しおくるこずはショックだったようです。

そこなんだよなヌ　桃氎の惜おしいずころは
こんなにも䞀葉女史に奜かれおいるのに、かたくなに「同姓のお友達だず思っおください」を守っおるんだよなヌ。
桃氎も䞀葉女史のこずが異性ずしお奜きな感じなのに、暋口家に婿逊子むこようしにいけないからっお、䞀線匕いおしたっおるんだよなヌ。

恋愛から距離を眮くくせに、優しくしお、デヌトには誘っおくる。
そういう思わせぶりな態床が䞀葉女史を苊したせるのにヌ

䞀方、奜きな気持ちを少しも隠さずにぶ぀けおきお、同玚生に嫉劬たでする孀蝶。
孀蝶みたいな分かりやすい人を奜きになれたら、幞せなのかもしれたせんね。

  いや、3歳も幎䞋の女性に「お姉様」ず甘えおくるや぀ず䞀緒になったら、苊劎するのは目に芋えおいるな。ダメだ。

日付なし
やっず、䞖間に私の名前が知られおきたようだ。
うるさいほどに、もおはやされる。
どうしお、こんなに倧袈裟おおげさに耒ほめるのか。
そのうち誰も芋向きしなくなるでしょうに。

『たけくらべ』を「文孊界」で連茉しながら、別の小説も曞いお発衚を続けおきた結果、少しず぀䞀葉女史が評䟡され、有名になっおきたした。やったヌ

もっず喜んでいいはずなのに、これたで散々苊劎しおきた䞀葉女史は、玠盎に受け止められたせん。

䞀葉女史「こんなの今だけだ。真たに受けたらいけない」

䞀葉女史は䞀過性のものだず気にしおいなかったみたいですが、これからもっず人気が出お倧倉なこずになるのを、このずきの䞀葉女史はただ知りたせん。

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【奇跡の14ヶ月・継続䞭】
8月　小説『う぀せみ』　掲茉「読売新聞」
9月　随筆『雚の倜』　随筆『月の倜』　掲茉「読売新聞」
　　　小説『にごりえ』　掲茉「文藝倶楜郚」
★小説『たけくらべ』　連茉䞭　掲茉「文孊界」




続きたす。

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