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📖#14 冷笑ず筆で戊う明治のボンビヌガヌル『暋口䞀葉日蚘』

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【前回たでのあらすじ】

元歊士のプラむドを捚おお商売を始めた䞀葉女史。陰キャに接客は難しく、店は効に任せお自分は小説を曞き続けるが、あいもかわらず貧乏。和歌の垫匠は無神経なこずを蚀うし、倖囜びいきの日本の未来も心配だしで、心がすり枛っおいくのだった。


◆1894幎明治27䞀葉22æ­³

2月2日
幎始の挚拶に出かけた。
着物はぜんぶ、質に入れおしたったので、ちょっずした倖出のための着物もない。
邊子が぀ぎはぎしたずは分からない着物を䜜っおくれたので、それを着お、友人にお金を借りるために、あちこちたわった。
今月どこからも収入がないのだ。

幎が明けお、䞀葉女史は22歳になりたした。
お店をやっおいおも、暋口家はあいかわらず貧乏のたた。
倖に着おいく着物もありたせん。
これではたずいず思った䞀葉女史は、思い切った行動に出たす。

2月23日
久䜐賀矩孝くさがよしたかずいう人を蚪ねた。
久䜐賀は犅や易経えききょうを孊び、韓囜・䞭囜・むンド・アメリカで孊んで垰囜した有名な占い垫だ。

私は䞖間に芋攟されおしたった者なので、どこでなにをしようずも勝手だ。
どうせなら、孊問・実力・お金がある人を頌っお、面癜おかしく暮らしおいこうず思った。

「もうどうにでもなれ」ず思った䞀葉女史は、圓時有名だった占い垫の久䜐賀矩孝くさがよしたかを蚪ねたす。
久䜐賀は、䞀葉女史が蚪れる䞀ヶ月前の新聞に「アメリカの盞堎そうば株匏や債刞などの倀段のこずを占いで的䞭させた」ずいう広告を茉せたした。
それを芋た䞀葉女史は「これだ」ず思い぀いたのです。

ちなみに、そんな久䜐賀くさがの顔は、こんな感じ。

久䜐賀矩孝

うさんくさっ
なにこれ 閲芧泚意ものじゃん

占い垫なのでミステリアスな雰囲気ですね。
目の前にいたら、私は 拒吊反応 恐れ倚くお近づきたくないですねヌ。

䞀葉「父を亡くしおから、母ず効の䞖話をしおきたしたが、瀟䌚は残酷で、真面目に生きおきた私は裏切られおしたいたした。私の人生はもうダメです。だから、リスクをずっおでも盞堎をしおみたいのです。先生、お願いしたす」

久䜐賀は私の顔を䜕床も芋おから、幎霢ず生たれ幎を聞いおきたので答えるず、

久䜐賀「あなたは才胜があり、知恵がある。残念なずころは望みが倧きすぎお倱敗しおしたうこず。運はあるけど、これは金運ではない。盞堎はやめなさい」
䞀葉「䞖の䞭を平穏ぞいおんに生きるための泚意は芁りたせん。面癜くお掟手な仕事があったら教えおください」

私ず久䜐賀の話し合いは時間にもおよんだ。

おいおい 確実に悪い方向ぞ行っおたすわな
優等生が非行に走ろうずしおたすわ

䞀葉女史の口から「面癜くお掟手な仕事をください」なんお蚀葉が出るずは思いたせんでしたよヌ

内気で真面目な䞀葉女史が、こんな 胡散臭うさんくさい占い垫 リスキヌなマネヌゲヌムに手をそめようずしおいるなんお、それもこれも貧乏のせい

ぜんぶお金がないのが悪い

借金぀くっお瞁を切られたのに、お金をせびる兄の虎之助が悪い
頑匵っおる䞀葉女史にねちねち小蚀こごずを蚀っおくる毒芪の母が悪い
䞀葉女史の恋心をもおあそぶ売れない小説家の桃氎も悪い

2月27日
田䞭みの子さんから、歌子先生が荒れおいるず聞いた。
先生はたすたすケチになっおいき、和歌の道をきわめる心はすっかりなくなり、匟子が増えるこずばかりを願っおいるそうだ。
私が萩の舎を離れおから、匟子は20名以䞊増えたらしい。

みの子「先生の和歌の完成床もどんどん悪くなっおいお残念ですよ。塟のこずをよくご存じの䞉宅韍子花圃かほさんは、ご自身で塟を開こうずされおいたす。歌子先生の時代は長く続かないず思ったのでしょうね。今のうちに取り入っおおいお、ゆくゆくは先生に代わっお塟を乗っ取る気なのでしょう」

私は萩の舎に぀いおは、もう䜕も蚀わない。考えたくもない。䜕が起こっおも驚かないけど、田䞭さんはそうはいかない。
ようやく有名になり始めたずころだったのに、埌茩に抜け駆けされたらくやしいだろう。
私は田䞭さんを応揎するず䌝えたずころ、田䞭さんはお喜びになられた。

田䞭さんは柄んだ心を持っおいない汚れた人だけど、衚面だけは矎しく芋せお裏では汚れを隠しおいる䞉宅韍子さんのような憎らしい人に比べたら、私は田䞭さんの方を応揎しおあげたいず思った。

歌子先生も、韍子さんも、田䞭さんも、みんな同じように腐っおいる。

和歌の垫匠の歌子先生も、スヌパヌお嬢様の花圃かほセンパむも、同じく平民のみの子さんも、党員たずめお「腐っおいる」ず䞀刀䞡断
ちょっず前の日蚘では耒めたたえおいたのに

䞀葉女史がどんどんすれおいっおたすねヌ。

2月28日
久䜐賀から手玙が来た。

久䜐賀「今埌、私ず仲良くしおください。梅が満開なので䞀緒に芳に行きたしょう。郜合のよい日を教えおください」

歌も曞いおあったけど䞋手だし、字も䞊手ではなかった。
梅芋に誘っおきたずいうこずは、なにか䞋心があるのだろう。
その手にはのらないず笑っお、お断りの返事を曞いた。

3月12日
『文孊界』の平田犿朚ひらたずくがくさんず、銬堎孀蝶ばばこちょうさんが蚪れた。

3月13日
久䜐賀を蚪ねる。日が暮れおから垰る。

久䜐賀が梅芋デヌトに誘っおきたしたが、䞀葉女史は久䜐賀の䞋心を芋砎っおバッサリお断りしたす。

ダサッ 久䜐賀、ダサッ

䞀葉女史は若くお矎人だから、久䜐賀がデヌトに誘いたい気持ちも分からなくもないですけど  。

やりたいこずは、なかなか諊められないけど、私は匱い人間だから、諊めないずいけない。
䞖間の人は同情しおくれないし、私にはお金もないので生きられない。
今䜏んでいる借家を远い出されそうだし、ろくに食べおいない。
粟神的に疲れはおおいお、小説を曞こうずしおも、い぀の間にか寝おしたう。
こんな調子で、私が生きおいた蚌あかしを残すこずが出来るのか。

切矜詰せっぱ぀たっおたす。䞀葉女史、切矜詰たっおたすよヌ

誰も助けおくれないし、お金はないし、借家を远い出されそうだし、ごはんを食べられないし、もう限界

いっぱいいっぱいになっおしたった䞀葉女史は、さらにぶっ飛んだこずを曞いおいたす。

私はこの䞖界に、苊痛ず倱望をなぐさめるために生たれた詩の神の子です。 悩んでいる者を救うのが私の䜿呜。
だから、䌑んでいる暇ひたはありたせん。
この肉䜓が滅ばない限り、私はこの矎しい粟神をもっお努力したす。
この䞖界が滅びない限り、私の詩は人々の呜ずなっおいくのです。

アむムア ゎッド チャむルド
はい 黒歎史けっおい

䞭二病じゃねえか 誰か䞀葉女史をずめおくれ
読んでるこっちが恥ずかしいわ

自分に酔いたくっおる恥ずかしい文章たでも拟っお、日蚘ずしお出版した効の邊子 おたえ、姉ちゃんのこず嫌いか

䞀葉女史「邊子、やめお 姉さんの黒歎史を党囜に公開しないで」

䞀葉女史は、あの䞖で赀面しお叫んでる気がしたすが、めっちゃ面癜いから、私もみなさんに玹介しちゃいたす笑

䞀葉女史、元気出しお 誰にでも黒歎史はあるよ

3月26日
桃氎先生をお蚪ねする。
母䞊が「この人に助けおもらえたら奜郜合だ」ず蚀っおくださったので、お蚪ねできるようになった。嬉しい。

桃氎先生は顔色が悪くやせおいお、以前の面圱が残っおいなかった。

桃氎「あなたずお別れしおから、ずっず病気に苊しめられおこんな状態です」

本圓にかわいそうだった。

「桃氎のずころに行ったらダメ」ず蚀っおいた母が「お金を借りおくるなら良し」ず、桃氎ぞの蚪問を蚱しおくれたした。

桃氎は䞀葉女史ずお別れしおから病気で苊しんでいた様子。
やっぱり人は盞思盞愛だったのかなヌ
心を通わせたけれど、結ばれるこずは出来ないから、泣く泣くお別れしたのかも

3月27日
萩の舎に行く。

歌子先生「萩の舎をあなたにゆずりたいわ。他に頌む人がいないのよ」

ず、郜合のよいこずをおっしゃったけど、私は話題をそらしお垰った。

その埌、私は歌子先生から「お絊料を払うので塟を手䌝っおほしい」ず蚀われお承諟しょうだくし、4月から和歌の指導のため萩の舎に通っおいる。

5月1日
店を閉めお、本郷に匕っ越し。

歌子先生から萩の舎を任されそうになったけれど、䞀葉女史は芋事にかわしたした。
人間関係がグチャグチャしおいる経営難の萩の舎を継ぐなんお、絶察に嫌ですよね

以前の優等生の䞀葉女史なら、歌子先生のために匕き受けたかもしれたせんが、冷たい䞖間にもたれた今の䞀葉女史は冷静に刀断しお拒吊。
歌子先生は䞀葉女史をかわいい匟子だず思うなら、もうちょっず助けおくれおもよかったのに。

萩の舎は継ぎたせんが、少しでも収入が欲しかったので、和歌の指導のアルバむトは匕き受けたした。

駄菓子屋雑貚屋は、効の邊子ず母が「儲もうけが少ない商売をこれ以䞊続けたくない」ず蚀うし、萩の舎での先生アルバむトずいう安定した収入が出来たので閉店。
玄ヶ月の幎も続かない商売でした。

6月9日
久䜐賀から手玙が来た。

久䜐賀「あなたがずおもお金に困っおいるこずが気の毒に思いたす。生掻費は私が匕き受けたしょう。しかし、知り合っおただ少ししか経っおいないのに、私があなたの生掻を揎助するこずは、あなたには心苊しいこずず思われたすので、あなたのお䜓を私に任せおください」

ずおも嫌らしい文章だった。
あの䞍届き者は、私をどんなふうに芋おいるのか。
私が貧乏だからずいっお、倧切な䜓を任せようず思うはずがない。
笑おうにも笑えないくらい無瀌者だ。

䞀葉「経枈的な揎助だけください。私を女ずしおご芧になるのなら揎助は芁りたせん」

ず返事したずころ、その晩に返事が来た。
䞍愉快な蚀葉が䞊んでいたので、もう返事をするものかず、そのたたにした。

久䜐賀は、生掻費を揎助する代わりに䜓を差し出せず芁求しおきたした。
ようするに、揎助亀際を提案しおきたわけですね。

気色わるっ

久䜐賀「なんの芋返りもなく生掻費を揎助したら、あなたが眪悪感をも぀かもしれないから、䜓を差し出しおくださいね」

あヌ、なるほどヌ
たしかに、それでWIN-WINですね ナむス提案

ずでも、蚀うず思ったのか、この野郎

䞀葉女史が貧乏だからっお、そこに付け蟌んで、若くおきれいな女子を食いものにしようずするなんお乙女の敵
久䜐賀、断固蚱すたじ
゚リヌトサむコパスの枋谷の方がマシじゃないか

7月12日
いただきものを持っお、桃氎先生をお蚪ねする。
先生は気分が良く、にこにこされおいた。

桃氎「近いうちに、あなたのお宅をお蚪ねしたすね。雷がなかったら、必ずお蚪ねしたすよ」

雷がこわいだなんお、おかしかった。

やっぱり、私は桃氎先生のこずをあきらめられない。
お䌚いしただけでも胞がキュンずしお、お声を聞いおたすたす奜きになっおしたう私は、このたた䞀生䜕もしないで終わるのだろう。

こんなにも奜きなのに、気持ちを䌝えられず、おさえおばかり。
兄ず効のように、朔癜な関係のたた、䞀生を送りたいず思う。

7月15日
早朝、芝に䜏む兄の虎之助が来る。
桃氎先生がいらっしゃったけど、お話をしおすぐに垰られた。
兄は倕方たで遊んで垰った。

久䜐賀のあずに桃氎が登堎です。

桃氎、ごめんな。
おたえが「私を女性のお友達だず思っおくださいね」なんお蚀うから、なんの解決にもなっおいない謎のキモむ提案をしおくる倉態だず思っおしたっお。

桃氎は玠晎らしいですよ。
若くお矎人な䞀葉女史を倧切に思っお、手を出さずにいおくれるのだから。その代わり、お金も出しおくれないけど

久䜐賀がせたっおくればくるほど、䞀葉女史は桃氎ぞの恋心を再確認するのでした。

あヌ、私に倧金ずタむムマシンがあったらなヌ。
この時代にタむムスリップしお、虎之助ず久䜐賀の頬を札束で埀埩ビンタしおから、桃氎ず䞀葉女史の目の前に札束の山を積んで「おふたりさん、これを持っお東京から逃げお、どこか遠くで結婚しお幞せになりなさい」っお蚀うのになヌ。


続きたす。


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