母が認知症になった

先日、認知症の母をグループホームに入居させた。
私も弟も独立し、父と母の二人暮らしだったのだが、離れて暮らしてる間に母が認知症になった。この半年で症状が進行し、父が母の介護をしていた。いわゆる老々介護。私は父との関係があまり良くなかったこともあり、時折母から手紙が来るのを読むだけで、連絡もせず、帰省もしていなかった。そんなわけで、私はそのことを知らずにいた。
そんなある日、珍しく父が私の携帯に電話してきた。母が私と話したいと言っている。電話に出た母は普通に話していたし、元気そうだった。何かあったのか?と尋ねると母は電話を父に変わった。母が側にいるので父ははっきり言わなかったが私が察して「お母さん認知症なの?」ときくと、そうだ、と。
人はみんな年を取るし、両親が死ぬ時は来ると思っていたけど、認知症になる、という想定が全然なかった。死ぬ前に認知症になる人だってたくさんいるのなんでかな?年は取るけど、死ぬまで元気でいるってなんの根拠もなく思ってた。
電話を切って、何をどうしたらいいのか考える。老々介護が長引くのは良くない。なんとかしないと。私か弟が実家に帰るか。母を老人ホームに入れるか。
父もあまり詳細を話さなかったので、まだ深刻ではないだろうと、すぐに行動に移さなかった。仕事もあったし、介護のことなんてわかんないし。どうしよう、と考えるだけで罅が過ぎた。
2週間後また父から電話。母が家の中で転倒して、骨折し入院したと。2、3週間入院し、退院後は帰宅せずそのままグループホームに入居するかもしれない。
私が思っていたよりずっと事態は深刻だった。よくよく父の話をきくと母はパーキンソン病も併発し、うまく体を動かせなかったらしい。父が生活の全てを介助していたと。
父も私との関係があまり良くなかったので、話しづらかったようだ。父を嫌って連絡してなかった間に、取り戻すことができないことになっていたことを酷く後悔する。もう前の母はいないのだ。
さらに話を聞くと、倒れた母を父ひとりではどうすることも出来ず、ご近所の方、たまたま配達に来ていた生協のドライバーさんに助けていただいたのだとか。
さらに、助けてくれたご近所の方が役場の福祉担当者をよく知っていて、役場の方が入院の手配、グループホームの手配をしてくれたらしい。身内がほったらかしにして、赤の他人が親身になってくれるとは、情けない。親不孝もいいところだ。
弟も独身なのだが、長く鬱病を患っており、この半年、長時間労働と人間関係で病状が良くなかったらしく、3月いっぱいで仕事を辞めることになっているとのこと。我が家、問題山積み。
弟に電話し、これからの事を話す。仕事辞めるなら、実家に帰って父と暮らして欲しいとお願いする。弟は了承した。無職ではそのうち家賃も負担になるし、ちょうどいいだろう。とはいえ鬱病なわけだから、年老いた父との二人暮らしはストレスになるだろうから、私も実家に戻ることにした。
急なことだったので、すぐに引っ越しができるわけではないので、しばらくは私も弟も自分の部屋と実家を行ったり来たりになる。
バラバラだった家族は、母の認知症という事態でまた一緒に暮らすことになった。

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