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8.「令和の白拍子」 宝塚音楽学校へ〜戦いの中学生時代(後編)
「令和の白拍子」こと、花柳まり草(はなやぎまりくさ)こと、まりちゃんです。
さ、8本目の記事、参りましょう。
前回は私が中学生の時に大きな衝撃を受けた演劇作品について、かなり熱く語ってしまいました。
素晴らしい舞台を観劇した後、意識が変わった私はバレエのお稽古場にも真面目に通い、ようやく先生や先輩方とも打ち解けて行ったのでした。
■「なっちゃん、合格しました!」
前回の記事でもご紹介した「中三ズ」。
スタジオ歴は先輩、でも同い年だった夏鳳しおりさんと私は、恩師の朝比奈先生より「中三ズ」と名付けて頂いたのでした。
発表会でも一緒に作品を踊らせて頂くなど、ライバルではありましたが友達でもあり、頼もしい存在でした。
当時、夏鳳さんのことは「なっちゃん」と呼んでいました。
そんななっちゃんが、中学三年生の終わりに宝塚音楽学校を受験しました。
補足させて頂きたいのですが、宝塚音楽学校の受験資格は「中学三年生〜高校三年生までの女子」です。
つまり、中学を卒業する年と、高校を卒業する年の間は、何度受験をしても構わないというシステムなのです。
ですから、「同期生」と一口に言っても年齢差があるのです。
話を戻します。
なっちゃんは、受験資格の年齢に達したと同時に受験をしました。
私はというと、この年の受験は見送りました。
もともと「高校生になったら受験をしよう」と決めていたのですが、とはいえ、もちろん実力も全く足りていませんでした。
「受験が出来る」ということだけでも、なっちゃんが自分よりもずっとずっと前を歩いていることを痛感させられたのでした。
合格発表の日。
その日の空は、何だか薄ら曇っていた様な気がします。
まだ布団の中でウダウダしていた私の携帯電話が、ピロロンと鳴りました。
朝比奈先生からのメールでした。
「なっちゃん、合格しました!!!」
それを読んだ私は、一瞬、頭が真っ白になりました。
そして、そのまま枕に突っ伏しました。
この時の気持ちは、何と形容したら良いのでしょう。
もちろん、「すごい!」「おめでとう!」という気持ちもありました。
同じスタジオの仲間が合格するなんて、とっても誇らしいし、素敵なことです。
ですが…
「自分は置いて行かれた」
「自分がどうしてもなりたいものに、なっちゃんはなってしまった」
「私が到底手が届かない、遠い遠いところまで行ってしまった」
悔しさと不甲斐なさと羨ましさ。
そんな灰色のドロドロした気持ちでいっぱいになった私は、布団の中で石の様に動けなくなってしましました。
涙も出てきました。
お稽古場で、先生やなっちゃんと顔を合わせるのが何となく気まずかったです。
素直に「おめでとう」と言えるのかも不安でした。
合格後に初めて顔を合わせたレッスンでは、受験の時の課題を教えてもらって、受験生みんなでお稽古をしました。
しかし、私は全く思う様に踊れませんでした。
すごく難しかったんです。
レッスンの時はグループに分かれて踊るのですが、自分が踊っていない時、自然と涙が滲んできました。
圧倒的に力が足りていないことを、まざまざと思い知らされたからです。
踊れない自分、かたや、軽々と踊り切って合格を果たしたなっちゃん。
惨めでした。
「早く上手くなって、絶対、合格する」
今の惨めな自分のままではいたくないと思いました。
■意地で読みきった「答辞」
宝塚受験生としては「劣等生」で、ライバルを前にしてボロボロ惨敗な私でしたが、中学校では「優等生」を貫きました。
おかげさまで、卒業式では「答辞」を読ませて頂きました。
バレエ教室でボロボロになった自尊心を「何くそーーー!!!」と奮い立たせ、めちゃくちゃ気合を入れて答辞の文章を書き上げました。
ほぼ、意地です笑
そして迎えた卒業式当日。
失敗は許されないと腹をくくり、前髪をひっつめ、いつも以上に胸を張り、声を張り、答辞を読み上げました。
そんな気持ちが天に届いたのか、滞りなく任務を全うすることが出来ました。
式を終えて講堂から退場する時、あるイメージがフッと頭に降りてきました。
私の学校は中高一貫校なので、高校卒業時も同じ場所で式が執り行われるのですが
「高校の卒業式の時、宝塚音楽学校の制服を着て、私はこの場にいる」
…そんな画像が鮮明に浮かんだのです。
本当に何の根拠もありません。
怖いです。
でも、怖いくらいくっきりと画像が浮かび、その時の気持ちまで感じたんです。
もう、これはやるしかない、絶対にやり切れると思いました。
こうして「まだまだ私も頑張れる」と再び自分を信じることが出来た私。
降りてきたイメージを実現すべく、なっちゃんの背中を追いかけて、もっともっと速く走る決意をしたのでした。
ということで、次回からは初めての受験、そして不合格からの二度目の挑戦で合格…汗と涙の「高校生編」に続きます!!!!!!!!!
是非、次回も逢いにいらしてください♪
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