見出し画像

私が精神科医になったわけ

こんにちは。
日本の精神科医・公認心理士で、現在はオーストラリアで心理カウンセラーをしているMarikoです。今回は、そもそもどうして私が精神科医になることを選択したのか、自己紹介を兼ねて書こうと思います。

精神科医を目指したきっかけは?

私は沖縄で生まれ育ち、ごく普通の学生時代を過ごしました。ただすごく読書が好きで、ジャンル問わず多くの本を読む中で、「心理学」という目に見えない「こころ」「精神」を扱うことへの興味が芽生えたことが始まりです。当初は心理学を学ぶ道を考えていましたが、「こころ」とは結局は脳が作り出すものであり、「こころ」を学ぶにあたって「からだ」とのつながりを無視することはできないんじゃないか、という私なりの結論に行きつきました。そこで、心身どちらについても深く学びアプローチするには医学が最適だと考え、医師を志した、という経緯があります。

医学部での6年間

控えめに言っても、真面目な学生ではありませんでした。バイトや自分の好きなことをして、多くの人に助けられながら、なんとかギリギリ留年せず6年間で卒業し、医師国家試験に合格したという感じです。それでも、高校までとは比較にならない多種多様な人との出会いや学びがあり、人の数だけ異なる価値観があることを実感した充実の6年間でした。

初期研修の2年間

医学部を卒業し国家試験に合格した後、通常2年間の初期研修と呼ばれる研修が始まります。この2年間は、医師がどの専門分野に進むかに関係なく、基本的な診療スキルを身につけるために色々な診療科を回る期間です。色々な科で研修をする中でも、自殺企図で救急搬送されるケースやガンの治療中にうつ病を合併したケースなど、専門科に関わらず精神科領域のニーズを感じる症例も多く、2年間の研修後は、当初の希望通り精神科へ進むことに決めました。

精神科の幅広い役割について

精神科医としてのキャリアが始まり感じたのは、精神科が扱う領域の広さでした。一般的な精神疾患はもちろんのこと、2~3歳の小さな子どもの発達障害、10代の不登校や引きこもり、そして高齢者の認知症や精神的不調。また性的嗜癖やギャンブル・アルコール依存まで、さまざまな年齢層や課題を抱える方々の診断治療・サポートが求められます。多様な患者さんに寄り添い、それぞれのニーズに合わせた支援を提供することの必要性を学びました。

予防と早期介入の重要性

15年以上の精神科医としての経験から、いかに早期の介入と予防が重要であるかを痛感しています。メンタルヘルスの不調は外から見えにくく、血液検査や画像検査で判別できるものではありません。そのため自分で気づくことが難しく、症状が進んでから受診される方もいて、治療が長引くことが少なくありません。こころの不調も、体の病気と同じように、治療や対処は早ければ早いほど軽く済み、回復も早いんです。

訪問診療とオンラインサービスの役割

予防と早期介入の観点から、この数年は訪問診療やオンラインカウンセリング、セミナーなどを通じて、医療機関へのアクセスが難しい方にも早い段階での支援を届けることに注力しています。特にコロナ禍で、オンラインサービスの需要が一気に高まり、多くの方が気軽にカウンセリングやメンタルヘルスサポートを受けられるようになりました。これはとても素晴らしいことで、物理的に医療機関に足を運べない方にもアプローチできるようになり、地域や国を越えたサポートが可能となったと感じています。

私の目標:正しい知識とセルフケアを広めること

私のゴールは、皆さんにメンタルヘルスに関する正しい知識を知ってもらい、セルフケア能力を高めてもらうことです。予防を意識したセルフケアを行い、必要な時は我慢せず、適切なケアやサポートを受けられる。そうすれば、もし不調になったとしても回復までの期間は短縮できるはずです。
「先生のところに行かなくても、なんとかなってるよ」
そういう人が一人でも増えるよう、メンタルヘルスの専門家として、少しでも皆さんの心の健康を支えられるサポートを続けていきたいと思っています。

For a Better Tomorrow
より良い明日のために

MARIKO  -MARIKO’s Wellness-

いいなと思ったら応援しよう!