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絵と言葉

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#おはなし

こんにちは、誰かさん《庭師》

庭師は、庭師になって(厳密には庭師をこころざしてから)はじめて気がついたことがあります。 というか、ほとんど気がついたことばかりです。 まずは、長靴を履いているときの安心した気分を知りました。 大雨のあとのぬかるんだ濃い土のうえを、鏡のように空を映す水たまりのなかを、生い茂った草むらを、歩いていくことができるのは、長靴を履いているからなんです。 彼は長靴に本当に感謝しています。 それから、エプロン。 いつの間にやら、エプロンには多くのしみがついています。また、

こんにちは、誰かさん《魔女》

今日はほうきに乗らない日と決め、時刻表でバスの来る時間を調べています。 普段は時計をほとんど見ることがないのですが、幸運なことに近くの小学校の庭に背の高い丸い時計が立っていたので、それと照らし合わせれば、今の時間がわかります。あと15分ほどでバスが来るみたい。バスに乗る際に気をつけることは、小銭を用意しておくことと、バスの入り口や天井の高さとじぶんのかぶっているとんがり帽子との距離のことを忘れないようにすること。 もし気持ちが悪くなったら窓を開けて風に当たればきっと大

智慧が去ったよ

ふと目をあげたら、魔女が飛んでいました。 言葉が聴こえました、すぐそばか、心のなかか、どこからか。 「智慧が去ったよ。」

わたしが眠るまで

くだらないこと1000個 しらないこと1000個 買えないもの1000個 全部海に捨てようとしたら 海は いらない と云う 背負って山を登ったら 山は 海と同じ考え。 雲にのぼろうとしたら 重たくて底に穴が空いて尻もちをついた 巨人があらわれ 全部食べてやろう と云った ただし、お前も含めて。 どうせ逃げたってまた重たくなるのさ。 それでもわたしは逃げたのだ とっても汚い帽子と臭い服を着て。 海はわたしを洗ってくれた わたしは木の実