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疑似家族への憧れ③高河ゆん「源氏」2
自由とは
家族の人数分の洗濯機に驚いた私は、その後もいちいち驚く。
思えば男性同士の性愛を描くいわゆるボーイズラブ的な話に接したのもこのマンガだった。
義経は兄の頼朝のことが大好きで、同じ顔をしている克己のことも大好き。
克己にキスもするし、それ以上もしようとする。(克己も拒まない)
男同士でもいいんだ…!
一つ目の驚きだった
「この世の中で一番愛しいのは…源氏」
作中の頼朝には兄弟がたくさんいるのだが、義経を除く他の兄弟には疎まれており、ある日とうとう、兄から毒を盛られてしまう。
頼朝が大好きな義経は、兄弟なので、血がつながっているので、頼朝が好き、と思っていたのだが、この事件を機に考えを改める。
「この世の中で一番愛おしいのは 血のつながりってわけじゃない
単に源氏(頼朝)だ」
これも思春期に入ったばかりの私には衝撃で、「家族だから、とかじゃないんだ…!」とそれまでの価値観を揺さぶられたのだった。
同人誌やボーイズラブが開けた扉
高河ゆんは、80年代後半から同人作家として活躍していた中の一人である。「キャプテン翼」や「聖闘士星矢」などの二次創作で人気を得ていた。
本編を素直に読んでいては思いつかない登場人物(主に男性)同士の恋愛関係は(古くは少年愛といわれたが)のちにボーイズ・ラブというジャンルとして定着している。
当たり前を読みかえよう。それも楽しく
ボーイズ・ラブは時に「LGBTの立場に立っていない」と批判を受けることがあるが、それも当然のことだ。
「当たり前とされている物語」の読み替えや組み替えに面白さを見いだしているものであり、実在の人物の物語を描こうとしているものではないからである。
当時の私は意識していなかったが、「当たり前とされていること」「当然だと思われていること」と違うことを考えていいのだ、というメッセージを受け取る機会になった話だと思う。