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NHKドラマ『リラの花咲くけものみち』
全三回のドラマで先週土曜日に終わってしまったのだけれど、毎回とても楽しみにしていたのが掲題の『リラの花咲くけものみち』です。
原作が藤岡陽子さんというので、良い作品に違いないと放送を楽しみにしていました。
まず、北海道の自然の映像がとても美しくてそれだけでも目を惹きつけられました。
それからストーリー。母親を亡くし継母とうまくいかず引きこもっていた女子高生の主人公が祖母に救われて獣医を目指して大学生になっていきます。最初はコミュニケーション不全かと思われた主人公が祖母から力をもらって学生たちと友情を育んでいきます。最終回ではおばあちゃんの葬儀の喪主を務め、再会した親に感謝を述べたあと決別し、独り立ちしていきます。
そのための軸になるのが職業。動物の命と、その背景にある酪農家の人たちの生活を考えられるようになるまで成長する主人公。土地に根ざして生きる先輩獣医師の背中を見て自らのキャリアプランを見つけていく逞しさに胸が熱くなります。若い身寄りのない女の子が自分の足で立って生きるってすごいことです。
そう、母を病気で亡くし、頼りにしていた祖母を見送り、自分の気持ちより便宜上?再婚を選んだ父に別れを告げてたった一人で北の大地で生きていくその姿こそメインテーマです。爽やかなカルピスのような初恋も見え隠れするところもまた好ましい気もちにさせるドラマです。
最初、寮で同室になった女子はお医者さまの家庭に生まれて残念な気持ちで獣医学部に進学してきた当たりの強いタイプでしたが、主人公聡里が心を開き親友となり、勉学の道のりの中で製薬会社に生きる場所を見つけていくエピソードも青春物語として良い味を出していました。
慈愛に満ちたおばあちゃま役の風吹じゅんさんの演技は安心してみていられるのは当然として、引きこもりの少女が脱皮していくさまを演じた若い女優さんの目がキラキラ輝いていること!お肌がプルプルもちもちしていること!表情もお声も涙も一瞬一瞬が素敵でした。聡里を演じた山田杏奈さんをこれからも応援したいと思います。
この夏は久しぶりに北海道の大地に降り立ち、ラベンダーを楽しむ予定にしていますが、このドラマのことをきっと思い出して甘酸っぱさと清々しさを味わうことになりそうです。数あるドラマの中でも自分のアンテナに引っかかる作品でした。
今日は凍える寒さとなりました。雪で大きな事故などになりませんように。
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