風の人として
『地域とゆるくつながろう!ーサードプレイスと関係人口の時代ー』を読み終えました。kindle版がなかったため、新書にて。日本のパラレルキャリア研究の第一人者である法政大学大学院の石山恒貴教授が編著されています。
この本では地域を、
①現在、居住する地域
②ふるさととしての地域
③現在居住していないし、ふるさとでもないが、何らか関わりがある、または自分がファンになっている地域
の3種類に分類し、サードプレイスの取り組みとして首都圏・地方都市の事例を紹介しています。
2019年秋に初版発行で、本の帯にもあるようにアフターコロナを見据えた一つの選択肢としてヒントが詰まっている本でした。
ただ、コロナ前はリアルに集まることができたけれど、今は人が集まりにくい状況です。創意工夫して熱心にサードプレイスの形成をされていた方々がコロナ禍でどのような動きをされているのか少し気になりました。
■本のあらすじ
サードプレイスとは職場でも家庭でもない居心地の良い第3の居場所のこと。地域のNPO、こども食堂、起業、副業、コミュニティカフェ、二地域居住、ワーケーション、マルシェ、廃校の活用、プロボノ、イノベーション教育、中山間地域のアクティブラーニング、シニア雇用、生涯学習、故郷のコミュニティ、フューチャーセンターなどの事例を紹介。
事例は室蘭、新潟、松戸、市川、調布、川崎、横浜、静岡、藤枝、島田、中津川、恵那、土佐山、宗像など。地域とゆるくつながるヒントが満載!
読み終えて、印象的だったことを備忘録して書き留めてみます。
■風の人として
「風の人」として、複数の地域のファンになり、複数の地域に貢献しても、本来、何ら問題はないはずです。
「風の人」という言葉。ローカルジャーナリストの田中輝美さんが提唱した言葉で、風の人がどんな人かというと、多様な関わり方を自由に選択し、定住・移住でもなく、交流・観光でもなく、地域の仲間として貢献したいという気持ちに沿って行動している人だそうです。
私は宮崎県の観光に関わりたいという漠然とした想いがあるのですが、最近少し取り組むことがあり、やっぱりよそものは地域のことをちゃんと理解していないし、そこで生活していない、地元のコミュニティにも参加していない人が関わっていきたいと思うのはそもそも難しい話なのではないか、一区切りさせようか・・と考えていました。
「風の人」という言葉を聞くと、凝り固まらずに模索し続けるのもありかなと思えてきました。風、風、風・・と考えていると、スナフキンのようなさすらいの人のイメージが少し連想されてきてしまったのは余談です。。
■1本の藁から
はじめから強い意志を持って故郷とつながりたいと思っていたわけではないのです。たった1本の藁が思いがけない品に交換されていくわらしべ長者の物語のように、偶然や小さなきっかけで、結果的に故郷との関わりが深まっていったわけです。
第3章の福岡県宗像市が故郷の人たちによって始まったリトルムナカタの事例紹介からの引用です。
こちらも私の良きように捉えてしまいましたが、1つ1つが無駄じゃなく、1本の藁が繋がっていつしか思いがけない形をなしていくかもしれないと信じて、不毛だと思わずにコツコツやっていこうと思えた文でした。
■おわりに
本というのは、自分が体験していなくても多くの情報を知り、擬似体験することができ、ときには眼から鱗な事例と出合えることもあり、また背中を押ししてくれることもあります。
私は全てを間に受けて、習わねば!ととても影響されやすいところがあるですが、本から得た情報を一つの意見として捉え、自分はどうしたいのかを多角的に考えるということを今後はしていきたいと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました(^^)