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秀作年の3つの条件

「秀作年のみ」と聞くと、多くのワイン愛好家がヴィンテージ・シャンパーニュを思い浮かべる人も少なくないでしょう。しかし、赤ワインにも、秀作年は存在します。それが、今夜抜栓したブシャールのプレミアム・キュヴェ〝コトードモワンヌ〟です。このブルゴーニュのワインは、豊かな果実味と複雑さを備えた特別な一本で、2021年という特異な年を象徴しています。

では、秀作年とはどのような条件が満たされるべきなのでしょうか?ヴィンテージは単なる気候の結果ではなく、複数の要素が組み合わさることで生まれるのです。

1.気候のバランス
秀作年の最も基本的な条件は、ブドウにとって理想的な気候です。春の霜害がなく、夏には十分な日照と適度な雨量があり、収穫期には乾燥した気候が求められます。2021年のブルゴーニュでは、厳しい霜害が発生しましたが、その試練が逆に凝縮した果実をもたらしました。

2.低収量が生む凝縮感
秀作年のもうひとつの重要な条件は、収量が適度に抑えられていることです。豊作を期待するかもしれませんが、実際には収量が少ないことで、ブドウが凝縮し、深みのあるワインが生まれます。2021年のブルゴーニュでは、霜害の影響で収量は減りましたが、その分凝縮感の高い果実が収穫されました。ブシャールの〝コトードモワンヌ〟は、その象徴と言えます。口に含むと、完熟したチェリーやベリーの豊かな香りが広がり、スパイスやミネラル感が複雑に絡み合います。

3.テロワールの表現力
秀作年のワインは、その土地のテロワールをどれだけ忠実に表現できているかが重要です。ブルゴーニュのピノノワールは、特に土壌の個性が色濃く反映される品種で、〝コトードモワンヌ〟はその点で際立っています。石灰質の土壌がブドウにミネラル感を与え、気候条件がブドウの酸味と果実味のバランスを絶妙に調整します。このテロワールが生み出すピノノワールの特長が、〝コトードモワンヌ〟に深く刻まれています。

秀作年とは、気候、収量、そしてテロワールの絶妙なバランスが揃った年に生まれるワインです。それは、好天候だけでなく、自然の厳しさや試練を乗り越えて生まれる特別なものです。ブシャールの〝コトードモワンヌ〟もまた、2021年という特別な年を記憶に刻む一杯です。「秀作年」を意識することで、その年ごとのストーリーや背景を感じ取ることができ、ワインの奥深い楽しみ方が広がるのです。

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