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【東京vs地方】アナウンサーをするならどっち?【地方の最大のメリット】

こんにちは。

会社員からフリーのアナウンサーになって早10数年。


さてタイトルの話。

「アナウンサーをするなら東京か?それとも地方か?」

1.地域の顔になりたいかどうか

結論から言いますと

中途半端に東京やキー局にこだわり続けると小さく終わり、地方に腰を据えると地域の「顔」になれる可能性が高い。

東京や大きな都市ではライバルが多く、地方ではライバルが少ないというその差だけです。

どちらがいいかです。

キー局のアナウンサー採用試験の倍率は数千倍とも言われています。

内定をもらえる人の方が圧倒的に少なく、殆どの人にとっては不採用という結果です。

本当に実力のある人はキー局も受かるでしょうし、仮にどこかの事務所に所属してフリーになったとしても大舞台で活躍できます。

目指すところはそこでも叶えられる人は本当に一部です。

それでも東京で活躍したく、とりあえずは地方のアナウンサーになるけれど、何年かしたら東京の事務所やまた別の地方局に行く人も多いことでしょう。

アナウンサーとして何を求めてキー局や東京を目指すかにもよりますが、ただ目立ちたいだけなら東京や人口の多い都市部ではなく地方の方がおすすめです。

絶対に。

それも一つの地域に腰を据えて。

「ただ目立ちたいだけ」ってちょっと乱暴な表現ですね。

「私はそうでーす!」なんて言う人はまずいないでしょうからもう少し噛み砕いで説明しますと、よりたくさんの仕事をさせてもらえて、より責任があり大きな仕事をする機会に恵まれ、結果としてアナウンス技術が実地で鍛えられる。

そしてその結果、その局やその地域の「顔」の一つになる。

という意味です。

地方は小さければ小さいほどライバルも少なく、開拓の余地があります。

ライバルが少ないと技術が伸びないのでは?と思うかもしれません。

周囲のレベルの高さから受ける刺激も大切ではありますが、実践を数多くこなすことも重要です。

経験数は糧になり自分を育ててくれます。

「開拓の余地がある」というのは、アナウンサーをいかした、又はアナウンサーだからこそ出来る別ジャンルの仕事のことです。

ちょっと得意なことがあれば知名度をいかしてその得意なことの先生や商品プロデュースなんかも出来るかもしれません。

もちろん副業として。

小さな地方はライバルが少ない分、色んなことに挑戦でき、更にそれが特別なこととして取り上げられる可能性が高いのです。

2.局アナは土台ムリだった私

ここからは私の話し。

私がアナウンサーを目指そうと思った時にはすでに二十歳を過ぎていて、今から目指すには遅すぎる状況でした。

キー局どころか地方局も無理。

狙うならば、実家から通える地元の事務所に所属するか地元のNHKの契約キャスターを狙うか。

でも経験どころか勉強すらしたことがないので、契約といえどいきなりNHKが採用してくれるとは思えない。

まずはパソコンの学校に通い始めました。

なぜ?!ですよね 笑

もし運良く採用された場合、アナウンス業務以外に最低限パソコン業務が出来ないと話にならないだろうと思ったのです。

そしてこの判断は後になって間違っていなかったと実感することになります。

パソコンの勉強をしながら、アナウンサー養成事務所に研修生という立場で入りました。

それとは別に今しか積めないであろう経験を今のうちに積もうと休みの日は演劇やモデルに挑戦したり、日中は一日パソコンの学校に通い夜は声を使うアルバイトをしたり。

研修生として勉強していた事務所からたまに声がかかる仕事は、声を使わない着ぐるみに入るバイトや声を使うものの携帯電話の販売などでした。

これでは勉強にならないと、自力で地方にきた演奏家のパーティー司会や芸能人のサイン会の司会、百貨店でのイベント司会の仕事などをとり経験値を増やしました。

事務所に所属すると個人で仕事をとることは厳しく禁止されていましたが、私はまだ研修生という立場だったのでそこは自由だったのが幸いでした。

何より目的はテレビで喋るアナウンサーになることでしたので、経験値になりそうにない着ぐるみや携帯電話の営業をしている時間はないと思っていました。

3.アルバイトリポーターから

そんなある日、地元の某テレビ局がリポーターを募集していると聞き応募しました。

リポーターといっても最初は月に1回程度仕事が入る単発のアルバイトのようなものでした。

それでも2回目には大きな生中継のリポーターを任されました。

今思うと新人どころか経験値のないただ若いだけの私に、生中継という失敗したら取り返しのつかない仕事をよくくれたもんだと思います。

貴重な経験をさせてくださったことに感謝です。

それをきっかけに、

うちの看板番組のレギュラーにならないか?そのかわり会社に入ってほしい。

と、お声がかかりました。

とてもありがたいことです。

会社員になるというのは、それまでのロケ一本いくらのギャラが支払われるリポーターとは違い、朝は定められた時間に出社してアナウンス業以外の社内の仕事も行うということです。

そのかわり給料は安定します。

それなのに私は大きな不安を持ちました。

私のような協調性も経験もない人が会社員としてやっていけるのか?と。

このままフリーでやっていきたい、と。

そしてここで勤め出したら当然他の局の仕事はできなくなる、つまりほぼ一生をこの会社に捧げるってこと?(嫌なんかい! 笑)と。

「まだ若いし、人生の修行だと思ってうちに来て欲しい」

との言葉に心が揺らぎ、

「5年後あたりにフリーランスになってもよければお受けしたいです。」と返答しました。

今思うと何様ですよね。

それに対して、


「ここでの経験を踏み台として考えてもらってもいい。」

とまでおっしゃっていただき、もう断る理由はありませんでした。

こうして私は、レギュラー出演する番組が決まった状態で小さな地方のとある局のアナウンサーになりました。

当時私はかなり色んな番組に出ていて露出が多かったせいか、入社半年も経たない時にディレクターから
「こんなこともできないなんて、お前何年この仕事してるんだよ!」
と衝撃の説教を受けたことがあります。

社長からも「最近よく出ているね。もう2、3年くらい経ったかな?」と声をかけられましたが、まだ入社半年でした。

先輩からも「テレビをつければいつも◯◯ちゃんが出てるね。」と言われました。

それだけたくさんの番組に毎日のように出ていたから、何年も会社に在籍しているように見られていたのだと思います。

見る側が飽きるのではないかと思うほど毎日露出できる。

これは小さな地方ならではだと思います。

小さいことや細かいことを考えている時間はなくて、ただひたすら目の前にある仕事に取り組んでいく毎日でした。

いつの間にか街を歩くと「◯◯ちゃん!いつも見てるよ」と声をかけてもらえるようになりました。

これがもし一念発起して東京に行っていたとしたら、まずあり得なかったと思います。

だってそもそもライバルが多すぎますから。

どこかの事務所に入ったとしても、くる仕事はやはり携帯販売だったかもしれないし、単発のキー局の仕事が入ったとしても街で頻繁に「◯◯ちゃん、いつも見てるよ!」と声をかけられるほどの仕事量をもらえたとは思えません。

もちろん本当に実力のある方は別ですよ!

4.まとめ


長くなりましたが、アナウンサーになるためには美貌に磨きをかけて良い大学とゼミを出て有名なアナウンススクールに通い、キー局のほかに地方局も受ける。

……というだけではありません。

正面玄関から入らなくても玄関は作り出せますし、キー局やより大きな地方局が全てではありません。

街が小さければ小さいほどライバルも少なく、実践も数多く積ませてもらえ、大きな仕事も割り振られます。

その結果、地域の「顔」になれるのです。

キー局やより大きな都市じゃないと絶対にいけない理由がない限り、小さな地方に腰を据えるのも手だと思いますよ。

次回は、「フリーアナウンサーの仕事のとり方」のお話。












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