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【読書】”パンとサーカス”には騙されない~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.466 2023.11.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第69弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「スポーツを文化にする」です。


印象に残った部分。

「ルールを守るのは楽しむためなんです。みんなでルールを決め、言いたいことはあっても飲み込むからこそ、世界大会が開催できます。スポーツでできるのだから、国際平和や環境問題を巡る議論の場でも、それが可能だと私は思っています」

p.10

柔道家の山口香さんの言葉です。本当にそうですよね。


フランスの柔道人口は日本の約4倍。

p.11

日本よりもフランスで、柔道がしっかり根付いているのですね。


「自民党の河村健夫元官房長官は『東京五輪がなければ国民の不満が我々政権に向く』と口にしたわけですが、これはまさしくスポーツイベントを利用して市民の注意を政治的な問題から逸らす”スポーツ・ウォッシング”であり、ローマ帝政期から続く”パンとサーカス”です。

p.14

こちらは元ラグビー選手の平尾剛さんの言葉。河村元官房長官の言葉、ひどすぎます。国民を馬鹿にしていると思います。なお”パンとサーカス”の説明として書かれた、「ローマ市民が食糧と娯楽を無償で与えられることで政治に対して従順になっていく様子を記した描写に由来」(p.14)という言葉も、心に留めておきたいです。”パンとサーカス”なんかに、騙されたくはないです。第一、今の私たちはパンもサーカスも無償でもらってなんかいないし。


特集以外では、まずスペシャル・インタビューの美弥るりかさんの話が印象的でした。失礼ながら美弥さんのことは今回初めて知ったのですが、社会貢献活動に自然に取り組む姿が素敵です。


香山リカさんの「むかわ町穂別診療所の四季」も良かったです。穂別で迎える最期の時は、穏やかなもののようですね。死ぬのが怖くなくなりそうです。
たまたま今、セネカの『人生の短さについて』を読んでいるのですが、その中の「母ヘルウィアへのなぐさめ」の中の一節ともリンクします。

もしきみが、最期の日を、罰ではなく自然の定めとみなし、その心から死の 恐れを追い出すなら、もうきみの心の中には、いかなる恐れも入り込もう とはしないだろう。

セネカ. 人生の短さについて 他2篇 (光文社古典新訳文庫) (p.100). 光文社. Kindle 版.


「世界短信」のメキシコの記事で紹介された、「ミルパ」というマヤの伝統農法も印象的でした。「トウモロコシを中心に豆やカボチャ・ジャガイモ・トウガラシなどの作物を一緒に育てる」(p.15)もので、「昨年発表されたある論文によると、他の作物と組み合わせて栽培したトウモロコシは単一栽培のものよりも栄養価が高いことが明らかになっている」(p.15)そうです。なのに「近年相次ぐハリケーンで壊滅的な打撃を受けた多くの農家が、高収量品種の単一作物栽培に切り替えたことで在来種が失われ、ミルパの存続が危ぶまれている」とのこと。ぜひミルパには存続し、むしろメキシコだけではなく、世界中に広がってほしいものです。


伴秀幸さんの「原発ウォッチ」に書かれた内容には、目を疑いました。1999年にJCOが起こした東海村の核燃料加工工場での臨界事故に関する記事です。

大泉さんの両親は、事故当時、加工工場から道路を1本だけ隔てた場所で営んでいた自動車部品工場で被曝した。距離にして120mしか離れていない。臨界によって飛び出した中性子線で被曝、加えて、大気中に放出された希ガス類や放射性ヨウ素による被曝も重なった。皮膚の赤斑や胃痛、そしてPTSDなどにより両親の健康が損なわれた。裁判に訴えるも、信じがたいことに、被曝と健康被害との因果関係は認められなかった。

p.24

本当に信じがたいです。どう考えても、因果関係がありますよね。


今号も、学ぶことが多く、盛りだくさんでした。
「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった吉富さん、いつもありがとうございます!




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