桃源郷の住民たち~『大家さんと僕』(矢部太郎)~
*この記事は、2019年2月のブログの記事を再構成したものです。
『大家さんと僕』の感想です。発売時から気にはなっていたのですが、1年以上経って、ようやく読みました。
↑kindle版
いやー、期待を裏切らない面白さ! でもおかしいだけではなく、矢部と大家さんが同時に失恋するところとか、結構しんみりさせられるところも多く、心の滋養に良い感じでした。
特に面白かったところはというと……。
1.ガリガリの矢部に対し、大家さんが「矢部さんを見てると、なんで日本が戦争に負けたかわかる気がするわ」というところ。
2.上京した友人との話が盛り上がり、京王プラザホテルに泊まって帰ってきた大家さんに対しての、「それは僕が知る限り最高齢の朝帰りでした」という矢部の感想。
3.矢部の誕生日をサプライズで祝ってくれた大家さんのケーキが、仏壇用のロウソクが刺さった手作りのおはぎだったこと。
4.してみたいことを訊かれ、大家さんが「バンジージャンプ」と答えるところ(実際には、バンジージャンプという言葉は言っていないのですが)。
5.オオヤさんについての話を振られ、本当は別の大矢さんのことだったのに、大家さんのことを一生懸命話す矢部。
6.後輩に大家さんのことを「おばあちゃん」と説明した矢部に大家さんが言う、「私のこと『おばあさん』て言ってましたね。忘れませんから……」という科白。
二人が互いに支えあい、とても良い関係を築いているのがよく分かります。ほうじ茶を飲み、血圧を測って遊ぶ二人は、桃源郷の住民のようだと思いました。
見出し画像には、「みんなのフォトギャラリー」からおはぎの写真を使わせていただきました。
↑単行本
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