カウンター席
わたしは横並びのカウンター席が好きだ。
お酒は弱い方ではないが、少しの酒で、顔が真っ赤になるので一人酒が好きだ。
特に、カウンター席で、酒の肴に舌鼓を打ちながらの一人酒が好きだ。
一人だと、飲んだり食べたりのペースが速くなるので、カウンターの中の店員さんを観察しながら、ゆっくりしたペースを作る。
わたしの地元は太平洋に面しており、どんな魚料理を食べても外れがない。刺身も厚く、食べ応えがある。
県外へ旅行に行ったときは、あまりの刺身の薄さに驚愕した。地元では、希望すると薄く刺身を切ってくれる。
でも、分厚い刺身にニンニクをドバッと積み上げて、大葉やミョウガのスライスと一緒に食べると最高に旨い。
カウンター席に一人、女性が座っていると、端からどんな風に見られるか、気にする人がいるが(わたしの同僚とか)、人目がちっとも気にならないわたし。
気にならないし、みっともないとも、寂しいとも思わない。むしろ、一人酒の女性が気になって仕方がない、そんな人を観察するのがおもしろい。
カウンターで一人酒が好きなわたしは、カウンターで一人ラーメンも好きだ。
横並びで、背中を丸めてラーメンをズズッと啜る。同じ行為をしていると、隣の知らないおっちゃんに親近感が湧いてくる。
たまに、ズズッという音がハモったりする。横並びは同調しやすいようだ。
そういえば、カウンターでお一人様が横並びして、チビリチビリとやっている時も、妙に落ち着く。
言葉や情愛なんて、野暮なものを交わさなくても、隣の席の酒を飲む速さや、箸を進める速さが同調すると、肩寄せあって、酒を酌み交わしているみたいな気分になる。
でも、最近は、カウンター席にアクリル板が置かれていて、お一人様を透明な板が強調。
どうせなら、いっそのこと、輪島塗みたいな粋な板で隔ててもらいたい。
「my 板」でも持参して、粋にカウンターで一人酒をやりたいなあ。
さてさて、いつのことやら。