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第19話:人の「心」のメカニズム、人はなぜ感動するのか?

 毎日分野の違うお話をしてきているのですが、そろそろ「ネタ切れ感」が満載な感じですが、 今日は人の「心」についてお話をします。おっと文学の夏目漱石の「こころ」の話ではないですよ? 本当の人の「心」についてです。

 私は「技術者」なので「バリバリ」の理系なので、人の「心」を「脳の電気信号」だと無粋に理解しておりました。でも調べれば調べるほど分からなくなるのが「心」というものでして、実は「科学的」に解明が困難と言われているん分野なんですよね。

 じゃあ「心」を知るため、なにか手がかりはないか? と問われると、そんなこともないわけで、今の人類は「人の心」を「ある学問」によって一部を説明することができるんです。ね、それがなにか興味あるでしょ? 知りたいでしょ? 今日はその答えの1つを偉そうに語ってみようかなと思います。

 と言ってもその答えは簡単で「心理学」と「哲学」です。なぁんだと思ったあなた、じつはここらへんの学問って「説明」するのが本当に難しいんですよ。そして「理解」するのも本当に難しいんですよ。 ちなみに私は、数式で説明できる「数学」や「物理」の方が理解するのが簡単と感じているくらいですw

 では今日は、そんな「心理学」や「哲学」のなかでも比較的とっつきやすく、人の心と関係が深い「クオリア」について説明しようと思います。って皆さん「クオリア」って聞いたことあります? まぁ、ある一定数の人はいると答えると思うのですが、「理系」の人にはなじみがない言葉かもしれないですね。ということで今日はここらへんになじみが薄い「理系」の皆様のためにも基礎的な所から説明していきますね。

 ちなみに最初に言っておきますが、この「クオリア」という概念、「科学」の信奉者が多いので理系の人がピンとこない「概念」です。しかし「文系」の人には直感的に理解できる概念です。なので、私が今からできる限り簡単に説明しようと思うのですが、分からなくても全然恥じることがありません。私の説明が下手なこともありますが、それ以上に分からない人には一生分からない概念なのですから‥‥。

 といって煽ってるわけではなくて、それだけ「心理学」や「哲学」という学問は難解なのです。文系の人が「量子力学」を理解しにくいのと同じで、 理系の人が「ハイデガー(20 世紀最大の哲学者)の哲学」を理解しようとしても間違いなく頭を抱えてしまうのです。これはそれと同じものだと思ってくだされば幸いです。

ハイデガー(wikipediaより引用)

 と、話が脱線してしまいましたが、話を本筋に戻して「クオリア」の話。クオリアは感覚質ともよばれ、人の心を形成する一つのパーツであると言われています。一言でいえば意識的・主観的に感じたり経験したりする「質」のことです。

  って、この時点で、もう何言っているのかわかんない「理系」の人が多いと思いますが、例をあげれば、「二日酔いで頭がズキズキ痛む感じ」とか 「面白いゲームをしている時のドキドキする感じ」とか「青々とした空を見るときの爽快な感じ」とか「バナナをみてよだれがでる感じ」とか自分自身が「主観者(主語)」として体験できる様々な感覚の「質」が「クオリア」と呼ばれるものなのです。

 でしょ? やっぱり理系の人はこう説明しても「ピン」と来ないでしょ? こういうのでピンと来る人は文系の人だけなのです。だからそれは仕方がないことなのです。ただ過去の哲学者は「クオリア」をわかりやすく説明するために下記の思考実験を残してくれています。なので「ピン」と来なかった人は下記の思考実験の問を考えて、そのあと考えてみてください。

問:
 今、白黒の部屋の中で生まれ育ったメアリーという女性がいるとします。 メアリーはこの部屋から一歩も外に出たことがないばかりか、生まれて一度も「色」を見たことがないとします。

 普段は、白黒の本を読みながら知識を増やし、白黒のテレビを見ながら世界で今起こっている出来事を学んでいます。 ただ色を見たことはないですが、視覚の神経生理学については世界トップレイベルの専門知識を持っているとします。 光の特性、眼球の構造としくみ、人がどういう場面で「赤い」という言葉を使い、どういう時に「青い」という言葉を使うのか等々、 知らないことはないと言えるレベルの『視覚に関する物理的な知識』を全て有しているとします。

 そんなメアリーが、この白黒の部屋の外から出ると、どうなるでしょう? 生まれて初めて色を見た時、そこに新しい発見や学びはあると思いますか?

答:
 もしメアリーは外の世界を見た時、新しく何かを学ぶか?という問いの答えがもし「Yes」だとすると、 物理的な情報や知識は、この世界に関する万物を学ぶのに十分ではないということになります。 つまり、人間は物理的なもの以外からも学ぶということになり、それが「クオリア」だというものです。 そして、そのクオリアこそ「人間の心」を形づくるものなのです。

 はい、わかりましたか? これが通称メアリーの部屋 (Cuarto de Mary)と呼ばれているフランク・ジャクソンという哲学者によって考案された「クオリア」を説明する思考実験なんですが、一定数の人は何言っているかわからないですよね。つまり、人の「心」というのは、それくらい微妙な感覚を積み重ねたモノによって形成されているのです。それを理解して欲しいのです。

 いや、でも「クオリア」が分らなくて悔しいという方もいると思いますので、最後に図解で説明してみます。といってもwikipediaからの引用ですが‥‥。これで分からなかったら「クオリア」を理解することは諦めてくださいねw

笛から発せられた空気振動(音)が、笛の音のクオリア「ピー」を発生させるまでの流れ(左端:笛、青:音波、赤:鼓膜、黄:蝸牛、緑:有毛細胞、紫:周波数スペクトル、橙:神経細胞の興奮、右端:笛の音のクオリア)(wikipediaより引用)

 ということで、最後に「クオリア」を使ったマーケティングの話をします。実はこの「クオリア」、少し考えればわかるのですが、人の感情に作用するものです。なんというか直感的な感動に作用するものなんです。特に「クオリア」により感動を感じやすい「感受性の強い人」、主に「女性」には、この「クオリア」に訴えかけるマーケティングが非常に有効であることがわかっています。

 ちなみに「クオリア」を理解できない人が多いと言われる「男性」には、このマーケティングの効果が薄くなってしまいます。だからこそ、「クオリア」に訴えかけてくる商品に男性は理解しがたく、だからこそ、「女性の直感的な感覚」は男性は理解しにくいのでは? と私は思っています。

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