ダブリナーズ『アラビー』読書会用トピックリスト(なんかよく分からんから)

ネタばれかもしれないので注意。

 このノートは、「Deep Dubliners — ジェイムズ・ジョイス『ダブリナーズ』オンライン読書会」の予習メモです。
https://www.stephens-workshop.com/deep-dubliners/

「何これ」と思うような拍子抜けの作品で、全くわからんので、えらそうにトピックリストをあげてみます。

読んだのは下記。

  1. 『DUBLINERS』NORTON CRITICAL EDITIONS Edited by Margot Norris 2006

  2. 『The Collected Works of James Joyce』THE CASTANEA GROUP (kindle版)

  3. 『ダブリン市民』安藤一郎訳 新潮文庫(昭和58年11月20日 43版)

  4. 『ダブリンの人びと』米本義孝訳 ちくま文庫(2008年2月10日 一刷)

  5. 『ダブリナーズ』柳瀬尚紀訳 新潮文庫(平成22年3月1日 一刷)

以下、原文の引用は1から(D A.行数)、翻訳は5から(D-Y A.ページ数)。

タイトルの『ARABY 』 には、バザーの名称以外に何か意味があるのか?

下記との関係は?
イブン・アラビー
The Arab's Farewell to his Steed

どのくらい擬人化された非生物があらわれるだろうか?

最初のパラグラフは、袋小路の一角の建物などの、擬人的な表現であるが、「僕」が過去を振り返って述べているのではなく、街角そのものが、「僕」が登場する前の空き家とその周辺について述べているように読めるか?

「僕」が住んでいる家の描写が荒れているのはなぜか?

冒頭の2パラグラフ目の「黴臭い空気」「反故紙のたぐい」「荒れた庭」「絡み合う薮」「錆びついた自転車の空気入れ」などは「僕」が引っ越してきた直後のことなのか? だとしても
「壊れた窓ガラスの一つから」(D-Y A.46 )  ”one of the broken panes” (D A.75)
という表現もあるが、なぜ、窓ガラスを何枚も壊れたままにしているのか?

語っているのは未来の「僕」なので、「僕」の記憶の中で、昔の家は荒廃したイメージなのか? であればなぜ?

これらの本の意味は何か?

“The Abbot, by Walter Scott, The Devout Communicant and The Memoirs of Vidocq.

D A.12-3

・ロマンチックな歴史小説
・聖体拝領での瞑想と大望
・探偵の小説
このうち探偵の小説がお気に入りなのはなぜか?

なぜ、聖杯(chalice)を「市場の群集=敵」から守りながら、歩いていくことを想像するのか? (D-Y A.47, D A.64-5)

「姉妹」の死んだ神父が割っておかしくなった/抱えて棺に入っていた聖杯との関係は?
聖杯伝説との関係は?

下のパラグラフは、僕自身を街灯の灯りになぞらえて、彼女を舐めるように眺めているが、「僕」は10歳のおっさんなのか?

While she spoke she turned a silver bracelet round and round her wrist.

It fell over one side of her dress and caught the white border of a petticoat, just visible as she stood at ease.

D A.89-98

なぜ、2階が「僕」を解放するのか?

I mounted the staircase and gained the upper part of the house. The high cold empty gloomy rooms liberated me and I went from room to room singing.

D A.126-9

「僕」の旅の収支報告をしてください。

収入
おじさんから1フロリン=2シリング=24ペンス

支出
行きの列車の運賃:4ペンス
バザー入場料:1シリング(子供は6ペンスの入り口があったらしいが、見つからず)
買い物:0
帰りの列車の運賃:(怒りに燃えて徒歩で帰ったので、0)

バザーの店での店員と男2人との会話でイギリス訛りに気がついたのはなぜか? また、3人の会話の意味は何か?

自分がなぜバザーに来たか忘れるくらい焦ってるのに、雑談している店員がイギリス訛りなのを気にするとは思えないが。

—O, I never said such a thing!
—O, but you did!
—O, but I didn’t!
—Didn’t she say that?
—Yes. I heard her.
—O, there’s a ... fib!

D A.195-200

こんな会話をなぜ「僕」は覚えているのか?
自分がバザーに来た目的も忘れるくらい焦っていたし、憧れのお姉さんにバザーに行くのと訊かれて yes か no かどう答えたかも覚えていないのに。
回想時の「僕」の創作? それならさらになぜ? なぜこんな無意味な会話を挿入するのか?

店の前でぐずぐずしているのはなぜか?

(無駄だとわかっているけれど)本当は欲しい物があるんだよ、と店員に思わせておきたかったのか? 用もないのにウロウロしている子供とは見られたくなかったからなのか?

収支報告から類推される硬貨の移動は?

①家:1フロリン硬貨
②駅:1シリング硬貨+6ペンス硬貨+1ペニー×2枚
③バザー入場口:右手に6ペンス硬貨+ポケットに「1シルング硬貨+1ペニー×2枚」
④6ペンス入場口なく、ポケットから左手で「1シリング硬貨+1ペニー×2枚」を出し、1シリングを払い、左手に1ペニー×2枚。右手の6ペンス硬貨は帰りの列車賃としてポケットに。
⑤バザー内:1ペニー×2枚を握ったまま
⑥バザーの終わり:ポケット6ペンス硬貨に1ペニー×2枚をチャリンと。

なぜ、「許した(allowed)」のか?

I allowed the two pennies to fall against the sixpence in my pocket.

D A.214-5

「僕は2枚のペニー硬貨にポケットの中の6ペンス硬貨に落ちて当たるのを許した」
僕があきらることを「許した」のか?

なぜ、anguish と anger で目を燃え上がらせるのか?

Gazing up into the darkness I saw myself as a creature driven and derided by vanity; and my eyes burned with anguish and anger.

D A.218-20

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