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andropの「悲しいことがあった日も、ライブに来てくれたからには楽しんでほしい」がつまったNOW PLAYING JAPAN Vol.3

2019年5月28日に開催されたNOW PLAYING JAPAN Vol.3。出演アーティストのうちの一組、andropに圧倒されて、さらに好きになってしまった理由を、曲を紹介しつつ記すnoteです。

※曲名にSpotifyのリンクをはっていますので気になったものはぜひ。


圧巻のライブでした。

力強いメッセージのこもったバラード『Hikari』から始まり、『Blue Nude』『SOS!』とメロディーに体を委ねるナンバーが続き、『Voice』『Yeah!Yeah!Yeah!』で会場が一体になりボルテージを最高潮に持ってきて、初の王道ラブソング『Koi』で締めくくる。

終わった後の、高揚感と心の健やか度はとてつもなくて、たった30分ほどの時間でも満ち足りた気分でした。

このセトリが最高だったと言えばそれまでなのかもしれません。でも、こんなにも選曲や、聴こえてくる歌詞とその歌い方に想いを巡らせられたのは、ギターボーカル内澤さんの発言によるところがあると思うのです。



「みなさん、聞いてください――」
ひとつ前のバンド演奏が終わり、andropの機材準備中。ギターボーカルの内澤さんが声を放つ。
今日、悲しいことがあったじゃないですか。そのことを忘れられなくて、心からライブを楽しめない人もいると思うんですよ。だけど、ここに来てくれたからには楽しんでもらいたい。今日、あなたに会えてよかった。次、andropやります。よろしくお願いします」


悲しいことが何かは明言していませんでしたが、その日の通学時間帯に発生した事件のことだと予想がつきました。

心の痛む悲惨な出来事と思ったものの、ライブでこのニュースに触れるとは考えていませんでした。

震災や大雨被害があったときに「被災地のために」と話す人はたくさんいますが、ライブ当日に起こった痛ましい事件について言及する人は見たことがなかったのです。目を見張り、ライブが始まるまで言葉を反芻しました。

ニュースを自分事として捉えているからこその発言。無闇に被害者の方々に言葉を向けずに、あくまで会場に来ている人に向けた言葉なのが、すごくいい。

「被害に遭った方のために」はきれい事に聞こえてしまうけど、そうじゃなくて、あくまでも会場にいる人に、自分の声と音楽が届く範囲の人に向かって「力になりたい」と伝えたところが、謙虚で押し付けがましくなくて、とてもいい。

これが素直に言葉を受け止めて、感動に近い衝撃を受けた理由だと思います。


1曲目の『Hikari』。

光に変えていくよ どんな暗闇も
夢見た未来が途切れないように
生まれる明日が眩しく光るよ
そこから僕が連れてゆく


もともと決まっていたセトリなのだとは思うのですが、この状況にぴったりと寄り添う曲のように聴こえました。

悲しみでいっぱいいっぱいで目の前が暗くなったときに、音楽で明りを一筋でも照らそうとする。さきの発言も、光を探し出したり、誰かの光になろうとしたりする楽曲の多いandropだからこそ、出てきたものなのかもしれないなと。


4曲目の『Voice』。

今 誰の代わりもいない君の生まれた声を聞かせてよ
どこにも代わりのいない君の生まれた声で歌ってよ


この歌詞のままに、会場にいる人々の歌声で空間が埋め尽くされました。風邪をひいていて全然声は出せなかったのですが、しっかり上まで手を伸ばして手拍子で盛り上がりに参加し、普段のしがらみを忘れ去りました。もう楽しいことといったら……!


つづくは『Yeah!Yeah!Yeah!』。

でも はじけ飛ぶメロディ
大切な今日にしよう
何度も歩いては ためらうときもあるけど

歌詞の中にある「今日」を強調していて、会場にいる人にとっての今日が「悲しみよりも楽しさの勝った日」となるように、との気持ちが込められているように聴こえました。

この曲も歌うところ・手拍子するところがあり、会場全体のテンションは最高潮に。見渡せる範囲の方々がみんな笑顔でなにより。ライブ会場の多幸感に浸るだけで自分も幸せになれる説、あると思いませんか……!。



「みなさん、恋していますか?僕たちは音楽に恋しています。すてきな恋しましょうね」


失笑を誘った内澤さんのラストの『Koi』直前のひとこと(ベースの前田さんはめっちゃ笑ってて楽しそうでした)。


けしてトークにおいて雄弁ではないandrop。それでも、伝えたいことがあったら、真剣に伝えようとする姿が最高にすてきだなと。ウケ狙った発言がコケちゃうこともあるのに、トークの着地点見えないこともあるのに、伝えたいことは、まっすぐ誤魔化さないで届けるところが、かっこいいなあと思います

しかも、ちゃんと会場にいる私たちを楽しませてくれたから。「ここでは楽しみましょう」を有言実行した30分間だったから、心の底から満ち足りた気持ちになって、andropをさらき好きになりました


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