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京大生の本棚part.3〜五十嵐律人さん「法廷遊戯」〜

 いや〜面白かった!これほど読むのに頭を使う小説というのも久しぶりです。

法学部生のはしくれである私が、五十嵐律人さん著「法廷遊戯」の感想を記していきたいと思います。  

 この本は、こんな人におすすめです!

・「罪」とは何か、「罰」とは何かを考えてみたい人
・法律にぼんやり興味があるけど、なんか敷居が高いなと思っている人
・どんでん返しの連続のノンストップエンターテインメント小説を読んでみたい人
・考える読書をしたい人

 ちなみに、解説をされているのはQuizKnock河村さんです。

ポンコツすぎてリンクだけしか載せられなかったので、表紙は実写で。
https://amzn.to/3M1enBU

 ☝️Amazonのリンクです!(ご面倒をおかけしますがこのリンクから飛んでいただけると筆者が喜びます。何卒…🙇‍♀️)

 いきなり宣伝で失礼いたしました。
できる限り見ていただけるところにリンクを載せたかったもので…

では、本題に参りましょう。
序盤に司法手続きの専門用語が出てくるので「うっ」となりかけましたが、この小説は法律に関する知識そのものを問うものではありません。
それよりも、もっと本質的な話です。

 突然ですが、あなたは、「目には目を、歯には歯を」という言葉を聞いたことがありますか?

 社会現象にもなった某ドラマの「やられたらやり返す、倍返しだ!」というように「自分が何か危害を加えられたら、やり返して良いってことでしょ」と認識している方も多いのではないでしょうか。
 …半分、正解です。
挑発的な言い方になってしまいましたが、少し想像してみてください。

 あなたはある人と取っ組み合いの喧嘩をしていて、相手に顔面を殴られ、不幸にも片目を潰されてしまいました。

さあ、相手をどうしますか?
思い切り殴り返しますか?え、半ごろしにする?それとも…

 片目を奪われるのは大きな苦痛を伴います。でも、冷静に考えてみてください。奪われたのは片目の視力。
それなのに、相手には命を持って償わせるのは、重すぎではありませんか?

 何か被害を受けたら、それと同程度の報復しかしてはならない。
 つまりこの場合、相手の片目をつぶすことで勘弁してあげようという話。それが「目には目を」=同害報復の真の意味なのです。

「目には目を」の引用元、ハンムラビ法典
画像引用元: https://sekainorekisi.com/glossary/%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%A0%E3%83%A9%E3%83%93/


 どれほど腹が立っても、同程度の報復で許すというのは、ある意味では「寛容の論理」(登場人物の1人、結城馨のセリフより)なのです。

 しかし、本当にそうでしょうか?
この原理で行くと、「誰かの命を奪った人は、自分の命を持って償わなくてはならない」ということになるのではないでしょうか。

 でも、故意ではなく過失で人の命を奪うことになってしまった場合、命での償いは重すぎます。
それは、「本当の意味」で人の命を奪った者にのみ課されるべき罰です。 

「本当の意味」での殺人-----。
一体何を持ってしてそれを決めるのでしょうか?

 その答えを丸一冊を使って、読者の頭も総動員して考えるのが、「法廷遊戯」という作品なのだろうと思いました。

 あまりに抽象的なので、物語そのものの話もしましょう。
 なお、映画のHPで公開されている範囲のネタバレをします。「まっさらな状態で読みたいよ!」という方はここで閉じてください。 



左から、結城馨(演:北村匠海さん)
主人公・久我清義(演:永瀬廉さん)
織本美鈴(演:杉咲花さん)

メインとなる登場人物は3人。みな法律家を目指しています(いました)。
 主人公・久我清義(くが きよよし)は弁護士に、
ヒロイン(?)・織本美鈴(おりもと みれい)は大事件の被告人に、
もう1人(主人公の友人)・結城馨(ゆうき かおる)は命を落とします。
それも、非業の死というべきものでした。

 しかも、その友人を殺害した容疑で美鈴が逮捕され、清義が弁護人になるのです。
 どうです、ゾクゾクしませんか?

 弁護人となった清義は、数々の謎にぶち当たります。
・美鈴が本当に馨を手にかけたのか?
・そうでないなら、馨はどうして命を落とさなければならなかったのか?

 しかしこの事件の裏には、3人を結ぶあまりにも壮絶な過去が強く絡んでいて…。
 物語としてはハードですが、展開が何回も何回もひっくり返り、驚きの連続。それがシリアスな中にもエンターテインメントの要素を加えています。

 特に最終章の盛り上がりは凄かった。思わず「えーっ」と口に出してしまったほどです。これは、ぜひ実際に読んで体感していただきたいです!

 最後にトリビアを一つ。表紙に描かれている花は、おそらくリンドウです。リンドウの花言葉は、「正義感」「勝利」

リンドウの花。
画像引用元: https://gardenstory.jp/plants/48353/


 詳しくは言えませんが、物語を読むと、このトリビアが深〜い味わいを添えてくれます。

 個人的にかなりのヒット作品です(というか、最近の小説はどれもレベル高い)。ぜひ、お手に取ってみてください!





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