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【同性愛】 SNSのリア垢を辞めてから3年が経った

 約3年前、私は全てのリア垢(リアル友だちと繋がっているSNSアカウントのこと)を消しました。

事前の投稿なども行わず、特になにも言わずに、夜中にそっと。


Twitter、Instagramなど、なかには10年近く続けていたアカウントもありました。


でももう正直、心が限界だったのです。


みんなが辿っていく王道の道筋を目にするたびに、心に抱くナゾの焦燥感と、それらの道筋を自分も辿らなければならいのではないかという強制感に対して。


「自分はこの道を歩いていく!」と決心した次の瞬間にSNSを開くと「……やっぱりちゃんと現実的な道を歩んでいかなきゃだな」なんて、心のなかの灯火に霧吹きでシュッと水をかけてしまったように、意気消沈してしまう。

以前から書いているように、私は周りに対してセクシャリティをオープンにすることなく生きてきたので、自分を鼓舞できるのも、自分の心を守れるのも、自分の味方になれるのも、自分しかいませんでした。

だから私は約3年前のあの日、自分で自分の心を守るために、全てのリア垢を消したのです。

colorfull🌈



あれから約3年が経ったいま、とっても心が軽いです。


と言うのも、以前は苦しめられていた「無意識に他人と比べるクセ」が無くなったから。さらに、それだけでなく「貴方にはあなたの道がある、それと同じで、私には私の道がある」そんなふうに、自己と他者をいい意味で区切って考えられるようにもなりました。


結婚、子ども、マイホーム、etc…

同性愛者、異性愛者、アセクシャル、etc…

将来の夢、仕事、キャリアプラン、人生設計、価値観、それぞれが個性を持って生まれてきた意味、etc…


みんな違う、それが「当たり前」な世界なはず。

だけど、SNSを見ているとどうしても世間一般の「当たり前」を知らず知らずのうちに意識してしまう。


だから私は3年前のあの日、他人から見せられる世界ではなく、自分が生きたい世界に焦点を当てることにしました。


今回の記事では、そんな私の実体験を綴ってみようと思います。どこかの誰かがこれを読んで、私と同じように心が少しでも軽くなることを願いながら。




SNSのリア垢を辞めた経緯

 元々、私は会社に勤めていたのですが、新型コロナ禍の影響を受ける国際系だったことから会社を辞職して、独立しました。独立して一人で仕事をしていくこと。それは愚痴をこぼせる同期はおろか、悩みを相談できる上司もいないということでもありました。

さらには、取引先と交渉をするにも、仕事を受けるも断るにも、全て自分で判断しなければならない。会社という大きな盾もなくなったいま、自分を守れるのは自分だけ。

自分で決めたことだけれど、どうしても孤独を感じてしまっていた。

「いま会いたいな、嫌なことあったから」

Official 髭男 dismさん『コーヒーとシロップ』歌詞から一部引用



そんなとき、声が聞きたくなって、話がしたくなった。今日あった理不尽な出来事も貴方と話していたら、いつの間にか全てが笑い話になるから。強くそう感じていたとき、ちょうどそんなころから、好きだった人から返信があまり来なくなり、また少し経ってから恋人が出来たのだと知りました。


大切な人も恋も愛も
性も、どうしよう
いつまでたっても守りきれないよ
いつかは消えてしまう

あいみょん さん『あした世界が終わるとしても』歌詞から一部引用



 どうしても、自分はマイノリティなのだと自覚する機会が多ければ多いほど、心が弱っているときには傷を負ってしまう。私には私のペースがあるのだから、それを着実に辿っていけば良いのに、どうしても人と比べてしまう。



名字が変わった友人たちの姿、親族に祝福されている結婚式の写真たち、子どもを抱く友人たちの姿。ウェディングドレスに身を包んだ友人の姿。レディーススーツを着て大企業のパーティで表彰されている友人の姿、ゴツゴツした男性の手に重なり合った、好きだった人の手の写真。キラリと光る薬指の指輪。


それらに「おめでとう!」とコメントを贈り、平気な顔をしてイイネを押す私。


☔️no rain, no rainbow🌈



どうして私はオープンにすら、親友や両親にすら本当の自分の一部を話せないのだろう、誰にもシェアできないのだろう。どうして隠さなければならないのだろう。自分の一部を公開することに関して、こんなにも勇気が必要で、勇気を出して公表したらしたで相手の反応を気にして伺わなければならないのだろう。


どうして、人と少し違うだけで、こんなにも悩むのだろう。

弱った心では、そんな考えがぐるぐると渦巻いてしまって。そんなプールの底に沈んでしまっているような状態のとき、だいぶ時間がかかってしまったけれど、あるとき気がついたんです。

それに終止符を打って、自分の足でプールの底をトンッと蹴って浮上できるのも、また自分だけしかいないのだということに。


今日も生きているのです
僕は僕の守り方を
ようやく知ったのです

あいみょん さん『あした世界が終わるとしても』歌詞から一部引用



リア垢をやめてから作った別アカウント

 そんなリア垢を全部消してから、自分が好きなものだけをフォローするアカウントを作ろうと思い立って新しいアカウントを作成しました。


そこでフォローしたりフォローされたりする人たちは、プロフィール欄やアカウント名など、どこかしこにレインボーフラッグが見受けられたり、投稿も素敵な同棲生活の様子の呟きだったりでタイムラインが出来上がっていて、自分は独りじゃないのだと思えることができるようになっていきました。


渦巻いていた複雑な感情も、抱いていた悩みも含めて、私だけではなかった。ただそう思えるだけでも気持ちの救いになったのです。それはまるで、山深い場所で先行く人が見えたときのような安心感に似ていました。あぁ、見えていなかっただけで、この山道をもっと先に歩いていた人がたくさんいたんだと実感できた感覚。

さらには「Love is Love」と声高にメッセージを届けてくれる表に立つ人たちの姿や、動画や文章を通して語られる温かい気持ちにも何度も助けられながら。


あと、最近だと「この時代に生まれてきて良かった」と思える瞬間もありました。もちろん、まだまだ不十分すぎて傷つくようなことも多いけれど、やっぱり少しずつ時代は進化している。だから大丈夫だと、希望を抱いている。ずっと信じている。

YouTube『ทฤษฎีสีชมพู GAP The series | EP.12』から


 正直、以前はリア垢を全て消してしまうことに対してネガティブな考えがあったのですが(たとえば、人付き合いを遮断してしまうかなとか)、実際に行(おこな)ってみると人間関係の整理にも繋がり、不要な心労を減らすことができました。



全ての友人関係がなくなってしまうかと思いきや、本当に仲が良くてお互いが「自分らしく」いられる心地の良い相手とは、相変わらず連絡を取り合って実際に会っています。お互いに尊重し合って、居心地が良い、そんな友人付き合いはとても充実したもので、私にとっても大切なものなので、良かったです。

やはり僕は一人では
抱えきれないものばかりで
強くなれない身体に
強さを求めて

あいみょん さん『あした世界が終わるとしても』歌詞から一部引用



私が見ている世界

 以前の記事でも書きましたが、私が普段目にしている世界では、セクシャリティは人によって違うのが当たり前、女性同士で付き合っている、唯一無二の関係で繋がって一緒に住んでいる、そんな人たちがマジョリティです。

物語であっても同性同士、女の子が女の子に恋をする、そんな本や映画を観ているのでそれが私にとっての「当たり前」になっています。

そこには同性同士の恋愛であったり、多様なセクシャリティを包み込んで肯定してくれるような温かさがあって、自分だけじゃない、そう思えるだけで心がフッと軽くなる瞬間があり、そんな言葉を言って欲しかったと思えるフレーズに出会ったときには、優しさで包まれるような安心感があります。


同性同士が幸せになるハッピーエンドの物語に出会ったとき、もしくは、実際の同性カップルの方々が幸せそうに日々を過ごしている様子を見るとき、いつか自分もと夢見る時間が至福で。

だって、いままでどんな物語もドラマも理想の家族像を見ても、異性同士である限り、どれも自分に当てはまらなくて「いつか自分も」なんて夢見ることさえなかったから。

悲しい物語なんて
幼い頃に聞き飽きたよ
優しい誰かの呟きで
涙が出た いま

あいみょん さん『あした世界が終わるとしても』歌詞から一部引用



いわゆる「世間」という世界に目を向けると、マジョリティは異性愛で、同性愛はマイノリティなのだと痛感することばかり。それどころか、差別的な発言や偏見、女性同士で腕を組んで歩いているだけでもすれ違う人から不躾な視線を受けることもある。


憂鬱なモーニング
それとスローに変わり始めた
いつまでたっても笑えないなぁ
世界が腐りそうなんだ

あいみょん さん『あした世界が終わるとしても』歌詞から一部引用


「同性に対して恋愛感情を抱くなんて変だ、まだ知らないだけで、変えられるはずだ」そんなふうに主張する人に、私は問うてみたいのです。さらには「貴方が同性に対して恋心を抱けないように、私は異性に対して恋心を抱けないのです」と言ってみたいのです。

ただマジョリティとマイノリティの立場が逆になっただけで、どうしてそんなシンプルなことが分かってもらえないのだろう。


自分が見ている世界を変えたとしても、傷つく言葉も、考え方も目に入ってきます。でも、そんな人たちの言葉や考え方に傷つかなくて良いと、今度は私が貴方に伝えたい。

Beautiful Rainbow


そんなふうに全消去したリア垢たちですが、いまでも消してよかったなと思います。というのも、SNSを見て思い悩んでいた時間が減って、「自分らしく」いられる時間が増えたから。どうしていままで、あんなにも他人の目や考えを気にしていたんだろうと思えるほどに。



どんな道を行こうとも、人は「それは間違った道だよ」と言うから。


どの道を行こうとも「間違った道だ」なんて言われるのであれば、どの道を辿っても良いじゃないか、そんなふうに半ば開き直ってみると、とっても気楽に自分らしく生きられるようになりました。


重苦しく悩み込むよりも、軽い気持ちで日々を楽しく生きる方がよっぽどいい。


もう隠せない何かを抱え
迎えに行くんだよ
会いに行くんだよ
今はまだ伝えられないけど

あいみょん さん『あした世界が終わるとしても』歌詞から一部引用



いつか私がオープンにまで行き着いて、無理のない範囲でまたリア垢を作れそうだなと感じたときには新しく作るのも良いかな、なんてことも最近は思えるようになりました。だって、マイノリティだからと言って我慢しなければならないこともないはずだから。


「自分のなかに閉じ込めていちゃいけないこともある。どれだけ勇気を出して言葉にできるかは、自分次第だ。もし伝えることで安心して、もっと幸せになれると感じるなら、伝えてみてもいいかもしれない。

あと、これだけは覚えておいてほしい。
『自分のことを一番長く、最も傷つけてしまう可能性があるのは、自分自身だ』ということを」

YouTube『[Eng Sub] ทฤษฎีสีชมพู GAP The series | EP.9 [1/4]』Monお父さんのセリフから一部引用


隠し続けているから悪いなんてことは決してないし、オープンだからといって悩みが全く無くなるわけでもないと思う。でも、どうせなら「人と違う道」を楽しみながら軽やかに歩みたい。

その方法は人によって、それぞれ異なるだろうし、私もまだまだ模索中です。


ただ、自分の心が躍ること、楽しいと感じること、安心感を覚えること、将来に対して明るい気持ちになれること、自分にとっての幸せ、それらは自分自身にしか分からないから。

だから私は、自分で自分を守りながら、さらにいつか誰か大切な人も守れるように。そんな積み重ねが、きっと、たぶん、幸せにつながっていくと思うから。

今日も生きているのです
僕は僕の守り方を知りました
そして 君の側にいると決めました

あいみょん さん『あした世界が終わるとしても』歌詞から一部引用



最後に(リア垢を消そうかなと思った方へ)

 もし、この記事を読んで「じゃあ私もリア垢を全て消してみよう!」なんて思われた方へ。

この記事は「私の場合は、以前から抱いていたモヤモヤを拭い去るために、リア垢を全て消してみたよ」という体験談に過ぎません。

実は、私がリア垢を完全に消去する前には、デジタルデトックスとしてアカウントは持ったままログアウト状態でアプリを開かない、などのお試し期間(?)を何度か設けて行っていました。

それを徐々に1週間、1ヶ月……と期間を伸ばしていって「もう別に消しても良いかな」と感じたので最終的にアカウントを消しました。

つまり、何が言いたいかというと、リア垢でしか繋がっていない友だちや、そこで投稿される内容で知る友人たちの近況などはかけがえのないものでもあります。

なので、リア垢を消去する際は慎重に、まずはデトックスから初めて、それでも消して良いやと思ってから消すことをオススメします。

というのも、一度アカウントを消してしまったら、もう繋がれない人もなかにはいると思うので(ただその程度の関係ならもう良いかな、と個人的には思いますが)、リア垢を消す際は自己判断で慎重に行ってくださいね。

私の場合は、セクシャリティや仕事に関することで自分の心にあまり良くない影響を受けてしまうことが多かったため、この方法を実行してみたら、心が軽くなったよということをシェアしたくて書いてみました。


これからも、自分の心が少しでも軽く、楽しくなるような、心躍るような、そんなものを大切にしていきたい。


いつも「スキ」を本当にありがとうございます。

いままで雨が激しく降っていた分、それが止んだら、綺麗なハッキリとした虹が出るように、今日も貴方の空が晴れ渡っていますように。

いままで思い悩んでいた貴方の空が、これからはその分ずっと晴れますように。

no rain, no rainbow(雨が降らなければ、虹は出ない)

それでは、みなさま良いGWをお過ごしください!!

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