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(感想)『ダリエン地峡決死行』北澤豊雄
北澤豊雄の『ダリエン地峡決死行』を読んだ。2019年6月発行。
ダリエン地峡はパナマ、コロンビア国境にある地峡で、この地峡を越えて両国を結ぶ道は(基本的に)無く、国境をはさんで両国に分布している先住民族が密林を通って行き来しているのみ。ただ、この国境地帯はコロンビア革命軍(FARC)、FARCに対抗するAUC(コロンビア自警軍連合)、麻薬カルテルが暗躍する地域であり、それを取り締まるコロンビア政府軍も加わって危険極まりない地域で、先住民族でさえかつてのように自由に行き来できない状況にある。
北澤豊雄はこの国境をコロンビアからパナマへ深い密林を通って越えようとする。密林にはFARC、AUC、麻薬カルテルだけでなく、ジャガー、アナコンダ、マナオなど凶暴な生き物が潜んでいるにもかかわらず、ただ好奇心からこの危険なダリエン地峡の道無き国境を越そうとするのだ。まさに冒険野郎である。冒険野郎であるが、状況の説明、登場人物の描写等文章はいたって端正でぐいぐいと読ませる。おもしろかった!
北澤豊雄には近刊の『混迷の国ベネズエラ潜入記』という本があるらしい。さっそく明日ジュンク堂へ行って購入することにしよう。