女性が抱える「人に合わせすぎる」心の負担を軽くする方法
他人に合わせすぎてしまって、一人になったときに、ふっと疲れが出る。
たくさんの人が共感されるのではないでしょうか。私もそうです。
これは職場でも、友人との集まりでも、家族の中でも同じことが言えます。
角田光代さんのベストセラー小説『坂の途中の家』では、一人で育児を抱え孤独を感じる女性の心情が繊細に描かれています。
「母親が子供を育てるのは当たり前」と周囲に期待され、本当の気持ちを言えない苦しみがリアルに表現されています。
私たちは誰もが良い人でいたいと願っていますが、それには限界があるのです。
■「断る=悪いこと」ではない
他人に合わせることが多いのは「相手に申し訳ない」と感じるからかもしれません。
特に家族や信頼する上司など、大切な人への配慮からです。
しかし「断る」という選択が必ずしも悪いことではありません。
たとえば、週末に友人が飲み会を企画していても、あなたが忙しい時は断っても大丈夫。
仕事の状況を説明すれば、友人も理解してくれます。
大事なのは、連絡をくれた感謝の気持ちを伝えること。
これで関係が壊れることはありません。
育児に関して義母からアドバイスを受けた場合は、いっそう躊躇しがちになる人が多いでしょう。
たとえ目上の人であっても「断る=悪いことではない」場合があるものです。
「お義母さん、ありがとうございます。ただ今、私たちは別の方法を試してみています。効果が見られているので、しばらくこれでいきたいと思います。でも、何か新しいことを考えるときは、お義母さんのアイディアも参考にさせてもらいますね。今後も子どものことで良いアドバイスがあれば、ぜひ教えてください。」
相手に感謝しつつ、自分のスタンスを伝えることが重要です。
■自分と向き合う
他人に合わせすぎてしまう理由の二つ目は「自分を知らない」ことです。
他人の幸せを考えることは優しさなのですが、自己犠牲を繰り返していると自分の心と行動が伴わなくなり、やがては疲弊してしまいます。
一番大事なのは、自分の心が「幸せだ」「やりたい」と思うかどうかです。
他人に言われるがまま、求められるままの日常に追われているうちに、一番肝心な「自分の幸せとは何か」を考えることを忘れてしまっているのかもしれません。
「私にとって幸せとは何か」が明確でないと「私自身の幸せ」を他人に委ねることになってしまい、いつしか幸せになれない自信のない自分になってしまいます。
下記の項目に複数当てはまったら、いつも他人を優先しようとして、自分を後回しにしすぎている人かもしれません。
・周りの人が皆しているのに、自分だけしなかったら申し訳ない
・褒められるために行動する、怒られたくないから行動する
・気にしなくて良いはずのものを気にする癖がある
・他人から嫌われたくない
・人や物事を否定的に捉えやすい
・ストレスを感じやすい
・なんとなく生きている
上記の事項が当てはまる方は、今は少し自分を優先してみてはいかがでしょうか。
自分を知るには次の方法がお勧めです。
①日記を書く
怒りや不安などの感情を書き出していくと、負の感情が和らいできます。
そして自分が大切にしている価値観や考えが見えてきます。
②信頼できる身近な人に意見を聞く
自分のことは自分が一番分かっているようで、過大(過小)評価しているものです。客観的な評価を聞いてみるのも一つの方法です。
③仏教を学んでみる
「仏道をならうというは、自己をならうなり」と言われるように、仏教は、深く私たちの心を洞察した教えです。
このように自分の心を見つめることが、揺るぎない自分の軸を持つようになり、相手に過度に合わせすぎることはなくなっていきます。