天気が良ければ
子どもを産んでからというもの、少し気をぬくとすぐに咽頭が腫れてしまう。
子どもを産んだことで体質が変わってしまったのかもしれないし、単純に不摂生なのかもしれない。もしくは授乳で栄養を分けている反動なのかもしれない。
とにかく、季節の変わり目になると、ほとんど毎回軟口蓋がざらついてヒリヒリしだすのだ。
あるいは、息子の風邪がうつったのかもしれない。
息子はこの世に出てきて3ヶ月という小さい体で、熱と鼻水が引き起こす咳を相手に健闘している。
小さな体でゼロゼロと呼吸しながら、鳴き声も枯れて出なくなっている息子を見ると、こちらもグッと息がつまる。変わってあげるからわたしに移しなよ、なんて言ってみる。
わかってかわからずか、息子がにしゃっと口を開いて笑顔を作るので、思わず抱き上げたくなる衝動を堪えて頭を撫でる。
わたし、母親になったんだなあ。心根まで母親だ。
娘は3歳、もうすぐ4歳になるが、彼女はほとんど病気をしたことがない。
もちろん保育園っ子なので風邪は何度ももらってきたが、熱は片手に収まるほどしか出したことがない。下痢・嘔吐などの消化管症状も皆無だ。
至らないところの多い新米母であったわたしに、神様が与えてくれたプレゼントなのではないかと思う。
それにひきかえ、3ヶ月でもう発熱・嘔吐をやってのけた息子。わたしの成長が認められたということかもしれない。
そういうわけで、母子で鼻をグスグスさせながら引きこもって生活している。
やっと秋らしくなってきた関東だけれど、家から見える場所にある緑は常緑樹ばかり。季節の変化を感じるでもない。
締め切った大きな窓は、南西向けなのでむしろ蒸し風呂のように気温が上がる。
わたしの好きな秋はここにはない。
湿度が下がって胸にしみるように冷たい空気と、暑さでだらけていた背筋を引き延ばす鋭い風。抜けるように空は青く、高い。
家の近くには、大きな公園がある。
越してきて気づいたのだけれど、比較的大きなこの街は、わたしの田舎よりもずっと公園が大きい。
田舎の公演は子どもの遊具と広場しかなく、日中は高齢者のグランドゴルフの場として、夕方は子どもの遊び場としてその役割を果たしている。
一方こちらの公園は、子どもの遊び場でもあり、高齢者の憩いの場でもあり、高校生がスマフォで音楽を鳴らしてダンス練習をする場でもあり、季節を感じて散歩をする場でもあるようだ。
これはここが関東だからなのか、田舎と街で公園の役割が異なっているのか、その辺りはわからない。
ただ、この街の公園は、わたしの地元のそれよりも生き生きしているように見える。
さっきからずっと寝ている息子。
熱こそ下がったけれど、鼻水と咳で熟睡できない夜だから、まだしばらく一日中眠たいのかもしれない。
たくさん眠って、そして元気が戻ったら、また歯のないその口で可愛い声を聞かせてちょうだいな。
外は気持ちの良い季節だよ。
元気になったら、初めての秋を一緒に探しに行こう。