見出し画像

【映画感想メモ】『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』宝物のようなひとときを

あらすじ

1970年、ボストン近郊。名門バートン校の生徒たちは、誰もが家族の待つ家に帰り、クリスマスと新年を過ごす。しかし、留まらざるを得ない者もいた。生真面目で融通が利かず、生徒からも教師仲間からも嫌われている古代史の教師ハナム。勉強はできるが反抗的で家族に難ありの生徒アンガス。ベトナム戦争でひとり息子カーティスを失ったばかりの料理長メアリー。雪に閉ざされた学校で、反発し合いながらも、孤独な彼らの魂は寄り添い合ってゆく――。

映画.com

感想メモ

  • とても良かった…。いい映画を観たなあとしみじみする鑑賞後感。

  • オープニングのロゴの段階から作り込まれている70年代風の世界観。本当に当時の映画を観ているようだった。年末から年始にかけた冬の情景もすごく良くて。猛暑日が続く日々のなかで画面から涼を感じられたのもありがたかった

  • 一人ぼっちが3人、つかず離れずの距離感がすごくいい。必要以上にハートフルな展開もなくわりとドライだったり、3人の距離感が平等でないのもリアル

  • チェリー・ジュビリーを3人で燃やす(笑)シーンがめちゃくちゃ良かった。その前の、融通の利かない店員さんのことをメアリーがクソアマと言うところも。適度に口悪い大人の方がなんか信頼できたりするよね…!ニューイヤーの爆竹のシーンもすごくよかったな

  • それぞれが抱える矛盾が人間くさくてとても愛おしい

  • どんな人にも他者を思いやる心はきっとあって。そういう性善説的な世界観があたたかかったな。自分の全てだと言っていたバートン校を去っても、生徒の未来を守るハナム。最初の方の嫌な印象からは想像つかないけど、次第に心がほどけていく様子にぐっときた。クリスマスツリー買ってきたシーンとか、クリスマスプレゼントを渡すシーンとか、不器用さが微笑ましい

  • 学生時代、ある学年のとき、担任の先生がとても嫌いで。ろくに会話せずなるべく避けながら1年間を過ごしたけど、もしかして何かのきっかけがあれば、こういうふうに良い関係がつくれたかも、もっと心を開けたかもしれないと思って、ちょっと切ない気持ちになった。あの先生、いま元気にされてるかな。

  • やっぱり"秘密の共有"って絆を深めるなあ、とハナムとアンガスの姿を見て思う

  • この先、ハナムとアンガスはもう二度と会わないかもしれない、連絡を取ることももうないかもしれない。それでも、この二週間のことはきっと、ふとしたときにお互いに何度も思い出すんだろうなと思う。そういう関係もまた尊いものだと思う

  • 人生、理不尽でつらいことが沢山ある。つらいことのほうが多いかもしれない。この映画の3人がそれぞれ置かれている境遇のように、みんなそれぞれ何かしら背負って生きている人が殆どだと思う。でも、こんなふうに良い時間や良い出会いが、たとえほんの短い時間だったとしても、ふと宝物のように巡ってくるから、人生は悪くないと思えるよなあと思った

[鑑賞メモ]
2024/7/24 kino cinéma横浜みなとみらい シアター3(D-7)にて
(ちょうど真ん中あたりで見やすかった◎)

余談

この前に『化け猫あんずちゃん』も観てきました🎥

個人的にはそこまで刺さりはしなかったけれど、夏休みの情景とか雰囲気はとてもよかった。ラストシーンのカットもよかったな、ああやって笑顔で走っていける存在が居ることの大きさ。
あと、かりんちゃん、スマホいじりながら人の話聞くやつはやめときな!笑

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集