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インターネットの可能性を追求し、「地図」×「広告」という新たな地平に挑む | Mapbox Spotlight Interview #2

2020年3月に合弁会社として設立されたMapbox Japan。まだまだできたばかりのスタートアップですが、その分プロダクトへの熱量が高く、魅力的なメンバーが揃っています。
地図の可能性を追求し、地図を使った新しいユーザー体験を実装しようと、日々奮闘するメンバーたちの想いや仕事を覗いてみませんか?Mapbox Japanで働くメンバーに迫る本シリーズ「Mapbox Spotlight Interview」。第2回は、広告ソリューション事業担当バイス・プレジデントの山崎友敬が登場。

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【プロフィール】
山崎 友敬 / Tomotaka Yamazaki
ソニーにてソフトウェア開発エンジニア、プロダクトマネージャーとして携帯情報端末「CLIE」の開発に携わった後、米国オーバーチュアの日本支社やYahoo! Japanにて、検索連動型広告のプロダクト責任者、パブリッシャー売上責任者などを歴任。その後、中国系SNS会社の日本事業責任者、米国マーケティング技術会社Signalの日本および東アジア担当事業責任者を経て、2020年1月よりMapboxにジョイン。「地図」×「広告」領域の新規事業「Mapbox Ads」を統括推進をしている。

プロダクトに熱中したソニー時代と広告モデルとの出会い

Mapbox Japanでは「地図」×「広告」領域の新規事業を作っていますが、元々は広告畑の人間ではなくて、携帯情報端末の開発エンジニアやプロダクトマネージャーをやっていました。

新卒で入ったソニーには10年いたんですけど、入社して4年目の時に「CLIE(クリエ)」という携帯情報端末の1号機の開発に自分も携われることになって。CLIEはカメラ機能や音楽再生機能がついた電子手帳で、ケーブルでガラケーとつなぐと通信もできる商品です。1号機の開発では、CLIEに搭載されていたPalm OSをメモリースティック(*)に対応させるためのファイルシステムの設計開発を担当しました。米国シリコンバレーに2ヶ月にわたり出張滞在し、現地のPalm社のエンジニアと議論し開発を行ったのは、私のキャリアの原点です。

その後はマルチメディアライブラリの開発チームのリーダーとして、写真や動画、音楽アプリを開発できるAPIを作っていました。CLIEのマルチメディアライブラリは、一般の開発者に公開されていて、誰でもカメラアプリや音楽再生アプリを開発できたんですよ。「CLIEスタイル」というApp Storeのようなサイトがあったのですが、そこで開発者がつくったカメラアプリやソフトのダウンロードができました。

CLIEは当時、ソニーの全社プロジェクトのひとつで、その事業立ち上げに最初から携われたのは本当に貴重な経験でしたね。

*ソニーが開発した小型メモリーカード

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▲ 山崎がお気に入りのCLIEは、機種リーダーを担当したT650C、カラーバリエーションはオレンジ。20年が経った現在でも動作してました。

でもCLIEは最終的に、ビジネスとしてはシャットダウンするんですね。

もともとプロダクトが好きで、当時は本当にパッションを持って作っていたんですけど、あまりビジネスに直結しないというか、ユーザーに届いてないなっていう課題感がすごくありました。

そこで、CLIEがリリースされてから3年後の2003年に、社内留学制度を利用して一年間のMBAコースに行き、マーケティングやストラテジーを学びました。ですが、帰ってきて学んだことを現場で実践しよう、というときにCLIE事業はクローズしちゃったんです。

CLIEの開発に携わる中で、良いもの作れば売れるわけじゃないよね、ということを強く実感しました。

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▲ 当時携わったCLIEを触りながら想いを語る山崎

その後は、CLIEとは全く異なる部品ビジネスの部署に社内異動をして、一年半くらい日本、中国、香港を頻繁にまわり、事業再生を推進する特命プロジェクトをやらせてもらいました。

部品ビジネスでは、製品のコモディティ化のスピードが早く、年間30%のペースで価格が下落していたんですね。ソニーは高品質の部品を提供し続けていたのですが、コストダウンには限界がありました。しかし中国の小さなメーカーでは、品質はそこそこでよいのでより安い価格で部品を提供し、不具合が発生したら別の部品と交換すればよいという考え方で、大胆なコストダウンを行い競争力のある価格を実現していました。

そんな状況下で、価格の低下に対する圧力により、利益の減少で苦しんでるハードウェアビジネスの中に、サブスクリプションのようなリカーリングのビジネスモデルを導入できないかと試行錯誤をしていたのですが、なかなか上手くいかなくて。

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▲ ソニー時代、同じ独身寮の同期を中心にサッカーをやっていた山崎(左)。当時、ソニーがスポンサーをしていたユベントスのレプリカユニフォームを着用。

ちょうど同時期に、GoogleによるAdWords / AdSenseの広告モデルが普及してきていて。プロダクトの質を高めつつ、継続的にマネタイズできるビジネスモデルとして彼らの広告モデルをベンチマークする中で、広告モデルによってインターネットがどんどん進化していくのを感じていました。自分はCLIEのような先進的な技術を用いた商品開発をやりたくてソニーに入ったのですが、インターネットの進化の早い流れを横で見ながら、時代の進化に取り残されている気がして、すごく焦りを感じていたんですね。

たまたまそういう時に、Googleと同じ、いやむしろ先に検索連動型広告ビジネスを世に出したOvertureというインターネット広告会社の募集の話があって、プロダクト開発での強みを活かしながらビジネス的なチャレンジもできるということでネット広告の業界に足を踏み入れました。


地図事業の領域でプロダクトの質とビジネス成果を両立する

Overtureでは、検索連動型広告のパフォーマンスを向上させるために重要な検索ワードと広告のマッチングプロダクト(アルゴリズム)の継続的なアップデートを担当するとともに、パブリッシャー側の広告売上責任者としてマネタイズの改善を推進していました。

「Panama」という大きなプラットフォームアップデートでは、Marketplace Designという、広告掲載順位の決定方法を「入札単価のみのスコア」から「入札単価と広告の適合性の両方を加味したスコア」へと変更する、プロダクト的にもビジネス的にも大きな変更を、海外の担当者とともにリードしました。1年以上に渡る長期プロジェクトでしたが、予想を上回る結果を出すことができ、すごく達成感がありました。

実は僕と(Mapbox Japan CEOの)高田は、ほぼ同じ時期にOvertureにいて。Overtureは2007年にYahoo! JAPANに買収されるんですけど、そのタイミングで僕と高田もYahoo! JAPANに移り、モバイル専用の検索連動型広告や、現在のYDNの前身である「インタレストマッチ」という、ユーザーの興味や関心にあった広告のプラットフォームをゼロから作っていました。

そのあと僕は、中国系SNS会社の日本担当として複数のSNSサービスを立ち上げたり、米国のアドテク会社が持つマーケティング技術の日本への導入をリードしたりしてました。ネット広告業界が成熟してきていたことや、サードパーティーCookieやIDFAの規制などがきっかけで、ネット広告がより大手のメディア中心に回り始めたことから、僕自身の広告への熱量も下がっていたんですけど、高田から「地図」×「広告」の話を聞いて、地図広告はまだまだ未開の領域だし、大きな可能性がありそうだなということでMapbox Japanにジョインしました。

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いま地図事業者って、自前で地図を開発したり、他社から地図のライセンスを買ったりと、地図サービスのために大きな投資を必要としているのですが、有効なマネタイズの手段がないんですよね。そうするとやっぱり体力勝負になってしまうから大手しか残らなくなってしまう。これからネットとリアルの融合がますます進み、地図がより重要になってくるなかで、地図の利用が限定されてしまうような状況にはしたくないんです。

これまでMapboxは、プラットフォーマーとしてこうした地図事業者のライセンス利用をサポートしてきたけど、広告ソリューションもあわせて提供することで、メディアとしての地図の収益化をサポートしていきたい。そうすることで、もっと多くの事業者や個人の開発者に地図を利用したサービスを作っていただきたいと考えています。

検索サービスも、元々は有料でサービス提供されていたけど、検索広告が出てきたことでメディアの収益化ができるようになりましたよね。これにより、メディア側はもっと投資し、そのサービスを良くしていくことができるし、広告主側も掲載面が増えるから、双方の満足度が高くなるというエコシステムができ上がっています。

SNSも一つのいい例です。SNSも儲からないよねって当初言われていたけど、いまはフィード広告が発明されたことで収益化ができるようになり、サービスとしても充実していき、そこでまた収益が上がるようになる、という正の循環ができています。

地図も同じような事が起こりうると思っていて。地図の広告ってまだ全然できていないので、もちろん難しいんだけど、大きなチャンスがそこにはあると強く信じているんです。


「地図」×「広告」の事業創造に挑む上でのチャレンジ

地図は身近な存在でありながら、これからどんどん進化していくというフェーズにあります。自動運転やデジタルツインに代表されるように、リアルとバーチャルの境目がなくなってきている中で、地図の存在感はますます高まっていきます。

例えばスマートウォッチやARグラスなど、新しく出てくるデバイスによってリアルとバーチャルの融合がどんどん進んでいくと、地図自身がメディア化していきます。そうするとSNS広告が10年前に生まれたのと同じく、地図広告というのも必然的に重要になってきますよね。

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とはいえ広告ってすごく複雑で、広告主と広告を表示するメディアって大体利益相反するんですね。メディア側はサービスを良くしたいけど、広告は時に邪魔になってしまう。でも広告主は広告をもっと出したいと。広告プラットフォームを作る会社はここのバランスを取らなきゃいけないんですよね。どちらかを立ててればこのエコシステムは崩れるから、双方の満足度をちょっとずつ高めていかなきゃいけないっていうところがすごく難しい。難しいんだけどチャレンジのしがいがあります。

もう一つのチャレンジとしては、地図自身と既存の広告の相性がそもそも良くないということがあります。バナーやテキスト広告を地図のまわりに表示しても、ユーザーは地図を見たくてアクセスしているため、視界に入りづらく、ほとんど反応されないんですよ。地図と相性のよい広告ってどんなものか、誰もまだその解にたどりついていません。しかし、きっと解は存在しています。

自分たちでアイディアをプロダクトとして具現化し、世の中に出していく。失敗することや難しいところも多分にありますが、新しいものを仲間と一緒に作っていく機会というのはとても貴重で、とても楽しい体験になると思うんですよね。同時に、とても大変ですが(笑)。


Love Your Product - プロダクトへの愛が原動力

− Mapbox Japanでは、社内の行動指針として「Mapbox Japan Value」を掲げています。どのValueを一番大切にしているのか、山崎に尋ねてみました。

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▲ Mapbox Japanで掲げられている5つのValue。

#1のLove Your Product。完全にこれです。ソニーでCLIEの開発に携わっていた時、CLIEが店頭に並んだ時はすごく嬉しくて当然見に行ったし、誰よりもCLIEを使っていたし。地図でも一緒ですよ。

全然このマインドは変わっていないので、Mapboxでも自分でプロトタイプを作ったりします。昨年作ったWalk on Air(空中散歩)というプロトタイプは、昨年末のアップデートで3Dマップが出てきた時に、こんなことできるよってアピールして楽しんでもらいたいと思い、リリースしました。

▼ 山崎が自ら作ったプロトタイプ「Walk on Air(空中散歩)」

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日本発のサービスを世界へ

Mapbox Japanでは新しいサービスを日本発で作っていける、そこが本当に最大の魅力ですね。またスタートアップでありながら、資金面で親会社のバックアップもある恵まれた会社です。純粋な外資系スタートアップとは異なり、日本独自の意思決定ができて、それを自前で開発していけるというのはとてもユニークです。

また、地図という領域は比較的プレイヤーが少ないという点も、プラットフォーマーとして新規事業を作っていく上では魅力ですね。日本発のサービスで本気で海外展開を狙っていける、そんな環境だと思います。

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最後に山崎から一言!

広告ソリューション事業チームは、「地図」x「広告」の可能性を追求し、地図サービス事業者、広告主、そしてユーザーの方に、新しい地図体験、広告体験を提供できる事業を新規に開発しています。日本発でプロダクト開発を行い、将来的には海外展開も視野に入れています。

開発エンジニア、広告の営業や運用等、様々な職種で、新規事業を一緒に推進していただけるメンバーを絶賛募集中です。地図が好きな方、広告が好きな方、何より新しいことに挑戦するのが好きな方、新しいサービスが創られ、世の中に出ていく感動を一緒に体験しませんか? ご応募をお待ちしています!

▼ 現在Mapbox Japanで募集中のポジション


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