過去と今と未来と|Aqua Timez『未来少女』
私の愛するアーティストの歌詞に、こんな一節がある。
「未来を欲しがってごめんね
キミとの今が僕の生きる意味の全てだよ」
***
人は、どこに向かって生きているのだろうか。
多くの人は、「未来」に向かっている、と答えると思う。
明るく輝かしい「未来」に。
誰だって、理想的な「未来」の実現に向けて「今」を生きている。
志望校合格を目指す受験生も、営業ノルマの達成に奔走するサラリーマンも、メジャーデビューを夢見るシンガーソングライターも、みんな、自分が自分以外の何かになることを望んで「今」を走り抜ける。
今までの自分から変わりたい、新しい自分を手に入れたい。
忌々しい「過去」から、輝かしい「未来」へ。
そんな風に生きているうちに、「今」が薄れてしまう。
彼はそう表現した。
「今」この瞬間、あなたが行っている努力は「今」ではなく「未来」に注がれている。目の前にあるものには、誰も見向きはしない。
彼は、そんな「今」が悲しんでいると思ったのだろうか。
「過去」の後悔から生まれた、今にも爆発しそうなエネルギーを原動力に、前へ前へと進むあなたは、輝いてる。苦しみもがき、ボロボロになっているあなたは、輝いているよ。
だから、「未来」ばかりを見ないであげて。
「未来」のあなたも、きっと素敵なことだろう。でも、「今」のあなただって、とっても素敵。そう思っている人は、きっとあなたのそばにいるはず。
「未来」ばかりを見て、「今」のあなたや「今」のあなたの味方を見過ごさないで、大切にしよう。
彼は、そう言いたかったのかもしれない。
だから、私は「未来」だけを見ることをやめる。
いい大人になり、子どもたちの「未来」を担う私は、「今」だけを生きることは許されない。もうそこまで若くないのだ。
でも、先ばかりを見ていたら、気づかないうちに何かを失ってしまうような気がする。もう二度とやってはこない、かけがえのない何かを。
大切な人、ものとの「未来」を描くために、「今」を大切にする。
だから、もう悲しまないでいいよ。
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