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新卒3ヶ月で休職した話
私は、今年の春から新卒で入社した会社を7月から休職している。
まだ先のことは何も考えられていないし、正直今は毎日生きることで精一杯だ。とりあえず、今の自分の率直な気持ちを整理しておきたいと思う。
入社式の日、想像を絶する満員電車に絶望したのをよく覚えている。思えばこの日からずっと違和感を感じていたのかもしれない。
満員電車、約2時間の長距離通勤、未経験からの専門的な仕事への不安、入社1週目から憂鬱だった。
そんなストレスと季節の変わり目も相まって、持病の喘息が悪化した。
朝、薬を飲んでも効かず、電車の中や会社、一度咳が出始めるとなかなか止まらない。
発作薬を使ってみたが、咳は止まらないどころか今度は手の震えと頭痛まで起きた。どうやら薬が合わなかったらしい。
それ以降、咳が出ても発作薬を使うのはやめた。
咳が出た時は、できるだけ息を止めて発作が続くのを堪えた。どうしても死にそうなときは、トイレに駆け込んで思いっきり咳をしたら落ち着いた。
朝、咳が辛すぎて泣きながら最寄り駅まで行ったこともあった。今思えば連絡して遅れて行くなりすれば良かったと思うが、その時の自分は1日でも休んで周りに遅れをとってはならない「研修を休むこと=死」だったのだ。
研修中、あまりの発作に耐えられず研修先の講師の方に事情を話したら、「私の子どもも喘息持ちでつらい気持ちがわかるのよ、いつでも抜けていいからね」とあたたかい声をかけてくれた。ちょっと泣きそうになった。
一番のストレスだった長期間の研修を耐え抜き、それと共に喘息も落ち着いた。少しずつ毎日の生活リズムに適応できるようになった。
3ヶ月の研修期間も後半に差し掛かり、ついに配属に向けた発表会が行われることになった。
各部署の説明を受け、やってみたいなと思う業務内容の部署を決めた。最初は直感だったが、発表のスライドを作成するうちに、本気でこの部署で頑張ってみたいと強く思うようになった。
発表会を終えて、役員等の反応からしてまずまずの好感触だったので、あわよくば第一希望の部署に行けるだろうと思っていた。
2週間後、私が配属に決まったのは1番行きたくない部署、なんなら誰も行きたがらなかった部署だった。
何故そこまで嫌だったのか。それは、私がこの会社に決め手にあった。
私はもともと島や地域が好きで、将来は地域おこし協力隊、そうでなくても地域で町づくりに関わることを仕事にしたいと考えていた。
しかし、新卒でいきなり地方に行くには強みがない。強みが無ければ地域に行っても役に立てないと、大学4年時の私は思っていた。
文系で大した知識も経験もなかった私は、この先一生役に立つであろうSEとして、まず新卒で経験を積むことが大事だと考えた。
しかし、私が配属された部署は唯一その会社でSEとはかけ離れた業務を行う部署だった。いわゆる、会社の花形であるシステム開発もできないし、プログラミングを学ぶこともできない。今まで受けてきた研修で習ったことはほぼ使わない。
配属部署を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
同期の子たちは、
「先輩が優しそうでよかったね」「一緒に配属された同期もみんな良い人でよかったね」
私が配属された部署、誰も行きたがらなかったじゃんか。何が良かったね、だ。私が別の部署志望してたの知ってたはずなのに。
真っ黒な気持ちが浮かんだが、
「人が良さそうで安心した〜!みんなは希望通って良かったね!頑張ろうね〜〜!!!」
と答え、その日はやり過ごした。
発表後は、
「やりたいことができる部署じゃないけどまぁ先輩優しそうだしとりま頑張ってみればいいじゃん!!!優しい同期も沢山いるし、とりあえず配属先で頑張ってみよ〜ダメなら地域行っちゃえ!」
と、心の中で自分を説得して、決着がついた。はずだったのに。
配属日前日の夜、心の糸がぷっつん、切れたような気がした。あ、もう自分限界かも。
涙が止まらなかった。気持ち悪い。あたまがいたい。息がうまくできない。眠れない。明日が来るのが怖い。
今まで感じたことのない不安に一気に襲われた。
上司に電話をするのも怖くてたまらなかったので、非常識だがショートメールで休む旨を伝えた。その日の夕方、メンタルクリニックに行き、中度〜軽度のうつ症状、適応障害であると診断された。
診断を受けて、ほっとしたのが正直なところだ。
やっと会社を休める、明日から行かなくていいんだと思うと安心した。
でもすぐに、全然頑張ってないのにこんなことで適応障害になるなんてダメな人間だ、と涙が止まらなかった。たった3ヶ月、しかも研修期間で会社に行けなくなるなんて親にも申し訳ない。ブラック企業でもないのに、人も優しいのにこんな環境で会社に行けなくなるなんて自分なんて価値のない人間だ、自分なんかが生きてていいのかと辛かった。
今もその気持ちが完全になくなったわけじゃない。
でも、周りの友人や家族の優しい言葉に支えられて自分を大切にしてくれる人達のことを悲しませちゃいけないと思うようになれた。
今後どうするかは全くわからない。まだメンタルも完全には立ち直っていない。完全に横道それちゃったなぁと思う。時間がかかってもいい。自分にとって心の底から納得のいく道を見つけていけたらそれが一番だ。