「ディアファミリー」と「どうすればよかったか」を考える(※映画観た人だけ読んでね)
映画「ディアファミリー」と「どうすればよかったか」
を観ました。
2作とも実話ベースの作品で、
家族の絆、家族の在り方を考えていく作品です。
ひとことでいうとすれば、
「ディアファミリー」は創造
「どうすればよかったか」は破壊
ですが、
「どうすればよかったか」は実録なので、
美しい俳優やフィクションを交えれば、
「ディアファミリー」のような感動作に仕上げることもできたと思います。
「ディアファミリー」のモデルとなったあのお父さんはものすごく信念の強い持ち主で、
小さな町工場の社長で余命10年の娘さんを持つという「弱さ」を「強さ」に変えて信念と幸福を達成した人です。
一方の「どうすればよかったか」のお父さんは、医者一家という「強さ」の中で、世間体や恥、医師免許を失ってはならないという「弱さ」を信念と幸福に変えようと闘った人です。
「どうすればよかったか」は映像記録なため、音声が不明瞭でお父さんのお話が聞き取れず理解に至らず、そこは残念でした。
字幕をつけてくれていたらもっと理解できたのにと思います。
* * *
統合失調症は近年、軽症化していると聞きます。
抗精神病薬の進歩、早期診断技術の進歩、精神保健の進歩などさまざまな要因が相成ったことによります。
さらに精神病は脳の病気であり、遺伝や環境が発症を引き起こすこともあるという認識が一般まで広まり、
患者本人の性格や努力の欠損だとする偏見が減少したことはたいへん大きな進歩です。
「どうすればよかったか」のマコちゃんの発症の理由はわかりようはないものの、′′精神的な大きな出来事′′があったことは明らかで、
とくに解剖実習での出来事が引き金になってしまったようなのです。
勘繰りはしたくないですが、大きな恐怖や驚愕を感じ脳機能がエラーを起こし、発症してしまったのだろうと推察します。
恥ずべき理由はないはずですが、
25年前はおそらく分裂病=奇病という世間一般の認識だったのでしょう。
マコちゃんの将来や一族の未来、
医師免許を守りたいという思いなどから、
ご両親はマコちゃんを閉じ込めました。
一方の「ディアファミリー」のヨシミちゃんは、先天性の心疾患だったようです。
余命10年と宣告されてお父さんは人工心臓を作るという無謀に出ます。
無謀なのであらゆる障壁にぶつかります。
医学界の不条理や莫大な研究開発費のやり繰りと闘うこと20年余り。
ヨシミちゃんの命は救えなかったものの、
バルーンカテーテルを成功させてほしい、
というヨシミちゃんの言葉から開発を再開し、
見事に成功に至り現在でもバルーンカテーテルは多くの患者を救っています。
ヨシミちゃんの存在を、お父さんは証明したかったのでしょうね。
不屈の信念と愛のパワーでしょうか。
一方、マコちゃんのお父さんとお母さんは、
やはり不屈の精神でマコちゃんと一族の清栄を守りました。
マコちゃんの家族を批難するつもりはありません、
どうすればよかったかは映画の中で答えも出ています。
映画の監督であり弟さんでもある藤野さんが、
マコちゃんの存在を証明してくれました。
彼が向けるカメラからは淡々としたパワーが流れていました。
彼がいたことで一族は壊れずにあらたな物語をスタートしていくことになりましたから、
だから破壊ではなくやはり創造ですね。
このような人たちと共に同じ時代に生きられたこと、
生きるとは証明なのだと考えさせてくれたこと、
感謝を覚えます。
わたしは…
誰も証明してくれないので自分で証明しなきゃ、です。
自分では証明することのできない、できなかった命たちも引き連れて、歩いてまいります。
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