ブラックバスの王。
どうも、前後左右どまんなかです。
小学生の頃の話をします。
コロコロコミック全盛期。
グランダー武蔵が流行っていました。
こんなもんは、小学生はみんな感動します。
家の近くに野池がありました。
上級生もいましたが、みんなで仲良くブラックバス釣りをしていました。
近くのホームセンターで釣竿を買ってもらいました。
リールの扱い方、釣り針の付け方、キャスト(ルアー投げること)のやり方を教わりました。
人生はじめての、キャスト。
1投目。
ぽちゃん。
2投目。
!!!!!!!
きたぜ!おい!
周囲の上級生は、あまりの速さに何かに引っかかっただけだろうという感じでした。
次の瞬間
薄汚い水面から跳ね上がる。
薄汚い黒緑の巨体。
それを見た少年たちは僕に群がりました。
絶対逃すなよ!おい!がんばれ!
知るかよそんなん。
必死にリールを巻きました。
10分ほどの格闘の末、見事なブラックバスが釣れました。
一人の上級生が近づき巻尺でサイズを測ってくれました。
55cm
当時、スマホが無かったことが悔やまれます。
僕は大声で叫びました。
『(池の)主や!!』
漫画で得た知識。
主という言葉を自信満々に叫び勝ち誇った表情。
周囲の小学生はその場の勢いと雰囲気にのまれます。
『ほんまや!確実に主や!』
ひとり、またひとりと雄叫びを挙げはじめ群衆は、この街ヒーローが誕生したぜ!と言わんばかりに目を輝かせ、こっちを見てきた14の瞳。
僕の気分はナポレオンボナパルト。
え?皇帝名乗っちゃって良いですか?
なんて、思っていました。
当時、ブラックバス釣りは『キャッチ&リリース』が合言葉であり、現在のような外来種撲滅的な雰囲気はあまり無かった。
そして、少年たちの1人が言いました。
『これは、主やから逃すのは勿体ない。
どっかで飼うべきや。』
ざわ。ざわ。
ざわ。 ざわ。
ざわ。ざわ。
僕はその勇気を持って意見をほざいた少年を抱きしめて言いました。
『よー言った。見事じゃ!!』
少年の目からは大粒の涙が溢れ、震えた声で答えてくれました。
『ありがたき幸せ。』
当時NHKの大河ドラマ『秀吉』が大流行していました。