人間たるもの
今月の〈観る会〉はジャン・ユスターシュ映画祭より『わるい仲間/サンタクロースの眼は青い』を。両作ともに人間の不在を描きつつも、登場する主な人物らは総じて人間らしく映し出される。ある種のデカダンスに支配された都市と個人主義の誤謬、そして浮遊する人々一一
その切り取り方は秀逸で、アノニマスな視線は相互に行き来する。殊に『サンタクロース一』においては自らを閉じ込める意味でのクローズが主題のひとつとして据えられている。この行為が外界に向けたアプローチであることも、都市において引き裂かれる個人という文脈で捉えることが出来よう。
人間の不在一一 とは言いつつも、内と外とに分かたれし我々の、その断面を繋ぎ留めんと八苦する様こそ"人間"に相応しいのではなかろうか。「大体人間というものは、空想と実際との食い違い・・・・の中に気息奄々として暮すところの儚い生物にすぎないものだ」としたのは安吾。痛みは痛みで堪えるのである。
おわり