月と六文銭・第十四章(59)
工作員・田口静香は厚生労働省での新薬承認にまつわる自殺や怪死事件を追い、時には生保営業社員の高島都に扮し、米大手製薬会社の営業社員・ネイサン・ウェインスタインに迫っていた。
田口はウェインスタインからの電磁波を防ぐための試行錯誤を重ねつつ、ウェインスタインの上司であるオイダンが同僚・デイヴィッドを殺した犯人かどうかを確認したかった。韓国から戻ってくる前にオイダンとウェインスタインの処理方法を整理したかったのに、ウェインスタインからの連絡で予定変更を余儀なくされることに…