『堕天使は呻く/第三の目の予兆』【読切小説】#封印されし闇の力を解き放て
(全文約1500字)
その1『堕天使は呻く』
漆黒の闇の中で。
私は薄く目を開き、呻く。
ただ、安らかに眠り続けたかった、それだけを望んだ。
だけど、運命が……それを、許さない。
この、まるで背を裂くような、痛みは。
私の背に、一対の翼があった頃の、記憶。
それは。遠き日に終焉を迎えたはずの、前世。
神の栄光を讃える、白き翼をもがれ。
痛みと共に、生え変わったのは、闇よりも暗い……黒き翼。
そして。私は堕天した。
それが私の、生まれ変わっても消えない、罪。
どうして……私は。
この因果律から、逃れることが出来ないのだろう。
罪深き魂は、肉体という檻に囚われて、喘ぐ。
たとえ、この生が終わっても。
未来永劫、この牢獄から逃れることは叶わない。
叶わない、のだ……。
◆
暗闇の中で。倉田佳世はハッとして、目を見開いた。
時計を見ようとして体を動かすと、背中がミシミシッと痛み、思わず「ううっ」と声を上げる。
ああ、そうだった。
半分寝ながら、現実逃避してた……まるで自分に、第二人格が存在するかのように。
「あー痛い……」
独り言ちた佳世は、これは確かに、背中から羽が生えてきそうな痛みだな、と思う。
ベッドサイドランプのスイッチに手を伸ばして、そこでまた呻き。室内が明るく照らされたところで、そうっとベッドから起き上がり、洗面台へと向かう。
佳世は洗面台の鏡裏から、常備している貼り薬を取り出した。パジャマの上だけを脱ぎ、痛みに耐えながら腕を伸ばし、背中にペタペタと貼る。それを終えると鎮痛剤を手に取り、押し出して口に含む。コップに汲んだ水道水で、一気に流し込んだ。
戻ってベッドに腰掛けると、肩の力が抜け。
けれど、力が抜けたなんて些細なことでも背中が痛んで、佳世はため息をついた。
実のところ、佳世がこの痛みに対処するのは、初めてではない。
どうやらこの背中の痛みの原因は、運動不足&姿勢の悪さ&長時間の同じ姿勢、などのようで。
……あとそれから、歳のせいもあるよねー。
えーい、ほっとけ、コンチクショー。
佳世は頭の中でそんな悪態を吐きながら、背の痛みにまた呻きつつ、身を横たえ、枕に頭をのせる。
……それにしても。
厨二病って、この歳になっても治らないもの、なんだなぁ……。
背中より、むしろ、こっちをなんとかするべきなんじゃないの?
いやいや、これは自分なりの処世術。
本来の私ではなく、第二人格だし……。
へぇ。まぁ、そういうことにしておこうか?
とりとめのない、自問自答な思考を重ねるうちに。
薬が程よく効き出し、痛みよりも眠気が勝るようになって。
背中の痛みが薄れてゆく、それが少し寂しい、などと思ってしまっている自分に気付き、佳世は思わず「バカだなぁ」と、天井に向かってつぶやく。
(堕天の罪を忘れし人の子は、その忘却により、また一つ罪を重ねる。)
……と、なると?
私の来世って、どうなっちゃうの?
(それは、夢のつづきにでも。)
佳世の、第二人格が言い。
二人はそろって、痛みのない夢路をたどり始めたのだった。
おしまい。
(注・背中の痛みはヘルニアなどの整形外科的要因、内臓疾患の可能性もあるそうなので要注意。そこの堕天使なアナタも、我慢しないで早めに受診を……って、オマエには言われたくない? デスヨネー)
その2『第三の目の予兆』~特別ダイジェスト版~
第二人格な佳世(鏡の前):
『ばか、な……第三の目の予兆、だと……?』
現実な佳世(鏡の前):
「ええー、おでこの真ん中に吹き出物とか、勘弁してくれい」
おしまい。
堕天使は呻く/第三の目の予兆
【2024.10.04.】up.
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