駒井かや、と申します。 ご来店ありがとうございます! 当店のメニューをどうぞご覧ください。 (この記事はサイトマップ用に作成しました。) +++ #駒井かや ←こちらのリンクは ジャケットが見えるメニュー一覧です。 (タブ選択でスキ数順ぽく出来ちゃったりなんかも) 下記は話の長さなどで分類、 内容のガイドなど足してみました。 ネタバレかもしれませんが… 読後感のいいモノが好みなので、 バッドエンドは、ほぼありません。 アナタ様のお口に合うかどうか。 タイトルの斜め
「好き、です」 「へっ?」 バイトの夜シフト上がり、駅に向かう帰り道の、いつもなら足早に通過する橋の上で。 玲南はついに、バイト仲間の藤代に告白することが出来た……の、だが。 「っ、俺は……ええっと、いや、ちょっと……」 「あ……そっか。やだな、そんな……奥歯に紙が挟まったような言い方、しなくていいって。わかった、から」 ズキリと痛む胸を押さえながら玲南は、わざと明るく言ってみせる。 とにかく。元通りの関係に、戻らなくては。 「は? 『わかった』ってなんだよ」
「ハロウィンの仮装……まぁ、状況は理解した」 リビングの床にペタリと座る小学2年生、和樹に対して。俺は努めて冷静な口調で、説明を試みる。 「第一に。ミイラ男のあれは本来、紙ではなく布の包帯だ。第二に、それを包帯の代わりにするとしても、それは水に溶けやすい。だから仮装には使えない」 「……わかった」 ミイラ和樹が、その白いぐるぐる巻きの隙間から、小さく返事をする。俺は和樹の頭をポンポンと撫でながら「仮装は後で一緒に考えてやる」と言い、散乱するトイレットペーパーの中に芯
(全文約1500字) その1『堕天使は呻く』 漆黒の闇の中で。 私は薄く目を開き、呻く。 ただ、安らかに眠り続けたかった、それだけを望んだ。 だけど、運命が……それを、許さない。 この、まるで背を裂くような、痛みは。 私の背に、一対の翼があった頃の、記憶。 それは。遠き日に終焉を迎えたはずの、前世。 神の栄光を讃える、白き翼をもがれ。 痛みと共に、生え変わったのは、闇よりも暗い……黒き翼。 そして。私は堕天した。 それが私の、生まれ変わっても
あなたに首ったけ顛末記<その21> ◇◇ 歌い踊るは人の性 ◇◇ (約18400字) <1>御崎十緒子・オニイサンなんか怖くない!(3) (約8000字) 『金縛りで動きを封じられたり、意識を落とされたり、物理的に吹っ飛ばされたり? すごい力だ……そちらの手加減がなかったら、春くん、どうなってたんだろうね?』 春臣のお兄さん、睦也さんが。 この世のものではない二匹のヘビ、灰色ヘビ・はーちゃんと緑ヘビ・みーちゃんと一緒にいる、私、御崎十緒子に向かって、言う。
********* キツネノテブクロの咲く頃に・外伝<外伝2>アイラと鏡工房のお客さま(4・エピローグ) (約2600字) ニコラとディアの二人が、鏡の修理を待って、村で過ごす間。 アイラは幾度となく、村の薬師たちがニコラに向かって「神さま」と呼びかけるのを聞いた。 当のニコラはもちろん困り顔で、アイラは別のときにニコラから話を聞いていたので、口を歪ませて笑いをこらえていた。 「五十年前の薬師たちは、ボクのことが気に入らない感じで、だから薬草もこっそり植えてい
********* キツネノテブクロの咲く頃に・外伝<外伝2>アイラと鏡工房のお客さま(3) (約7000字) 『聖魔の森』の中心部にある、『月迎えの滝』。 その、滝が落ちる理由となっている崖の中程、比較的幅のある大きな出っ張りの上でアイラは、岩の間から生えた木にしがみついたままで……いま起きている事態を、どうにか把握しようとしていた。 アイラは、まっすぐに滝つぼを目指す、ひと筋の白い瀑布を背にしている。滝の音と、滝の水気に巻かれるほどの距離、だがいまのアイラ
********* キツネノテブクロの咲く頃に・外伝<外伝2>アイラと鏡工房のお客さま(2) (約6900字) 翌々日。朝一番に組合の受付へ行って、同行者名簿を提出したアイラは、そこで受け取った許可証の木札を片手に握ったまま、村の北側の外門へ向かった。 いつもの、森へ入るときのズボンとブーツ、丈が長めのフード付きケープ。ケープには昨日のうちに、虫除けになる草を煮出したものを塗布してある。 ケープの内側には肩掛けカバンがあって、だがそれが、ひどく軽く感じる。いつ
********* キツネノテブクロの咲く頃に・外伝<外伝1>創世記・二つの種族と二つの鏡の伝説 (約1900字) …<幕間2>創世記・祝福の翼 むかし、むかし。 神に祝福の翼を授けられ鳥となった生き物たち、その中で、他の鳥たちとは異なる道を選んだ二つの種族は、互いを隣人とし、祝福された地で穏やかに暮らしていた。 一つは、神よりもう一対の翼を授かった四枚羽の鳥、『四枚羽の一族』。 そしてもう一つは、二対の翼の代わりに、腕と手、そして内在する器官を得た、
昨日最終回をアップした拙作「キツネノテブクロの咲く頃に」、ちゃんとコチラ↓↓ の記事に掲載されていました。ふう、よかったぁ……ひと安心。 駒井はコチラの記事の存在を、X(旧ツイ)で知りまして。書き終えて応募を終えたあかつきには、絶対チェックしなくては、と思っていたのですよ。 ……っていうか、ですね。 『作品一覧』ってこれ、スゴすぎやしませんか? ファンタジー部門だけでなくって、ほかの部門のもあるんですよ? あーもう、すごい! 一覧が、こういうのが、欲しかった! この先↓
********* キツネノテブクロの咲く頃に<9>そして、キツネノテブクロの咲く頃に(2) (約6500字) 『魔女』の家で暮らす、最後の夜。 この家に来た日から、ボクはずっと、この二階の部屋で眠っていた。姉さまのぬくもりを感じながら眠った、姉さまとの最後の夜も、この部屋だった。 ボクの、すぐうしろで……いま、なにが起こっているのか? それは本当に、ボクが望んでいたものなのかどうか、もし違っていたらどうしよう、という気持ちになってしまって、ボクはすぐには振
********* キツネノテブクロの咲く頃に<8>そして、キツネノテブクロの咲く頃に(1) (約7700字) 姉さまが四枚羽の黒い鳥になって、森の闇へと飛び去ってしまったのは、ボクが十三歳になる直前の夏のことだった。 だけどボクはあのときのことを、まるで昨日の出来事かのように覚えている。 それはきっと三十年前のボクが、姉さまとの出来事を毎日、何度も何度も思い返していたからだと思う。 姉さまがいなくなってからボクは、毎晩のように、不思議な夢を見るようになっ
********* キツネノテブクロの咲く頃に<7>月のない夜の姫君(3) (約4100字) 多くの人間たちは魔の一族のことを、魔妖の一種だと考えているらしかった。 しかし一族は、魔妖とは違う。 魔を身の内に取り込んでいるのは同じだが、魔に許されているが故に、魔妖のように飢えて、他の生き物が持つ魔を取り込まずには生きられない、ということはない。 だが人間たちには、それはどちらでもよいことのようだった。 軍の任務の一環としてわたしは、領地の境界を偵察しながら
********* キツネノテブクロの咲く頃に<6>月のない夜の姫君(2) (約4800字) 「此度の遠征、黒の姫君にも同行願いたいが。赤毛の子犬の世話で忙しいだろうか?」 四番目の兄さまがわたしに言い、五番目の姉さまがそれに続けた。 「よく鳴く子犬の世話くらい、メイドたちに任せればいいのにね? 月のない夜の姫君は、それほどに子犬にご執心なのね。たまにはわたしが面倒を見ましょうか?」 「それは、許さない」 わたしは姉さまの目を射るように見返し、即答する。
********* キツネノテブクロの咲く頃に<5>月のない夜の姫君(1) (約6000字) わたしと弟の、最後の旅が終わった。 弟を魔女の家に残し、わたしは飛び立った。 鳥と化した姿を、弟に晒して。 空にある欠け残りの月の、弱々しい光を頼りに、弟が目覚める前に訪れていた樹を見つけ、降りる。四枚羽の鳥の姿から人型に戻ったわたしは、樹のうろから荷を出し、服と剣を身に着けた。 ふと、ほんの数刻前まで、この手に感じていた熱を思い出す。 唇で触れた頬のやわら
********* キツネノテブクロの咲く頃に<4>夜に溶けて飛ぶ鳥 (約6200字) 周辺の村の輩から『魔女』と呼ばれ、村から離れた森の中で一人、物言わない草木ばかりを相手にして暮らす偏屈なアタシにだって、それなりの親切心はある。月に一度、薬を買い付けに来る人間を相手するのにもうんざりして、それでも薬を作り続けるのは、ほとんどただの趣味でしかないのだが、まぁ人様のお役に立てているようでなにより、という気持ちも、少なからずあった。 だからこれは、『魔女』なんて変