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あなたに首ったけ顛末記<その4・御崎十緒子のゴカイ☆フェスティバル>【小説】

ご来店ありがとうございます。コチラは『異能もの現代ファンタジーラブコメ』女子向けライトノベルなお話の<その4>です。お口に合いそうでしたら、ひと口だけでもいかがでしょうか?

前回までのお話:
<その1> はじめまして、首フェチの生き霊です
<その2> 鑑賞は生に限るが生き霊はイタダけない
<その3> 水野春臣の懊悩と金曜日が終わらない件

続けてのご愛顧、誠にありがとうございます!
それでは、ごゆっくりどうぞ~。



あなたに首ったけ顛末記<その4>

◇◇御崎十緒子のゴカイ☆フェスティバル◇◇

(14400字)

御崎十緒子みさきとおこ:絵を描くのが好き、幽体離脱で生き霊になりがちな、首フェチ26歳会社員女子。黒髪ロングふっくら頬の和顔。
水野春臣みずのはるおみ:十緒子にナイスバディと認められた体の持ち主、顔立ち濃い目、口が悪く霊感体質の26歳会社員男子。
しーちゃん:人語を話す普通じゃなさそうな手のひらサイズのヘビ。蛍光灯のように白く光る。十緒子を助けるようにふるまう。

生き霊さん:十緒子の部屋に現れた。その正体は春臣のストーカー? 

<1>御崎十緒子は誤解する(1)

(4200字)

 『鑑賞』が足りないから生き霊になりがち、というのは、実は詭弁だったりする。
 水野さんが、命がかかっていることだからと仕方なく、渋々イヤイヤ提案してくれて、私は嬉々としてそれに乗っかって。
 結局、『鑑賞』が生でも間接でも、問題はそこではなかったのだ。

 だって、私がいちばん最初に願ってしまったのは。
 手を伸ばした、理由は。

 26年間カケラも交際経験なく、小説やマンガ、映画やドラマなどの創作物でそれを疑似体験していただけの、根っからの喪女。
 それが私、御崎十緒子みさきとおこ
 彼に言われて、髪やメイク、服装を改善するのは、慣れてきたら思いのほか楽しかった。絵を描く対象ほど自分に興味は持てないのだけど、色をのせるコツを教わったら、そこは絵を描くのと同じ感覚だと、思えるようになったのだ。
 その出来栄えに、おおーこれなら世間一般の普通の女子に見える、もう喪女じゃないって言ってもいいかな、なんて思いあがったりもして。

 でも本当の私は、なにも変わってなんかない。
 中身、本来の私は、喪女のまま。
 そんな私が、ああ、どうして。
 なんてハレンチなことを、欲してしまったのか。

 彼の、水野春臣みずのはるおみ、26歳男子の。
 その首に、触れたい……だなんて。

 いままで、るだけでヨシとしていたはずだったのに。
 観る、というのもギリギリアウトだったのに、もうダメ押しで完璧にヘンタイ、痴女じゃん、私!
 しかも、どさくさにまぎれて、触っちゃったし!
 ちょっとエロエロなキスされて、それで死にそうになったからって、それは許されないこと。
 本能のままに手を伸ばして、彼の首に、触れてしまうなんて……。
 それ、犯罪だよ?
 同意なく触っちゃ、ダメなんだよ?

 なのに。

『心臓が壊れて、死ぬかと思ったんです、だから私、私も、水野さんに断らないで、触ってしまいました……ごめんなさい! 死ぬ前にもう一度だけ、って思っちゃったんです、結局私死んでないし、これじゃただのお触りですよね、許されませんよね?! もう、私……私、死ねます、思い出し悶え死に、でも死んでないし、うあああん!』

『落ち着けって、言ってんだろ! 触りたきゃ触れ、このバカ!』

 手を引かれて、彼が私の手で自分の首を覆い。
 その上から彼の手が、がっちりホールド。

 取り乱していた私の心臓が、どういうことか、それを受けて落ち着きはじめ。

 そこに、白ヘビのしーちゃんが帰ってきて。

 首から手を離してぼーっとしてる間に、座り直した水野さんに、体の位置を変えられて。
 私の部屋のベッドの上、うしろから水野さんに抱えられるように座って、両手を握られている、私。
 水野さんのアゴが私の右肩の上、とかいうの、なに、これ?

 なにがどうなってんのか、よくわからないのだけど、イマココ……。

◇◇◇

「……あのう、水野さん、この体勢はいったい、」
「あ? ああ、生き霊対策? あいつはまた来るかもしれないし?」

 なぜか尋ねるようにそう言った水野さんのセリフに、しーちゃんの音のない声が続いた。

(また現れる可能性がある、それについては、同意します。十緒子様、気配をたどったのですが、やはり見つけるのは無理でした。消える前ならワタクシ、追跡出来たのですが)
「へぇ、そりゃすげぇな……。で? この、あからさまにヤバそうなヘビは、おまえの何なんだ。説明しろ」

 しーちゃんは、蛍光灯のような光を放ちながら、私の前にふわりと浮かんでいる。手の上に乗っけてあげたいところだけど、両手ともに、がっちりとつかまれていて、身動きが取れない。

「ええとですね、しーちゃんは私が幼いころからのトモダチで、ん、あれ?」
「なんだよ」
「……ナンなんでしょう?」

 本気で、わからなかった。
 確か小学校にあがる前、幼稚園児だったころによく遊んでいて、それで……。
 あれ私、幼稚園なんて、通ってたかな?

(十緒子様。私は十緒子様の『従者』でございます。使い魔、と言えばわかりやすいでしょうか、かなりざっくりとした説明になってしまいますが。十緒子様のために動き、十緒子様を守る者、それがワタクシなのです。幼かったとはいえ、あまりご説明申し上げませんでしたこと、どうかお許しください)

 しーちゃんの言うことを、ただ聞いていた。
 飲み込もうとしているのだけど、頭がついていかない。

「使い魔……ふん、なるほど。で、なんでおまえは、いままでそれを忘れてた?」
「つかいま? のところから、よくわからないのですが。あれ、でも私……しゃべるヘビさんとトモダチって、相当ヘンですよね……」
「そこからかよ」
「でも、そんなにヘンなことではなかったような気がします、私の周りでは……」

 そのガラスの向こうに答えはあるのに、肝心なところが曇って見えない、そんな感じだった。

(十緒子様、まだご無理をなさらずに。お力を封印されていたのですから。それより、その背にへばりついてる此奴こやつめは、剥がさなくてよろしいのですか。仲直りされたということでしょうか?)
「チッ、そうだった。俺はこいつに縛られて、意識落とされたんだったな」

 水野さんの手に、力が入る。
 ……あっ、もしかして、しーちゃんが怖いのかな?
 そっか、だから私を盾にしてるのか。
 納得!

「ねえ、しーちゃんは、いままで通り、私のお願いを聞いてくれるってことだよね?」
(はい、もちろんでございます)
「水野さん、私、ちゃんと思い出せてないし、まだよくわからないですが。しーちゃんが水野さんに危害を加えることは、もうありません。怖くないです。だから、安心してください!」

 私が彼の手を握り返してそう言うと、はあっ、と大きなため息をつかれた。

「なんか、誤解しやがった……」

 と、そのとき。
 くるくるくるるるるるる~、という音が高らかに、この部屋に響き渡る。
 わあ。私ったら。
 盛大におなか、鳴らしてしまったあああ……。

(十緒子様、ワタクシもう一度だけ、気配を探ってみようかと。ちゃんと警戒しておりますので、どうぞお食事を)

 しーちゃんはそう言うと、キラキラを残しながら、消えていなくなる。
 部屋には、腹の虫の音を聞かせた女子と、それを聞かされた男子が残った。

「……水野さん、ごめんなさい。私がしーちゃんにお願いしちゃったから、痛くて怖い思いをさせてしまって……まずそっちを謝らなきゃいけなかったのに、すみません」

 腹の虫から話をそらすついでに、謝罪してみた。
 あれ、それって、我ながらひどい?

「それは、俺のせいなんだろ」
「ひょっ」

 右の耳元でぼそりとつぶやかれ、ヘンな声が出た。
 く、くすぐったい。
 さっきまでと、水野さんの顔の向きが違う。

「俺に襲われると思ったから、あのヘビ呼んだんだよな」
「ふひゃっ、あのときはパニくってまして、心臓破裂するヤバっ、みたいな?」
「こんな体勢でこんなコトされて、俺が怖くはないか?」
「ふえ……怖い? いえ、こわ、くは……ないです、先に触らせていただきましたし……」

 考えながら、答える。
 後ろから抱えられた体勢で、手を握られてる……。
 そうか、私が水野さんを怖がってないか、を確かめるためもあっての、この体勢だったのか。
 不思議なのだけど、彼の首を触らせてもらってから、恥ずかしさより安心感が勝っている。
 あの、悶え死ぬような、恥ずかしさより……。
 そうだ、彼が、あんなことを言ったから。

「あの、『触りたきゃ触れ』って、言ってました、よね?」
「ああ……言ったな」
「いいんですか? その、私が水野さんに、触ったりなんか、して」
「べつに。減るもんでもねぇし、もういい」

 即答された。
 いいのだろうか、本当に?
 水野さんの口調が、ちょっと気になる。

「なんか、怒ってませんか?」
「べつに。……もう一回訊くけど、俺に触られるのは、怖くないか?」
「はい、怖くないです」
「嫌悪感は? 嫌なら嫌だと言え」
「嫌……じゃ、ないです、ちょっと恥ずかしいですけど。これで確認、できました?」

 そろそろ離れましょう、という意味を込めて言ったけれど、それは伝わらなかった。
 彼の手はゆるんでくれないし、耳がくすぐったすぎて、全身がこわばる。

「ふうん、嫌じゃないんだ? わかった。じゃあ必要なときは遠慮なく触らせてもらう」
「ふへ、えええ?」
「そのかわり、おまえも触りたいときに触れば? 痴女とか言わねぇから」
「ち、痴女、ですよ、だって、つが……」

 言いかけて、とっさに口をつぐんだ。
 その部分は、彼の耳には入らなかったようだ。

「合意の上なら、痴女じゃねぇだろ。あと、まあ……あれだ、俺も。今後俺がおまえに触るのは、合意の上ってことで。問題、ないよな?」
「生き霊さん対策、ですもんね。あの、事前にひと声かけて、くださいね。こちとら筋金入りの喪女なんで、そこはよろしくお願いします」
「ふはっ」

 彼が吹き出して、両手が解け、彼の体が私から離れた。私が右耳に手を当てながら振り返ると、むにっと両頬をつままれる。
 彼が、なんか悪い表情かおでニヤリと嗤っている……。

「言質は、取ったからな。これからどうするか……の前に、腹ごしらえか。すげぇ高音だったな」
「くうっ、やっぱり忘れてはくれなかったかっ」
「ついでに冷蔵庫、チェックしとくか。またなんか腐らせてねぇだろうな」
「はっ、いえいえ、最近は余らせることなく食べてしまうのでそれはないかと!」

 ベッドから立ち上がり、ふたりで台所に向かった。
 わあ、このシチュエーション、なんだか……。
 26年物の喪女にも、こんな朝が来るのか。

 ……ツガイデモ、ナイノニ。

 それはさっき、口から飛び出しそうになった、ことば。
 水野さんが眠らされてたとき、しーちゃんがあんなこと言うから。
 気にしちゃうじゃ、ないかあ……。



<2>御崎十緒子は誤解する(2)

(4800字)

 ウチの冷蔵庫には、米の入った袋といくつかの調味料(マヨネーズ、醤油、酢)、それから、昨日水野さんが買ってきてくれた丸々一本のロールケーキしか、入っていなかった。
 いつ買ったのか覚えていない、お湯で溶かすだけのスティックタイプのカフェオレを、彼はチッ、と舌打ちをしながら飲み、お皿の上でロールケーキを半分に切ろうとした私の手を止めた。

「おい、俺は食わねぇから」
「そんな、遠慮なさらずに」
「遠慮じゃない。腹減ってねぇし、その前にそれ系無理、甘すぎ」
「え、じゃあ、なんで買って来たんですか?」

 昨日はごはんとギョーザでおなかいっぱいになってしまったから、出さなかったけれど。食べたくて買ってきたのかと思ってた。
 ちゃぶ台にナイフを置いて右隣にいる彼を見ると、彼はマグカップのないほうの手を顔に当てて、うなだれていた。

「……前におまえが、そういうの、まるごと食うとか、ほざいてた、から?」
「ああ、その様子が見たかったってことですね! 普通の女子はこういうこと、人前でやりませんもんね! じゃあ、ご覧にいれましょう、それでは、いただきますっ」

 ちゃぶ台の前に座り、ロールケーキを両手で取り上げ、そのままはむはむとスポンジ部分から征圧をはじめる。口まわりについたクリームをベロリンと舐め、回収。
 ふあ~。口内と脳と、すきっ腹に沁みわたる、幸せな甘さ。

「はっ、餌付け、とか。すっかり終わってたな、俺」
「ふが、動物園の餌やりイベントってことですか?」
「……もういい、それで。猛獣、早く食え」

 そうして彼にガン見されながらロールケーキを食べ終わると、しーちゃんが帰ってきた。
 お茶碗のカフェオレ(マグカップがひとつしかなかったのだ)をちゃぶ台に置き、手のひらを上に向け盃にすると、しーちゃんがそこにちょこんと乗った。

「おかえり、しーちゃん」
(ただいま戻りました。なにかが漂っている気配はあるのですが、特定できませんでした)
「なぁ。ヘビ、名前はなんていうんだ」

 横に座っている水野さんに訊かれたのに、しーちゃんはプイッ、とそっぽを向いた。

(名を知ってワタクシを縛ろうとしても無駄です。そもそも、名などないのです)
「バレたか。いや、でも、呼び名くらい教えろ。面倒だ」
「しーちゃん、は名前じゃないの?」
(それは、十緒子様のためだけの名なのですよ)
「それに、俺がこいつをちゃん付けで呼ぶとか、ありえねぇだろ」

 それを聞いてしーちゃんが、しっぽから頭に向かって、プルプルプルッと全身を震わせた。

(キモッ。鳥肌立ちました、ヘビなのに)
「んだよっ。イヤなら教えろ。ってか、おまえはなんで、そう呼んでるんだ?」
「ええっと、そう。白ヘビだから、しーちゃん、です」

 ポンと、思い出した。
 そう、白いから、しーちゃん。それから……。
 それから? って、なんだろう?

「じゃあ俺は、白って呼ぶことにするか」
(白様、でもよろしいですよ)
「で、白。おまえは、なにをどこまで出来るんだ? 俺を落とせるからには、相当やっかいな力を持ってるんだろ?」
(無視ですか、そうですか)

 ふたりの会話を聞きながら、そういえば、と思う。

「水野さんは、この状況を。その、驚いたりはしてないんですね」
「あ? おまえも普通にしてるだろうが」
「私はなんというか、これが本当だった、というか。すごくしっくりくるんです。でも、そう、普通の人にはしーちゃんのこと、話しちゃダメって言われてたし……そうしないと、ヘンに思われるから、って」

 そうだ、そう教えられた。
 だからしーちゃんは、私の秘密のトモダチだった。

「ああ、俺がおまえをヘンだと思うってこと? おまえがヘンなのは、いまさらだろ? まあ俺も、霊感体質に折り合い付けるための修行で、多少の怪奇現象には慣れてる。それに、」

 むにり、と、彼の左手が私の右頬をつまんだ。

「おかしいと感じていたことに、いろいろと納得がいった。おまえのあの、生き霊の有様とか。こんなの使役できるなら……ていうか、おまえ、白をどうやって使ってんだ?」
「使う? いえ、お願いしか、したことないです」
(正確には、許す、なんですがね。十緒子様、なんかムカつくのでもう一度、この男をシめるお許しをいただけますか? ついでに、此奴こやつの知りたがるワタクシの能力を、余すところなく此奴にぶつけてやりますので)
「へぇ、十緒子に許されなきゃ、おまえはなんも出来ない、と。そういうことか?」
(ムカッ。十緒子様、ちょーっと念じるだけでよろしいですから、ささ、お許しを)

 ふたりの言い争い? にぽかんとしている間に、右頬をつまんでいた手が、私の左肩をつかんで、ぐいっと引き寄せられた。体に巻きついてくる、彼の両腕……。

「あー、えぇ、怖すぎて俺には手に余るなぁ。おまえならこのヘビ、なんとか出来んだろ?」
(棒読みですか、そうですか。十緒子様を使役しようなどと目論むだけのことはありますね)
「そうだな、その皿の上でとぐろ巻くのを許す、とか? 出来んの?」

 この不穏な空気と、水野さんのボディタッチから逃れる方法を、残念な私はひとつしか思いつかなかった。

「はい! トイレ! トイレに行きたいです!」

 しーちゃんを振り落とし、左腕をまっすぐに上げそう宣言すると、彼の腕がゆるんだ。そこからすり抜けるようにして立ち上がり、ふたりにかまわず、とにかくトイレに向かう。

 ああ、もう。なんでか顔が、熱い。
 また水野さんに、いつの間にか抱えられてるし。
 なんで……なんでこんなことに、なってるんだっけ?
 なんの話をしてたんだか。
 なにか、忘れてるよね?


◇◇◇

「あの白ヘビが出来ることを把握しておかねぇと、あの生き霊に対抗出来ねぇだろうが」

 仕度を済ませ、水野さんの車があるコインパーキングまでの道すがら、彼が言った。
 とりあえずめっぱなしの車を出したい、だけど、いま別行動するのはマズそうだ、というわけで、私も水野さんのマンションに行くことになったのだ。
 しーちゃんは、警戒を強めると言って、また姿を消した。なにかあったらすぐ駆けつけてくれるという。

 そう、生き霊さんとこんにちは、は、もしかしたら3回目があるかもしれないのだ……忘れていたわけでは、ない。

「正直俺に、大した力はない。せいぜい結界を張り直す程度だ。最悪の場合の手段もなくはないが……あのヘビがいれば、なんとかなりそうだからな」

 車に乗り込むと、彼は助手席に座った私が抱えていたトートバッグを取り上げ、後部座席に放った。泊りがけになるかも、ということで、着替えが入った少し大きめのバッグ。

「支払い済ませてくるから、待ってろ」
「あの、私もお支払いしますので」
「カードで払うから、とりあえずはいい」

 彼が車を降りようと腰を浮かせたところで、私はふと思いついて、言った。

「でもよかったです、コインパーキングに入れておいて。こんな時間まで路駐してたら、駐車違反、取られてたかもしれませんもんね。水野さん、見越してたんですか?」

 ゴン、となにか鈍い音がした。
 水野さんがシートに座り直して、おでこに手を当てたまま動かなくなった。

「だいじょぶですか、ぶつけたんですか?」
「……寝不足とはいえ、冷静に理性を失ってたんだな、俺は。朝帰り、するつもりだったとか……」
「なに言ってるのかよくわからないんですが、先見の明ってヤツですね!」

 彼から盛大なため息が聞こえ、そのすぐあとに、ポンッ、としーちゃんが姿を現した。ダッシュボードの上に尾をつけ、立ち上がったままふるふると震えてみせる。

(十緒子様、なにかよくないものが、います)
「えっ?」
(右前方、あの濃い目の灰色の車。あの女……)

 言われた車を見つけて、その車からショートカットの女の人が降りてくるのを見た。
 遠目にも、おしゃれでキレイな、大人の女性ヒトだとわかる。
 水野さんが、車外でマスクをつけるその人をにらみながら、つぶやいた。

「あれは、主任? ……マジかよ」

 彼は車を降り、扉を閉める前に私に言った。

「探りを入れてくる。ここから動くなよ」
「え、あのヒトが、生き霊さんの正体なんですか?」
「いや、そう思いたくない類の人なんだが。白ヘビの言うこともあるが、おまえんの近くで偶然会うなんて、絶対おかしいだろ」

 彼はドアを閉め、出口へ向かおうとしている彼女のほうへ歩いていった。
 彼が手を上げ軽く振ると、彼女はその動きを止める。
 知的美人、ということばが似合いそうな、たぶん年上の女性。

「しーちゃん、よくないものって、どういうこと?」
(人がああいうのを纏っているのは、あまりよくないんですよ。近くまで行けば、十緒子様にも感じられるかもしれません。そうですね、ひと言で言えば、いんの気、でしょうか)

 陰の気。そのことばは確か、水野さんも言っていた。

(陰の気は、誰しもが少なからず帯びているものなのですが、あそこまで増殖させるのは、あまり好ましいことではありません。その引力で、じゃを引き寄せてしまうのです)

 しばらくして、彼女に再び手を振った水野さんが、彼女を背にして戻ってきた。
 車に乗り込んで、私をじいっと見つめる。
 一度彼女のほうをちらりと横目で見てから、「おい、触るぞ」と言って、私の両手を取った。
 私の手を自身の首に這わせ、シートに寄りかかっていた私の、肩とシートの間に左腕を入れる。
 彼の右手が、私の頬に触れた。

 私の手に、彼のうなじの毛が触れる感触、彼の首の脈動。
 はい、突然のご褒美タイムキター! 
 けどそんな事態じゃなさそうだし、なによりこちらも、彼の手の温度を頬に感じてしまって。
 むむ、ちょっと集中できそうにない……。

「あ、の」
「近くに知り合いが住んでるんだと。言動はいつも通りの主任だったが、なんか違和感がある。カノジョ役、頼むぞ」
「へ、ええ?」
「しばらく、この体勢でいればいいだけだ。向こうから見れば、そこそこエロい感じになんだろ」
「エロ、って!」

 彼の肩越しに、彼女の姿が目に入る。
 手にしていたサングラスをかけた彼女は、それでもこちらを見ているように見えた。
 しばらくして歩き出し、この車の前を横切って、パーキングの出口へ向かう。

「……行った、か」

 彼が彼女のうしろ姿を確かめてから向き直って、そこでバッチリと目が合った。
 あわてて、彼の首から手を離し、目をそらす。

「ん? もういいのか?」

 ニヤリとしながらそう言う彼は、私の背中と頬から、手を離してくれない。
 んあ。心臓が、またバクバクしはじめた。
 は、離して、くれないかな……。
 と思った瞬間、しーちゃんが彼と私の顔の間に、ポンと移動してきた。
 しーちゃんが彼のおでこを、ぺしんと尾ではたく。
 彼は私から手を離し、運転席にどかっと背を預け、おでこを確かめるように手を当てた。

「んだよ、痛てぇだろ」
「しーちゃん! もしかして私、しーちゃんにお願いしちゃった?!」
(半々、というところですかね。男、このワタクシが手加減してやったことに、感謝するんですね。それよりワタクシ、あの女を追ってみます。十緒子様、それでも、お呼びいただければいつでも馳せ参じますから、ご安心ください)

 そう言ってしーちゃんは、姿を消した。
 車内に、沈黙が落ちる。
 私は音を立てないように、もぞもぞと座り直した。
 ちらりと目だけ動かして水野さんを伺うと、彼はおでこに当てていた手をそのまま下にずらし、両目を覆っていた。が、起き上がるとドアを開け、無言で精算機に向かった。



<3>御崎十緒子は誤解する(3)

(5400字)

 少し、時間をさかのぼって。
 深夜、しーちゃんが突然現れ、水野さんがしーちゃんに金縛りで眠らされてしまった、そのあとのこと。

「ほ、ほんとに、眠ってるだけ?」
(大したことはしておりません。ワタクシこれでも、察しがいいほうですので。此奴が真の暴漢であったなら、もっといろいろ、おのれの存在を後悔するような苦痛を与えてやれたのに、残念です)

 なにか物騒なことを言う、しーちゃんの声を聞きながら。私はベッドから下りて、床の上の水野さんの様子を確かめた。
 すーすーと軽やかな寝息が聞こえてきて、確かに眠っているようだ。

(さて、静かになりましたし。十緒子様、なにがあったのか、お伺いしてもよろしいでしょうか?)

 そのまま床にぺたんと座り、私はしーちゃんに説明をはじめた。どういう順番で話したのか、自分でもよく覚えていない。相当めちゃくちゃな説明だったと思う。

 心臓が壊れそうに打って、胸が痛くなったこと。
 だからどうしていいか、わからなくなって、助けを呼んだこと。
 水野さんとの、エロエロなファースト・キス。
 でもそれは、ヤバそうな生き霊さんが来て、仕方なくだったこと。
 自分も、生き霊になっていた、最近なりがちだったこと。
 私のためにしてくれた、水野さんの親切な提案のこと。
 私と水野さんとの、出会い。

 しーちゃんは黙って、時折、首をタテに振ったりかしげたりしながら聞いてくれた。

(十緒子様、この男は、十緒子様の『つがい』ということで、よろしいでしょうか?)

 私の説明が終わって、しーちゃんの第一声がそれだった。
 番い。
 確かに私は、そのことばの意味を、知っている。
 二次元を愛する者にとって、それは常識の単語だ。
 ただ、自分の日常にそのことばが登場することは、間違いなく、ない。

「ツガイ?」
(十緒子様がワタクシを呼んだのは、この男の強引な迫り方のせいでしょう。それでもこの男の所業を十緒子様がかばうのは、此奴が十緒子様の番いであるから、という結論に達しました)
「私の、ツガイ、水野さん、え?」
(そもそも、十緒子様がこの男を見初みそめたのが、はじまりのようですし)
「みそ、見初め……?」
(電車でこの男を見つけ、自らの番いとして選ばれたのは、十緒子様でございましょう?)

 私が、水野さんを、選んだ。
 番いとして。

「違う、しーちゃん私は、水野さんのカラダ目当てで、ただ観てただけで、それでよくて、」
(まず体が気に入られた、番い選びとしては、真っ当な順序です)
「そうじゃなくて! その、恋愛感情じゃない、から……だから、番いじゃ、ないよ。それに、」

 そう、もっと大事な、重要なことは。

「それにね、水野さんは私のこと、本当は、迷惑がっているから。私が生き霊になってばっかりで、死んじゃうかもしれないから、だから、親切にしてくれてる、それだけなんだよ。親切心で、ちょっと仲良くなってくれたり、してるだけ……」

 いずれこの人も、私の前から姿を消す。
 しーちゃんたちのように。
 私が気付けない間に、いなくなってしまうかもしれない。

 ふと、床につけた足に冷えを感じた。

 すぐそばで眠る水野さんを見て、ベッドの上に運ぼうか考えたけれど、私の力では無理だと思った。
 ベッドの上から掛け布団と枕を引っ張って下ろし、掛け布団を水野さんに掛け、さらに床と彼の体の隙間に詰めていった。
 頭くらい、簡単に持ち上がるかと思ったけれど、意外に重い。それでもなんとか、彼の頭を枕の上に乗せることに成功した。

 枕に彼の頭を乗せるとき、また結局、彼の首に触れてしまった。

「ごめんなさい」

 そんな、眠ってる彼には聞こえない謝罪をつぶやいたところで、結局。

 私は彼に、触りたかっただけなのだ。
 そう……番いでも、なんでもないのに。

 『鑑賞』が足りないから生き霊になりがち、という、詭弁。
 ひどいなあ、私。
 この日常が続けば、水野さんに本当のカノジョなんて、出来ないじゃないか。

 本当のカノジョでもないのに。
 番いでもないのに。
 私がここにいていいわけが、ない。


◇◇◇

 目を覚まして目に入ってきたのは、見知らぬこともない天井だった。

 ぐうっと伸びをすると、腕と足がソファの背もたれとひじ掛けに当たる。
 水野さんのお宅の、リビングのソファの上で、私は昼寝から目覚めた。

 あのあと車で、水野さんの部屋があるマンションに連れていかれた。
 そういえば、生き霊じゃなく水野さんの部屋に来たのは、これが初めてだった。

 なんちゃって1LDKの私の狭い部屋とは違い、高い天井、広い間取り。十四階建て五階の3LDK、公園を臨むバルコニーから、明るい陽ざしが入る。これからドラマの撮影ですか、と訊きたくなるような、私にとっては非日常な空間。

 私が部屋をフラフラと探索してる間に、水野さんがお昼ごはんを作ってくれた。数種類の野菜とソーセージが入ったガーリックなスパゲティと、サラダ。
 料理があまり得意でない私からすると、それはただの魔法。
 あんな、食材豊富な冷蔵冷凍庫を維持できるのも、魔法を使っているとしか思えない。
 食べ終わって、片付けくらいはやらせていただこうとしたのだけど、断られてしまった。

 水野さん……怒ってるような、いつものぶっきらぼうな感じといえばそれまで、のような。むむむ、わからない。
 車の中から、マンションに着いても食事をしても、お互い最低限のことしか、話していなかった。私がまた、しーちゃんを水野さんにけしかけちゃったかもしれない、その罪悪感もあって、私のことば数も少なかった。
 で、水野さんが片付けをするあいだ、ひとりリビングのソファに座らされて、いろいろ考えはじめたら眠くなってしまって……。
 オトナの女子として、これってどうなの。

 起き上がると綿毛布が床に落ち、私はそれを拾いながらソファに座り直した。そのまま綿毛布を抱え、まだよく働かない頭で、状況を少しずつ思い出していた。

 あの女性ヒト、キレイなヒトだったなあ。
 水野さんが番いにするなら、あんな女性が、いいんじゃないだろうか。
 絵面を思い浮かべて、脳内スケッチしてみる。
 ……イイ。濃い目美男子と知的美女カプ、ごちそうさまです。

 でも。
 あの、ちょっとどころじゃなく禍々しい生き霊さんが、本当に彼女なのだとしたら。

『( 春臣サン……私ノモノ……渡サナイ。オマエ……消エテシマエ )』

 生き霊さんからぶつぶつと聞こえてきた、ことば。
 思い出して、ゾクッとする。

「寒いのか?」

 背後から声がして、振り返ると水野さんが立っていた。
 遅れて、リビングと廊下をつなぐ扉が、パタンと音を立てて閉まる。
 彼はソファに近寄ると、私から綿毛布を取り上げて、広げた。それを頭の上からふわりと掛けられ、寒気が消えた。

「あ、りがとう、ございます。ちょっと、生き霊さんのこと、思い出しちゃいまして……」

 頭を毛布から出しながら、お礼を言う。彼は、私がもたれているのとは反対側の、ソファ右のひじ掛け部分に腰をかけた。3人掛けの、158センチの私が横たわっても難のない、大きめのソファ。まだじゅうぶん、座るスペースはあると思うのだけど。
 はあ、とため息をひとつつき、水野さんがつぶやく。

「生き霊、か」

 そんな彼のことをじっと見つめていると、彼は「あのな」と言って話しはじめた。

「主任、さっきの女のことだけど。直属の上司で、信頼してたしいろいろと相談にも乗ってもらってた。まあ結構、気を許してた。俺にしちゃ油断、してたな」
「そう、ですか」
「で。主任があの生き霊かも、と思ったら、少し動揺した……情けねぇけど」

 ああ、だから水野さん、様子がおかしかったんだ。

「そうなんですね。でもまだ、生き霊さんがあのヒトだと、決まったわけではないですし。違うかもしれません」
「どうだろうな。まあ、それより、それで……動揺してたとはいえ、またおまえに触りすぎたよな。ごめん」
「……え?」

 水野さんの口から出た『ごめん』に、ちくりと胸の痛みを感じた。
 ああ、これは……キスしたことを謝られたときとおんなじ痛み、だ。
 水野さんが私に謝るって、なんか、違う。
 触ったことを謝られてしまう、それに対する、違和感。
 なんで?
 しーちゃんを呼んだ、罪悪感?
 それよりも、しっくりくるのは。

 ツガイデモ、ナイノニ。
 ツガイデハ、ナイカラ。

 彼だって、カノジョでもないモノに、不必要に触りたくは、ないはずなのだ。
 なのに、私がまた、しーちゃんを呼んじゃったから。
 また怖がらせてしまったかと、気を遣ってくれたのに。

 でも、だけど。
 触れたことを、後悔してほしくはなかったなあ……。

「いえ、あのすみません私、しーちゃんをどうやって呼んでるのか、まだわからなくて。そんなつもりじゃ、なかったんですけど。しーちゃんが水野さんに危害を加えることはもうない、なんて言っておいて、嘘つきですね」
「いや。おまえが謝る必要は、ねぇ。嫌なら言え、ってのは実際、無理あるんだ。恐怖や嫌悪感で、それをことばに出来ない、そっちのほうが自然、人によってはそうなんだってことを、忘れ……てた。ひでぇな。つまり、おまえが白を無意識に呼んだのは、正当防衛ってこと」

 ハッ、と乾いた笑いを漏らす水野さんを私は、見たくないな、と思った。
 水野さんは悪くない、と伝えるには、どうしたらいいんだろう。

「私は! その、恥ずかしくて……私の心臓が、もっと強ければ、いいのですが。じゃなくて、ええと、今朝も言いましたけど、怖くないし、嫌じゃないです。……そう、むしろ、カノジョでもないモノを触らなきゃいけない、とか、カノジョでもないモノに首を触られてる、水野さんこそ。嫌、って言いたいのに、言えないんじゃ、ないですか?」

 水野さんは、一瞬息を止めたように見えた。

「っ、俺が? 嫌だと言いたいのに、言えない? 俺が、嫌々おまえに触れてる、と? おまえはそう思ってる、そういうことか?」
「も、もしかしてさっきの、駐車場のときは。動揺して、なにかつかめるモノを探して、そこにあったわらが私だった、とか? かもしれませんが。それはべつにいいんです。でも、水野さんが嫌なことをする必要は、これっぽっちも、ないんですから」

 そう、私は。
 カノジョでも、番いでも、なんでもないのだから。

 ……あれ、こんなことが言いたかったんだっけ?
 責めてるような口調に、なってない?

「……誤解にも、ほどがあんだろ」

 彼が、ひじ掛けから立ち上がり、ソファの座面に座り直した。
 そして、右手のひらを上に向けて、私のほうに差し出す。

「いま、おまえに触れてもいいか? いいなら、手を」

 私は綿毛布を握っていた右手を、軽く握ったカタチのまま、彼の手のひらにのせる。
 反射的に、お手、をしてしまったような。

「ふ」

 彼は息をこぼすように笑い、私の右手を手首からつかむ。そしてつかまれたまま距離が詰められ、彼の左腕が私の両肩に乗せられた。
 綿毛布は腰のあたりに、くしゃ、となって落ちている。

「俺は、嫌なことは嫌だと、はっきり言う。やりたくねぇことは絶対やらねぇ」
「でも、『鑑賞』させていただけることになったとき、めちゃくちゃ不本意だ、って水野さん、言ってましたし」
「あー……そりゃ最初は、マウント、恩に着せてやれ、的な? なんだ、クソダセぇな、俺。まあ、そう言いながらも結局ОKした、それが俺の答え。マジで嫌ならあのとき、はっきり断ってる。だから、」

 彼は私の右手をそっと下ろして手を離し、私の左頬に触れながら、言った。

「俺が。嫌々おまえに触ってるとかいう、わけわからん誤解、するな」

 ……誤解。
 ゴカイ?
 てことはつまり、どういうこと、なんでしょう?
 水野さんは、触りたくて触っている?
 カノジョでもない、ニンゲンを?

 ………………。

 はっ、まさか。
 私と同じに、なってしまった、とか?
 いま彼が触れているのは、私のほっぺ。
 小顔なんてものには程遠い、タプタプとしたこの、やわらかいだけのほっぺ……。
 最近ここ、やたら触られてる気がする。
 ……なんて、ことだろう。
 私のせいで水野さん、ほっぺフェチになっちゃった?!
 こんなイケメンに、フェチとかヘンタイとか……ほっぺくらいならいいのかな、でも……。

「水野さん、私……あなたに、なんてお詫びしたら……」
「お詫び? なにを深刻に……いや待て、またなにか誤解してるんじゃねぇだろうな」

 そのときどこからか、パチパチッ、という音が聞こえた。
 
(十緒子様、ただいま戻りました。おや、またイチャイチャされてるんですか)

 ポンッと音と共に、しーちゃんが現れる。ソファの前に置かれたローテーブルの上に、ふわふわと浮かんで、言った。

(十緒子様、あの女。魂のつなぎが、もうすぐ切れます。数多の邪を、引き連れて)

 しーちゃんが言い放ったことばの羅列と、その意味を。
 私も水野さんも飲み込めないまま、しばらく動けなかった。



つづく →<その5>はこちら

あなたに首ったけ顛末記<その4>
◇◇御崎十緒子のゴカイ☆フェスティバル◇◇・了

(この物語は作者の妄想によるフィクションです。登場する人物・団体・名称・事象等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。)


【2022.11.13.】up.
【2022.12.02.】十緒子ん家の間取りを2DK→1LDKに表記変更
【2023.03.03.】章タイトル追加
【2023.08.24.】微修正


☆あなたに首ったけ顛末記・各話リンク☆

<その1> はじめまして、首フェチの生き霊です

【生き霊ストーカー・編】
<その2> 鑑賞は生に限るが生き霊はイタダけない
<その3> 水野春臣の懊悩と金曜日が終わらない件
<その4> 御崎十緒子のゴカイ☆フェスティバル
<その5> 手は口ほどに物を言うし言われたがってる
<その6> 日曜日には現実のいくつかを夢オチにしたっていい

【ヘビたちの帰還・編】
<その7> 吾唯足知:われはただ「足りない」ばかり知っている
<その8> 天国には酒も二度寝もないらしい
<その9> どうしようもないわたしたちが落ちながら歩いている
<その10>「逃げちゃダメだ」と云わないで
<その11> アテ馬は意外と馬に蹴られない
<その12> ”〇〇”はゴールではない、人生は続く
<その13> イインダヨ? これでいいのだ!

【御崎十緒子の脱皮・編】
<その14> 耳目は貪欲に見聞し勝手に塞ぎこむ
<その15> 人生と誕生日は楽しんだもん勝ち
<その16> 隠者のランプは己を照らす
<その17> 闇で目を凝らすから星は輝く
<その18> トラブルには頭から突っ込まないほうがいい
<その19> 痴話喧嘩は甘いうちにお召し上がりください【前編】
<その19> 痴話喧嘩は甘いうちにお召し上がりください【後編】

【(タイトル未定)・編】
<その20> 招かれざる客は丁重にもてなせ
<その21> 歌い踊るは人のさが


『あなたに首ったけ顛末記・目次』
 ↑ サブタイトル込みの総目次を載せた記事です。
マガジン・小説『あなたに首ったけ顛末記』 
 ↑ 第一話から順番に並んでます。
#あなたに首ったけ顛末記
 
↑ ”新着”タブで最新話順になります。

マガジン・小説『闇呼ぶ声のするほうへ』(スピンオフ・完結)
 
↑ <その14>のあとに書いたのでその辺でお読みいただくと楽しいかも? 


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# 美声のおねえさんに「ゴカイです」って言われるのイイよねここはエレベーターの中

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駒井かや【物書き修行中&鳩には道を譲りたい】
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