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闇呼ぶ声のするほうへ【長編小説・完結】

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異能もの現代ファンタジー長編小説です。  これは、いまから30年と少し前の昔話――。  高校生の御崎真緒子の前にある日突然現れた、小さな黒いヘビ。人のことばを話すそのヘビは、真…
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闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説) あらすじ/目次/本編【プロローグ】

・長編小説タイトル:  闇呼ぶ声のするほうへ(ジャンル:現代ファンタジー) ・あらすじ:  昔々、いまから30年と少し前の、お話。  高校2年生の御崎真緒子はある日突然、人語を話す黒いヘビの姿を視る。  それは御崎家の先祖――蛇神にその身を捧げ自らも神になった巫女が、子孫に寄こす祝福であり従者だった。  それまで、祝福を受けたと聞く自分にその兆候はなく、もうなにも起こらないだろうと思っていた真緒子は、ヘビの出現に困惑する。だが居合わせた友人、佐倉玲花の存在により

闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説)【第1章・私は黒いヘビの名を呼ぶ】

闇呼ぶ声のするほうへ 【第1章・私は黒いヘビの名を呼ぶ】 (19995字) <1>高校生の私と佐倉、黒いヘビのこと (5748字)  それは、高校2年生の夏、期末試験明けの午後のことだった。 「……あのさ」 「んー、なに?」  御崎本家のだだっ広い日本家屋の中の、数少ない板張りの部屋。  私たちが図書室、と呼んでいた、私の本専用の部屋で。  制服のままうちに来て、いつものように、床に直座りしソファに寄りかかってくつろぐ彼女、佐倉玲花が……いつものように、マンガ

闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説)【第2章・貴方が私の名を呼んだ日】

闇呼ぶ声のするほうへ 【第2章・貴方が私の名を呼んだ日】 (19679字) <1>大学デビュー失敗と水難、彼シャツのこと (6470字) 『前略・佐倉へ、お元気ですか?  私は見事、大学デビューに失敗しました。』  これは、佐倉への初めての手紙の書き出しとして、どうなのか。  それを考え、いつもそこで止まってしまう。  ウケるとは、思うけれど。  書き終わるまでにつくであろうため息の数を考えると、筆は進まなかった。 +++ (真緒子、あそこから水が降ってく

闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説)【第3章・その目が私を呼んでいる】

闇呼ぶ声のするほうへ 【第3章・その目が私を呼んでいる】 (20018字) <1>密室からの脱出と目撃者、彼らの呼ぶ声のこと (6776字)  私、御崎真緒子が佐倉玲花へ初めて出した手紙は、ひどく色気のないものになってしまった。    大学のレポート提出にも使用するワープロ(文字入力しかできないプリンター付きノートパソコンもどき、で通じるだろうか)の練習も兼ねて、書きはじめたら止まらなくなって。  書き上げて、海藤さんに封筒を頼んだら、「提出用のレポートでしたら、

闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説)【第4章・私をその名で呼ばないで】

闇呼ぶ声のするほうへ 【第4章・私をその名で呼ばないで】 (19664字) <1>闇の光と動く仮面、金色のヘビのこと (7429字)  それは、ひどく面倒な依頼だった。  現場の学校は、春休み期間中。私たちが作業する間は校内を無人にしてほしい、と依頼主に頼んでいたにもかかわらず、校内から人がいなくなったのは結局、その日の夕方。作業は、すっかり日が落ちてからとなってしまった。  私、御崎真緒子と、安達玄しかいない、夜の学校。  でもそこに、静けさはなく。  人

闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説)【第5章/エピローグ】

闇呼ぶ声のするほうへ 【第5章・闇呼ぶ声のするほうへ】 (9760字) <1>漆黒の闇と伝わる波、小さな明かりのこと (6083字)  夫、御崎玄の生き霊を見つけるための、『闇渡り』への旅路、その入口で。  レイヴン……蛇神の巫女から遣わされた私の黒いヘビ、レイが言った。 (真緒子はちゃんと、ここにいるのだ。それを忘れてはならないのだ)  幽体離脱して生き霊になった私は、布団に横たわる私の実体の体と、その横で私の手を祈るように握る彼女、佐倉玲花の姿を、部屋の天

闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説)【番外編・魔法にかかった傍観者】

闇呼ぶ声のするほうへ 【番外編・魔法にかかった傍観者】 (10300字) <1> (2800字)  父は、物語を終わらせないまま、ひとりで逝ってしまった。  父が母と共にはじめた、私……佐倉玲花、という名前の、物語を。  この世界を去る前に、はじめてしまったすべての物語を閉じなければならないのに。  その有名な児童向けファンタジー小説を読み終わった、当時小学生だった私は。  まだそんなふうに、はっきりと言語化することは出来ず、ただモヤモヤとしたなにかを抱えてい