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友人の長年の謎を解明した話

ことの発端は友人のツイッターのプロフィールを見かけた事だった。

ジュール・ヴェルヌの小説に出てくるぱんじろうの木について知っている方を探しています。

こういった私に向けられた訳でもないけど、万人への依頼の様に仕向けられたメッセージを見てしまってはインターネット老人会メンバーとしては、ネット探偵を気取りたくなるのは三十路の性である。
よって本稿は、私がどのようなアプローチで解決に導いたかを示すと共に、以下に素人探偵の思考がプロに及ばなかったかを知ってもらえればと思います。

検索すればよくね?期

私は友人を過小評価からはいっていたのだろう。こんなんそのまま検索すりゃええのにwと、まずは検索を試みる。

検索「ぱんじろうの木」

その結果はこれである。

当方栃木県在住

そうパン屋しか出てこないのである。
しかし検索システムには完全一致で検索をかける機能もある。ダブルクォーテーションを使用することで、それが可能なのだが、“ぱんじろうの木”とやっても・・

友人のツイートしか引っかからねぇ…

素人探偵検索編 完

原作を読む期

このプロフ以外にヒントはないかと実は検索やってから半年くらいはこの話題を忘れていました。
私は時たま配信をしているのですが、そこに遊びに来た友人に聞いてみました。

ぱんじろうの記述は真に存在しており、未だ未解決だということ…

そこからさらに一ヶ月くらいぱんじろうのの事は忘れていた矢先、ふと思い出し、また友人のツイッターを覗いたところ進展があった!



彼の過去ツイが固定になっており原文か拝めるじゃありませんか!

確かに、紛れもなくぱんじろうだ…。

 米澤穂信さんが好きな私は推理を働かせる。
原作者はフランス、おそらく海外の木であって日本語に直せないのではないか。さらに前後に出てくる木から察するに食用のモノが実る木ではないか…。そしてそのモノは翻訳者が執筆していた当時に日本には蔓延しておらず、仮の名を与えたのではないかと…。

しかし翻訳業界を知らないもののそんな適当な仕事をプロはするものだろうか?疑問はつきない。

実はもうひとつ前回のヒントからは大きなヒントがこちらにあるのをお気づきだろうか。

そうタイトルが遂に判明したのである。

動く人工島

なんともそそられるタイトルだ。これで検索が捗るってもんだ。

そして皆さんそろそろ根本的な疑問にお気づきだろうか。

「最初から友人に詳細聞けばよくね?」

 ごもっともな意見ですが、私はこの友人が友人ではあるが、正式なクライアントと探偵の関係ではないのです。感覚的には某掲示版に万人向けに貼れた依頼を自分の意志でその限定的なヒントしかない中、問題解決に向き合おうとした一興なだけであり、友人に根掘り葉掘り聞いてしまっては負けな気がしてしまったのだ。分かるかな…分かんねえだろうな…(古

閑話休題

これだけ大きなヒントを得ればインターネッツの本領発揮ですよ。

まずはこのタイトルを検索。

そしてお世話になるのはやはりWikipedia。

そこで一番知りたかったのは原題である。

L'Île à hélice

なんて発音するかも分からないが、検索はコピペをするだけだ。充分である。
皆さんもここまできたらぜひ検索をかけてほしい

検索の上から2つ目に原作小説がフルで閲覧できるのである。

さて、ここでぱんじろうを検索すれば楽勝と思いますが、panjiroとか入れたって検索に引っかかるわけがありません。そう、ほかの単語で例のぱんじろうに辿りつかないといけないのです。

そこでさっきの固定ツイートに戻ろう。

皆さんならどのキーワードから検索します?

検索&グーグルレンズ期

ビビっときました。
ぱんじろうの直前にでている・・
マンゴーの木だ!!

続いて、翻訳君をつかってマンゴーの木を訳す。

Manguier(発音はモンギーみたいな感じ)

そして検索・・。
ヒット!!
勝ったと思いました。

発見manguier

翻訳通りなら、マンゴーの木の後ろにくる文字こそがパンジロウに違いない!!!しかし、このdes taccasはいくら検索をかけてもまともにヒットしない!!
ちなみにグーグルレンズというスーパー翻訳カメラで訳してみたところこんな感じだ。

しかしあの手この手でtacca(タッカ)を検索することによりとあるひとつの答えをみつけた。

ブラックバットフラワー タッカ インテグリフォリア

なんかそれっぽい植物を発見したのだ。学名がタッカなのである。

なかなかショッキングなビジュアル

発見しちまった・・やったぜ・・と思った私。
即友人へ報告。

そう、解決したようでしていないのである。
なぜタッカがぱんじろうなのかが解けていないのは、これは勝手に足りない状況証拠だけで有罪と決めつける様なもの・・。

そして友人はタロイモ科と言っているが実は、タシロイモ科・・。なにか色々なことが噛み合って無い・・。何かがおかしい。

操作は基本は原点に戻ること。もう一度マンギーで検索を試みた結果衝撃の事実に気づく・・。

manguierの検索結果:3

ほかにあるじゃねえか!!
くそ!やり直しだ!!
そして新たな箇所を報告。

さらなるヒント

新たな可能性としてはアボカドの木だ。しかしアボカドはアボカドじゃねえのかな・・。和名で検索してもワニナシくらいしかでてこない。あー、亡くなった作者に聞きてえ!!

すると友人はさらなるヒントを出してくれた。もうここまできたらなりふり構っていられない!どのチャプターのどのページか教えやがれ!!と言いかけた途端、ツイートが流れてきた。

発見伝!

見つかった模様!!

実は友人、私が抜粋したところから全部の植物系の名前を調べていたもよう。そして、もうこれが100%答えという結論が出たのである。

そして解決へ・・

結論はこちら↓↓

バ ン ジ ロ ウ

グアバの和名がバンジロウだったのである。

ん?

パじゃなくてバじゃねーか!!!

そりゃそうだぱんじろうじゃなくてばんじろうなんだから検索しても出てくるわけがない。ちなみにばんじろうと検索するともうグアバの絵がでてくる始末。

1字違いなだけで長年謎が解けず、推理(検索)に何時間もかけたわけだが、どこかもっと早い解決があったのではと後悔が残るエンディングとなった。

愚者のエンドロール

さぁ、頭いいぼくちんなら限られたヒントで解決できるんやでと意気込んだが結果は散々。しかももっとヒントくれと懇願した矢先、友人が解決と先を越される結末となった。
1字違いの可能性・・。そもそも植物と分かっていたらそっちに詳しい人なら即答だった気も・・。人脈の無さと頭の柔軟性に決定的な凡人がでてしまった証拠である。

というか、木を訳す順番が違うのはなんで!!!

しかし、この友人との二人だけの謎解きごっこなんか日常に潜んだミステリーといった感じで実に楽しかったのである。

そして、少なからず古い名作小説への誤字を発見した、世紀の微発見にもなったのではないだろうか。

なので、最後に大きな声で言いたい。

東京創元社さん!!!
ジュール・ヴェルヌ 三輪秀彦訳 動く人工島 に出てくるぱんじろうの木をばんじろうの木に修正してください!!

そして米澤穂信さん、これ小説になりませんかね?

草々

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