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#0029 読書#2『BUTTER』

いつも絶妙な女たちの関係性、チリチリする女性のあるある感を浄化させるお話を描く柚木麻子さんの、実話をヒントにした長編。

題材の首都圏連続殺人事件は、多くの人が興味深く感じた事件だったと思うけど、こちらは何人かの女性が、その容疑者を介して自分に向き合うというお話。

誰しもが持ってるコンプレックスや人との付き合い方、異性との付き合い方、性格、癖、思い出したくないこと、などが、一人の女性を介してここまで顕著に出ますかねってものだけど

誰かを知りたい、不可解で理解できない、だからわかりたいって躍起になればなるほど、自ずと自分への対峙になってくものかもしれないですね。

人のことはわからないから、自分に置き換えたり自分の頭でそうかもしれないと想像したり、なんなら分かりたいからと同じことをしてみたり。

それはやっぱり女の子が幼い頃、誰かの持ち物を真似したり、真似されてなんだか嫌だったり、というものにもつながる感じがします。なぜあの人はああ出来るのに、なぜ私はこうなんだ。普通はこうなのに、なぜあの人はああなんだ。

それを考えすぎると、もはや比較でもなくて、もはや謎解きに近くなる。相手に近づきすぎる。

それが事件の解決?と相まって、この物語を二重に構成してる面白さなんですけど、すこし長回しかなぁと思いました。途中調べたら、連載だったので、なるほど感。連載ではなく長編として読みたかったかな。

でも、色んなことは何かに近づきすぎてしまった後に行くか戻れるかってところだけなんじゃないだろか。ここに書かれている、ギリギリのとこまで行って、そして確認するという主人公二人の女性の性格には私も似通ったとこがあるので、ここで書かれている、そこから適量を知るというのも、とても腹落ちしました。

事実は小説より奇なりはまさにで、実際の事件を超えるものにはなかなかなり得ないかもですね。

しかし、読後にバター醤油ご飯を食べてしまいましたとさ。




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