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殺し技を生理学的に斬る:必殺シリーズからの学び

必殺シリーズに登場する「飾り職人の秀」の殺し技は理にかなっている。私が殺されるなら「かんざしで一刺し」の秀さんか北斗有情破顔拳のトキにお願いする。(吉野賢一)

必殺シリーズ:1972年にTV放送された「必殺仕掛人」から現在の「必殺仕事人2020」まで続いているシリーズ。様々な殺し技を駆使する仕事人と呼ばれる方々が、庶民の晴らせぬ恨みを晴らしてくれる時代劇である。秀さん(三田村邦彦)はそんな仕事人の一人。

飾り職人の秀:秀さんはかんざし細工で生計を立てる飾り職人。しかし副業として仕事人もしている。秀さんが仕事人として使用する武器はかんざし。飾り職人としてかんざしを世に送り出し、そのかんざしで悪人をあの世に送り出す。暗殺の出発前にかんざしを研ぐことが秀さんのルーティン、これで仕事人スイッチオン。

理にかなった殺し技:秀さんは音もなくターゲットに忍び寄りかんざしで一刺しする。このとき、かんざししか持ってないので相手から反撃されたらひとたまりもない。したがって相手を即死させる必要がある。つまり小さなダメージしか与えられないかんざしで「生命維持の中枢」を破壊しなければならない。秀さんは呼吸や循環(心臓)の中枢である「延髄」をかんざしで一刺ししているのである。刺された悪人は即死するしかない。どこで延髄の位置(解剖学)と機能(生理学)を学んだのかは知らないが、素晴らしい殺し技を習得している秀さんであった。

理にかなった必殺技:「延髄切り」というプロレスラー・アントニオ猪木の必殺技がある。ジャンプしながら回し蹴りをくりだし、正面に立つ相手の首の後ろを足の甲で一撃。延髄にダメージが与えられるので屈強なプロレスラーもイチコロ。「蹴り」ではなく「切り」のネーミングも素敵。さすがの後に国会議員にもなった猪木氏の必殺技である。

ダメな殺し技:必殺仕事人2020には経師屋の仕事人がいる。経師屋とは経巻の書写や表装を生業にするもの。この仕事人は絵筆に仕込んだ長いキリで心臓に穴を開けて暗殺する。あ~、心臓刺してもダメですね、穴から出ていく血液の様子(映される)から判断しても即死にはなりませんよ。絵筆しか持っていないのに反撃されたらどうするの?って心配してます。仕事人を演じる松岡昌宏氏がダメなわけではありません、悪しからず。

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