缶ビールは上から眺めると面白い:口を見(診)る歯科医療人からの学び
缶飲料の飲み口が左右非対称なことをご存じですか? では、縦長や横長の飲み口をもつビールがあることをご存じですか?人の口を診るだけじゃなく、缶ビールの口まで見る歯医者さんから仕入れたネタ。(吉野賢一)
瓶ビール片手の友人との会話:長野県松本市内の居酒屋で一緒に飲んでいた友人(歯科医師)から「缶ビールの飲み口の特徴を知ってるか?」と瓶ビール片手に聞かれた。「左右非対称でしょ」という私の回答を聞いた彼は「ドヤ顔」になった。
飲み口は左右非対称:缶飲料の飲み口はわざと左右非対称に作られている。非対称であるがゆえにタブ(指をひっかけるリング)に加えられた力が左右のどちらか一方にかかり余計な力を使わなくても開口できる。また、無駄に力を入れなくて済むため開口の瞬間に液体がこぼれるリスクを軽減してくれている。缶飲料を手にした際はその缶を上から眺め、飲み口のいびつさを確認し、「そんな理由があったんだ」と感心し、その後にタブに指を入れてほしい。
缶ビールの飲み口:ドヤ顔の友人から「缶ビールには縦長あるいは横長の飲み口をもつものがある」と聞いた。縦長の口は「キレ」「のど越し」を重視したビール、横長の口は「コク」「味わい」を重視したビールがもつそうだ(逆は必ずしも真ならず)。友人はビール会社に勤務する知人に事実確認したとのこと。これは企業秘密だそうだ(漏れてますけど~)。縦長の口から出るビールは喉の奥にガツンとぶちあたり、横長の口から出るビールは舌の上にジュワッと広がる。ビールの「売り」をより美味しく味わってもらうため、流体力学的な知見を駆使して飲み口の形は決めらているのだった。「なるほど~」と聞く私に、ドヤ顔の友人は鼻の穴を広げて説明してくれた。
歯科医療人の特性:この友人は松本歯科大学の増田裕次教授。彼に限らず歯科医師や歯科衛生士は口が大好き。人と話をするとき、私も含めた普通の人(非歯科医療人)は目を見るが、歯科医療人は口を見て会話する。人の顔を見ても「誰でしたっけ?」というくせに、口を診たら「○○さんですね」と思い出すらしい。歯科医療人と話をするときは口に気を付けましょう。ビールの口まで気になる人たちですから。
缶飲料のフタの正式名称:缶切りなどの道具を使わなくても、簡単に開けることができるフタをイージー・オープン・エンド(EOE)という。ほぼそのままのネーミング。缶飲料のEOEの場合、タブが缶から分離されるプルタブ式と、タブが缶に残るステイオンタブ式がある。やっぱり、ほぼそのままのネーミング。詳細はWikipediaを。
アホな話のなかにピカッ:増田氏や小野氏(マナビ研究室)はじめ、アホな話をしながらも「へぇ~、知らなかった」ことを学ばしてくれる友人は有難い。ピカッと光る知識を得ることができ、人生を楽しくしてくれる。少なくとも増田氏から学んだ飲み口の知識は、缶ビールを美味しくしてくれた。注:「アホな話」とは「くつろいだ雰囲気での楽しい話」の意味。
さらに:増田氏は、食べた人が自然と噛むことを意識して食への関心を高める献立「カムカム(噛む噛む)メニュー」を作っています。小野氏は「喉の渇き」をテーマとした研究を行っています。律義な二人は、私にもっと美味しいツマミと旨いビールを提供するため、今日も頑張ってくれています。