人文書院の100周年
人文書院が100周年を迎える。その100周年を記念して面白い本が出版される予定だ。
『「日本心霊学会」研究 霊術団体から学術出版への道』
なぜこんな本が100周年で発刊されるのか。それは、人文書院の創業者 渡辺久吉(渡辺藤文)の経歴と人文書院の前身による。
以下は、人文書院のホームページの沿革からの引用だ。
もう少し詳しい内容は、人文書院のホームページ→会社情報→沿革を見てほしい。
創業者は渡辺久吉。浄土宗寺院の四男として生まれる。浄土宗での修行中に、病(心臓病と神経衰弱)を患い心霊治療に出会う。その後、心霊治療を伝授する組織を作り日本心霊学会に発展。
1908年 日本心霊学会を京都寺町の透玄寺内で立ち上げる。
1912年 日本心霊学会会員に対し「心霊治療秘書」を発行
1914年 「日本心霊'発行開始 福来友吉の論文集などを掲載
1922年 日本心霊学会出版部創業
1926年 「白隠と夜船閑話」が発刊され、その年に七版を重ねる
人文書院に改名
以下は京都新聞の記事からの引用である。
現在の人文書院の3代目社長は渡辺博史氏。博史さんの父は創業者の長男で渡辺睦久氏。2代目社長を務められた。現在は会長である。
博史氏は、父睦久氏からは、日本心霊学会については詳しくは聞かされなかったそうである。人文書院は、サルトルに関する書籍などを多く発行しており、心理学書ではフロイトやユングに関する書籍などもたくさん発刊されている。
また、心理学書販売研究会なるものを組織しており、以下の出版社が参加している。明石書店、岩崎学術出版社、金子書房、春秋社、人文書院、新曜社、誠信書房、創元社、ナカニシヤ出版、日本評論社、ミネルヴァ書房、みすず書房。この研究会でブログを毎月書いておられ、「心販研ニュース」という心理学書最新刊のリストを入手することができる。
その人文書院の創業者の旧邸が老巧化していたため、売却することになり、2013年に社長の博史が開かずの蔵に入ったそうである。そこで発見されたが、日本心霊学会誌「日本心霊」の紙面のほぼ完全なものである。
そして、その発見を見逃さなかったのは、今年(2022年)に亡くなられた、宗教学、秘教思想史研究の吉永進一氏だったらしい。
詳細は京都新聞の記事THE KYOTOを参照されたい。但し、記事を見るには、京都新聞のWeb有料版の購読が必要だ。僕は、新聞は読まないだが、この記事を見るためだけに、仕方なしに購読開始した。
そんなわけで、人文書院の100周年記念出版の本の発刊が楽しみだ。日本心霊はデジタルアーカイブされているので、できれば購入したい。
心霊治療は、オカルトの分野に入れられており、怪しい分野とされているが、実際にそれで治癒する人がいるわけだ。渡辺友吉氏も自分の身体でそれ体感したからこそ、そのことを正しく伝えようとして、「日本心霊」を発行していたのだと思う。
これからの時代、単にその分野や名前だけで、安易にオカルトなどと拒否しないで、もっと詳細に調べ、体験した上で議論すべきだと思う。この出版がその突破口なること願う。