人生は、持つことではない。生きることだ。ここが逆転してしまわないように、足るを知ることだ。そうしなければ、面白い人生にはならないはずだ。
ある程度までのところ、所有が人間をいっそう独立的に自由にするが、一段と進むと所有が主人となり、所有者が奴隷となる。(ニーチェ)
【考えるヒント】
近代社会は、人間の私的所有を当然のことのように思っているが、実はそうではない。今も私的所有の観念が少ない民族さえいる。近代以前では、私的所有という概念はそれほど強いものではなかった。自然のものという概念からみんなのものという概念に変化し、そして、自分のものという概念に変化していったのだ。
そして、その成れの果てに、所有が人間の主になってしまうのだ。自分のものをいっぱい増やしたいと思っているうちに、どんどん所有することが目的化していくのだ。そして、どんどん人生をつまらなくしてしまうのだ。
人生は、持つことではない。生きることだ。だとすれば、生きるためにどうするか。ここがポイントだ。生きるために、何かを使う。そのために何かを持つ。ここが重要なことだ。ここが逆転してしまわないように、分を知ることだ。足るを知ることだ。そうしなければ、面白い人生にはならないはずだ。
【考えるヒント・今日の言霊】
2020年9月9日(水)VOL.5025
作者:中土井鉄信(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)