歴史はいつでも敗者に背を向けて、勝者を正しいものとするものだということを忘れてはならない。 (シュテファン・ツヴァイク)
【考えるヒント】
今まで、敗者の歴史は、存在しなかった。それは、歴史に残った人間が、自分の都合の良いように、歴史を解釈し、創作し、そして、意味づけてきたからだ。そして、その歴史は、いつも大文字の歴史として語られてきた。時代の為政者を中心に据えて論じられてきたのだ。
しかし、そんな歴史にも、新しい視点が導入された。フランスを中心としたアナール学派の登場だ。民衆の生活、人口の推移、趣味の変遷等々、生活に即した歴史が発掘され始めたのだ。もう50年以上前からだ。ここに敗者が、やっと歴史的に注目をされるようになったのだ。
私たちは、どんなものでも鵜呑みにしないことだ。客観的に見えるものでも、視点が変われば、全く違うように見える。そのことを忘れないようにしたいものだ。歴史に残った話には、多くの創作があるように、歴史の片隅で微かに存在しているものに、客観的な真実があるかもしれないのだから。
【考えるヒント・今日の言霊】
2021年10月14日(木)
VOL.5307
作者:中土井鉄信(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ 代表)