人間は、顔を赤くできる唯一の動物である。もしくは、そうすべき唯一の動物である。(マーク・トウェイン)
【考えるヒント】
21歳の時、竹内芳郎の「文化の理論のために」の表紙の裏書で、初めてこの言霊を見た時の衝撃を今でも覚えている。人間は、理性のある動物で、だからこそ、自分の恥ずかしい行為に顔を赤く染めることが出来るのだが、実は、その理性も役に立たないほどの狂気が働いて、恥ずかしい行為を行ってしまう動物でもあるのだ。こんなことを漠然と感じながら生きていた私に、竹内芳郎は、明確にそれを論証してくれた。
人間は、両義的な存在だ。良いことも悪いことも成し得る動物だ。そして、それは、いつも自分の中に自己矛盾を孕んでいるということだ。だからこそ、悩み、苦しみ、そして、悲しむ。しかし、そういう矛盾を捨ててしまってはダメなのだ。捨ててしまえば、自分が人間ではなくなってしまうからだ。
自分の中にある理性も狂気も、共に自分自身だ。この自己矛盾を自覚して生きていくことしか、私たちには出来ない。いや、そうすることだ。恥ずかし
い存在だし、恥ずかしさを感じる存在なのだ。人間は、それでよいのだ。両義的な自分を生きることだ。
【考えるヒント・今日の言霊】
2020年11月12日(木)VOL.5071
作者:中土井鉄信(合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツ代表)